自分が悪いわけではないはずなのに、うまく丸め込まれてしまったような気がする。自分のことを思って言ってくれたはずの言葉に、むしろ傷ついた気持ちになる。日常生活の中で、こんなモヤモヤを抱えたことはないだろうか。こういうときは、言い返せないような「ずるい言葉」を相手が選んでいるのかもしれない。
本書の目的は、そんな「ずるい言葉」を見抜いて、きちんと言い返すための手がかりをお伝えすることにある。中学生から読めるようなやさしさで、大人がよく使うずるい言葉を交えた会話例を紹介し、そこにひそむずるさを解説していく。大人にとっても、実感を持って読める内容になっているはずだ。
他の人があなたのためになにかをしてくれたなら、本来嬉しい気持ちになるはずだ。しかし、「あなたのためを思って言っているんだよ」を言われると、なぜ嫌な気分になることがあるのだろう。
それは、「あなた」のためを思って言っていることが、本当に「あなた」のためになるとはかぎらないからかもしれない。そして、本当に「あなた」のためになるという説明ができないからこそ、あえて「あなたのため」という言葉を持ち出して、「根拠」のうめ合わせをしているのではないだろうか。
「あなたのため」と言われたら、「どうして私のためになるのか説明してほしい」と伝えてみよう。納得のいく説明が得られるかもしれないし、もし得られなかったとしても、そこに対話の余地が生まれるはずだ。
相手の理不尽な行為や態度に対して怒りを表明すると投げかけられることがある「そんな言い方じゃ聞き入れてもらえないよ」という言葉。こう言われると、ぐっとつまってしまう。私たちには、きつい言い方をするのはよくないという思いがあるからだ。
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