本書は、文章術の名著「100冊」を真剣に読み込み、文章のプロが持つ共通のノウハウ、エッセンスを洗い出して、ランキング化したものだ。文章には書き手の個性や職人的な技術が必要だと思われるかもしれないが、実際には小説家、ライター、編集者といった人たちが大切に思っている「共通のコツ」がある。
本書は、多くの著者が「大切」だと説く、すべての人に必要な7つのノウハウをランキングの1位から7位として紹介。以下、さらにスキルアップを目指すためのものを8位から20位、文章のプロでもつまずいたり、意見が分かれたりするノウハウを21位から40位として説明している。とくに、1位から7位で紹介されているルールを意識するだけで、どんな場面でも「わかりやすく、正確な文章」が書けるようになるだろう。
そこで本要約では、まず1位から7位をすべて取り上げ、それ以下の項目からいくつかをピックアップする。
●1位:文章はシンプルに
「不要な言葉を省く」「1文を短くする」など「シンプルに書く」ことの大切さは、100冊中53冊に記されていた。その内容は、「なくても意味が通じる言葉を削る」と要約できる。これが推奨される理由は、書き手の主張がはっきりして内容が伝わりやすくなること、リズムが良くなることだ。
「そして」などの接続詞、「私は」などの主語、「その」などの指示語のほかに、「まず最初に」「はっきり断言する」といった意味が重複するものが「削りやすい言葉」の候補となる。1文の長さは「60文字以内」が好ましく、80文字だと長過ぎる。ひとつの文に入れる情報をひとつだけに絞る「ワンセンテンス・ワンメッセージ」を心がけると、文が自然と短くなるだろう。
●2位:伝わる文章には「型」がある
思い浮かんだことをそのまま書くより、型に合わせて書いたほうが伝わりやすい文章になる。
真似しやすい型として以下の3つが挙げられる。(1)結論を先に述べる「逆三角形型」、(2)結論を述べたあとその理由と具体例を述べる「PREP法」、(3)結論を最後に述べる「三段型」。「逆三角形型」は、何が言いたいのかを的確に伝えることができ、重要な情報を最初に提示することで読み手の関心を高められる。「PREP法」では結論を2度書き、根拠を明確にして主張を裏付けるため、文章全体に説得力を生む。論文のように結論に至るまでの展開の正しさが必要とされる場合には、「三段型」が有効だ。
スポーツや楽器演奏と同じように、文章も型を覚えるのが上達の近道となる。
●3位:文章も「見た目」が大事
見た目とは、紙面や画面の字面のことだ。文字の大きさ、行数、空白行、改行のタイミングなどによって、文章の読みやすさや伝わりやすさが変わる。
見た目を良くするためのポイントは、余白、ひらがなと漢字の使い分け、リズムの3つだ。文章を詰め込みすぎず余白を適度にとることで、読み手に圧迫感を与えないやさしい文章になる。また、漢字はひらがなより画数が多いため、堅苦しい印象になる。「事」や「出来る」といった漢字をひらがなにすることで、「漢字2、3割」となるように調整するとよいだろう。そうして文章の見た目を整えると、自然とリズムの良い、読みやすい文章になる。
●4位:文章は必ず「推敲」する
推敲とは、書き終わった文章をより良くするために練り直すことである。推敲は以下の4つを目的とする。
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