このコロナ禍において、多くの企業は3密を避けるための取組みとして、テレワークを導入・実施した。今後も、大規模災害やテロなど起こりうるリスクから人々を守るためにも、また少子高齢化による労働者不足を補い、さまざまな社会の担い手を創り出すためにも、時間・場所にとらわれない働き方や企業活動が、社会発展の必須条件として求められてくるだろう。
これまでのダイバーシティは、働く人たちの性別や国籍、年齢といった属性に縛られず自由である“多様性”を重視し、こだわるものだった。そしていま、場所や時間からの解放が加わるだけでなく、さまざまな人材が集まり、それぞれの強みを発揮して働くというスタイルへ転換させる必要が出てきたのだ。これが新しいダイバーシティ(ver.2)である。
この「ver.2」では、プロセスにはこだわらない。成果に結びついていない頑張りや努力を評価するのでもなく、成果を出せずにいる問題を部下のせいにすることもない。成果を出すために必要なものを明確に理解し、成果を上げる人材を育て、適材適所で確実な成果につなげる。これこそ、ごまかしのきかない“真のマネジメント”だと言っても過言ではない。
経済産業省のまとめた資料「成長戦略としての女性活躍の推進」と「ダイバーシティ2.0:一歩先の競争戦略へ」には、ダイバーシティ経営をする企業群は利益率が高く、人材獲得やマネジメント機能の向上、イノベーション創出が促進されることが示されている。つまり、多様な人材が利益や企業価値を高めるというビジネスメリットの存在が表現されているのだ。
ダイバーシティは同質性より多様性に重きがあるため、チームとしてのまとめづらさが課題となる。また、以心伝心や忖度も通用しないため、コミュニケーションコストも高くなる。このデメリットを克服し、ダイバーシティで成功した企業には次の5つの共通点がある。
まず、定量的で明確な目標が設定されていること。経営戦略に位置づけるなら数字は必要だ。次に、組織のトップが積極的にコミットすること。3つめは、計画や検討で留まらず、PDCAをスピーディーに回すこと。4つめは、主に反対意見があがる場である現場に主体的に推進してもらうこと。そして最後は、イノベーション創出・業績アップ・企業価値向上をダイバーシティ施策のゴールにすることだ。
「LGBT」という言葉の認知度も上がり、四角四面の男性らしさ・女性らしさではなく、その人らしさを大事にする社会へと変化している。といっても、人によって認知機能に傾向があるとされていて、それは大きく、ルールや論理によって自分の周囲を理解する「システム優位型」と、他者の感情に寄り添うことで自分の周囲を理解する「共感優位型」の2つに分けられる。この対極的なタイプを通して、違いを尊重するマネジメントをしていくことが大事だ。
たとえばシステム優位型の場合、
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