成果・イノベーションを創出するダイバーシティ・マネジメント大全

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出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2020年11月01日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「発見」の本である。コロナ禍のなかでテレワークを取り入れている企業のマネジャーは、ぜひ本書を読んでほしい。明日から自身のマネジメントに役立つポイントをいくつも発見できるだろう。そもそもダイバーシティ・マネジメントは企業のなかで属性(性別、世代、マイノリティ)の違いをどう受け入れるかが論点だった。それが今や、社員の働き方・考え方の多様性を活かすものへ進化していることがわかる。

また「逆説」の本でもある。日本の会社は、「効率性」という名のもとに、ヒト・モノ・システムを1箇所に集め過ぎていた。実は、同質性や同調圧力の強いワークスタイルや価値観を社員へ一方的に押し付けていたのである。この本は、時間と空間にとらわれないこれからのマネジメントスタイルこそが、成果やイノベーションを創出する可能性を秘めているという逆説に気づかせてくれる。

そして何より「実践」の本だ。相手に応じた働きかけの具体例として褒め方、叱り方、部下からの相談の答え方といった具体的なことに言及している。また、外国籍社員や障害を持っている社員、育児や介護、治療などと両立しながら働く社員といった多種多様な人々へのアプローチに至るまで、こと細かなナレッジがぎっしり詰まっている。すぐに役立てることができるだろう。

マネジメントスキルのレベルアップに終わりはない。本書を活用することで、すべてのマネジャーは、自身のマネジメントをこれからの時代に合ったものへとアップデートすることができるのではないだろうか。

ライター画像
たばたま

著者

西村直哉(にしむら なおや)
株式会社キャリアネットワーク代表取締役社長、リーダーシップ・コンサルティング株式会社代表取締役。人材育成・組織行動調査のコンサルタント。組織学会会員、日本労務学会会員。
教育研修会社で営業職を経験した後、リーダーシップ開発を中心としたコンサルティング会社を立ち上げ、2012年に株式会社キャリアネットワーク代表取締役社長に就任。「人材アセスメント」など各種調査と、その結果に基づく教育研修、人材育成コンサルティングに35年以上従事している。ダイバーシティ・マネジメントやキャリアデザイン、次世代リーダー育成や管理者研修など多数の講師実績をもつ。

本書の要点

  • 要点
    1
    新しいダイバーシティ・マネジメントとは働き方や考え方の多様性を活かすマネジメントである。
  • 要点
    2
    男性らしさ・女性らしさといったことではなく、その人らしさを認め、相手に応じた働きかけをすることが大切だ。
  • 要点
    3
    テレワークで部下へのマネジメントにまず求められるのは、「成果にこだわる」ことである。
  • 要点
    4
    ダイバーシティは、イノベーションのかぎりない可能性を広げてくれる必要条件である。

要約

属性の多様性から働き方の多様性へ

それは真のマネジメント
vvmich/gettyimages

このコロナ禍において、多くの企業は3密を避けるための取組みとして、テレワークを導入・実施した。今後も、大規模災害やテロなど起こりうるリスクから人々を守るためにも、また少子高齢化による労働者不足を補い、さまざまな社会の担い手を創り出すためにも、時間・場所にとらわれない働き方や企業活動が、社会発展の必須条件として求められてくるだろう。

これまでのダイバーシティは、働く人たちの性別や国籍、年齢といった属性に縛られず自由である“多様性”を重視し、こだわるものだった。そしていま、場所や時間からの解放が加わるだけでなく、さまざまな人材が集まり、それぞれの強みを発揮して働くというスタイルへ転換させる必要が出てきたのだ。これが新しいダイバーシティ(ver.2)である。

この「ver.2」では、プロセスにはこだわらない。成果に結びついていない頑張りや努力を評価するのでもなく、成果を出せずにいる問題を部下のせいにすることもない。成果を出すために必要なものを明確に理解し、成果を上げる人材を育て、適材適所で確実な成果につなげる。これこそ、ごまかしのきかない“真のマネジメント”だと言っても過言ではない。

成功企業の5つの共通点

経済産業省のまとめた資料「成長戦略としての女性活躍の推進」と「ダイバーシティ2.0:一歩先の競争戦略へ」には、ダイバーシティ経営をする企業群は利益率が高く、人材獲得やマネジメント機能の向上、イノベーション創出が促進されることが示されている。つまり、多様な人材が利益や企業価値を高めるというビジネスメリットの存在が表現されているのだ。

ダイバーシティは同質性より多様性に重きがあるため、チームとしてのまとめづらさが課題となる。また、以心伝心や忖度も通用しないため、コミュニケーションコストも高くなる。このデメリットを克服し、ダイバーシティで成功した企業には次の5つの共通点がある。

まず、定量的で明確な目標が設定されていること。経営戦略に位置づけるなら数字は必要だ。次に、組織のトップが積極的にコミットすること。3つめは、計画や検討で留まらず、PDCAをスピーディーに回すこと。4つめは、主に反対意見があがる場である現場に主体的に推進してもらうこと。そして最後は、イノベーション創出・業績アップ・企業価値向上をダイバーシティ施策のゴールにすることだ。

【必読ポイント!】 多様性を受け入れ活かすマネジメント

その人らしさのマネジメント
Zhenikeyev/gettyimages

「LGBT」という言葉の認知度も上がり、四角四面の男性らしさ・女性らしさではなく、その人らしさを大事にする社会へと変化している。といっても、人によって認知機能に傾向があるとされていて、それは大きく、ルールや論理によって自分の周囲を理解する「システム優位型」と、他者の感情に寄り添うことで自分の周囲を理解する「共感優位型」の2つに分けられる。この対極的なタイプを通して、違いを尊重するマネジメントをしていくことが大事だ。

たとえばシステム優位型の場合、

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要約公開日 2021.03.23
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