銀行に入行した著者は、出社することすら苦痛だった。同期がどんどん成果を上げていくのに、自分は足踏みをしていたからだ。人よりも成長が遅いのであれば、そうした何気ない出来事からも学び、自分を変えていかなければ、仕事で世の中に貢献することはできない。そう考えて、毎日の出来事から学びを得るためにはじめたのが「1行日記」である。毎日、1行だけの日記をつけ、振り返りの習慣を作るのだ。
1行日記をつけるようになって、まず仕事の質が変わった。自分のやりたいことが明確になり、納得感を持って、自分の信じる道を進めるようになった。自分との対話を繰り返すことにより、自己理解も深まった。この習慣を続けることで、自己肯定感を持てるようにもなった。
もし、やりたいことがなかったり、自分はこんなはずじゃないと思ったりしているなら、それはチャンスだ。現状への不満は、振り返りの最大のパワーになる。成長の糧はあなたのまわりに転がっているのだから、気になるものやワクワクするもの、うらやましいと思うことなどを丁寧に拾い、振り返りを続けて、気づきを得よう。その回数が、あなたの成長を決める。
自分を変えるためにできることは2つある。ひとつは、非日常的な場に身を置いてみることだ。知らない場所に出かけたり、やったことのない仕事に挑戦してみたりするのもいいだろう。
もうひとつは、日々の振り返りをすることである。その日の出来事を拾い上げて、それが自分にとってどういう意味を持つのかを考えて気づきを得るのだ。そのプロセスを繰り返し、気づいたことを実行してみる。その積み重ねから、自分にとって大きな意味が生まれる。
たとえば、1時間のオンライン会議をボーっと過ごすのではなく、少し意識を変えてみる。そうすると、オンライン会議では伝え方を変えたほうがいい、表情が大きいほうが相手は話しやすいのではないかなど、たくさんの気づきを得られるだろう。1個、2個の気づきでは大きな変化はないかもしれないが、積み重なれば成長につながる。ひとつの経験からより多くの気づきを得る人が、成長の速い人である。
仕事で成果を上げる人や大学受験に成功する学力をつける人は、「メタ認知力」を持っている。メタ認知とは、「自分が認知していることを認知すること」であり、自分自身を外から見ているように客観視することだ。
メタ認知力を持っている人は、自分を客観視し、自分にあるものとないものを見つけて改善につなげる。自分の仕事や言動をあたかも第三者から見るように俯瞰して、「現状はこうなのか。じゃあ、どうしよう?」と考えることができるのだ。
どうすれば、メタ認知ができるようになるか。そのひとつが、「書く」だ。言葉にすることで、自分がとった行動を客観視できる。また、その場の雰囲気を思い出せるように書けば、客観的にその「場」を見ることになる。その結果、自分で「メタ認知」と同じような状況をつくることができるのだ。これを繰り返すことにより、自分を客観的に見る習慣ができる。
1行日記の書き方は簡単だ。毎日、その日に起こったことを書き、書いたことを振り返ってみるだけである。
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