かつて著者は、本から学ぶことが苦手だった。そこで選んだのは、人から学ぶことだ。
人から学ぶときは、受け取るばかりでなく、相手に何かをギブしよう。著者が事務用品メーカーで働いていたとき、客先に自社の文房具セットを手土産に持っていくことがよくあった。手土産は人と会う口実になり、相手に喜んでもらえる。相手は文房具がほしかったわけではなく、「私はあなたとつながりたい」という気持ちを感じて喜んでくれたのだろう。この気持ちが表現できるなら、ギブするものはなんでもいい。
手土産を買って会いに行くなら、相手にちなんだものを贈ろう。「面白い恋人」というお菓子を持って行くなら、「この『面白い恋人』を見た瞬間に、○○さんがブログのタイトルでいつもやってらっしゃる語呂合わせと似たセンスを感じてしまいまして」などと言うと、相手はうれしいだろう。
人に教えを乞うことが苦手だという人もいるだろう。「そんなことも知らないのか」「自分で考えろ」などと怒られた経験から、苦手意識を抱いているのかもしれない。
著者ももともとコミュニケーションが苦手だったから、その気持ちはよくわかる。ハードルを越えることができたのは、「自分はできない」「このままではまずい」という劣等感を原動力にしたからだ。
その結果、誰からでも教えを乞うことができるようになった。それがうまくいったのは、「みんなすごい」という感覚があったからだ。敬意と好意を相手にギブし、劣等感を勇気に変えてインプットすること。それができれば、一歩を踏み出せる。
著者は2015年にヤフーに入社してから、意識的に「名前を売る」ことに励んだ。取材や講演の依頼は報酬額に限らずできるだけ受けるようにし、話を聞いてすぐに「やります」と即答するよう心がけた。
その理由は、人に喜んでもらいたいからだ。はたから見ると損得度外視でやっているように見えるかもしれないが、種をまいておけば、いつかそれが育ち、何かの役に立つかもしれない。あれこれ考えすぎず、まずはやってみよう。
著者がかつて参加していたソフトバンクアカデミアには、200人ぐらいの参加者が集まっていた。そこでまずしたことは、ひたすら「伊藤でございます」と頭を下げて名刺を配ることだ。
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