適職の結論

あなたが気づいていない 「本当の強み」がわかる
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出版社
SBクリエイティブ

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出版日
2020年10月25日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書は厳しく優しい転職本である。著者は「実力なく転職しても、さらにつらい環境にいくだけになるかもしれないよ」と少々耳が痛くなる警告を発する。その上で「転職する前にまずは中の上の実力をつけなさい。その実力がついた段階で満足いく転職が可能になる」と語る。「中の上」の実力をつけるための方法として「仕事に追われる自分」から「仕事を追いかける自分」へマインドセットを変えよというアドバイスは、目からウロコであった。

仕事のフィールドを広げる意味でも、マインドセットを変えることは極めて重要である。要約者にもこのマインドセットの威力を強く認識した出来事がある。

あるとき、メディアを立ち上げた要約者は、1年間で400記事書くと目標を定めた。まさしく「仕事に追われる自分」から「仕事を追いかける自分」へ変わった瞬間だ。その結果、メディアは一つの事業として結実し、この実績を知ったクライアントからWeb集客の相談を持ちかけられるなど、仕事の幅も広がっていった。

マインドセットを変え、コツコツ実力をつける。すると仕事のフィールドが広がり、より一段高いところにいける。要約者自身、そんな体験をしたこともあり、本書の内容に強く共感を覚えたのだった。転職を検討している人はもちろんのこと、キャリアに悩めるビジネスパーソンを勇気づけてくれる一冊だ。

著者

宇都宮隆二(うつのみや りゅうじ)
実業家/キャリア系YouTuber。
1976年愛媛県生まれ。バブル崩壊後の「就職氷河期」に、無名私立大学からIT企業に入社。その後大手外資系企業5社をわたり歩き、確固たるキャリアを築く。部門長・会社役員・実業家という「採用側」として数多くの人材採用に携わってきた経験をもとに、本当に自分に合った適職と出会う方法を説くYouTubeチャンネル「Utsuさんチャンネル」を運営。これまで通説とされてきた「人事のプロフェッショナルが教える就活・転職ノウハウ」とは一線を画す、「自分の強みに気づき、それを生かす最高のキャリアを実現する方法」を指南し、若手社会人・就職活動中の学生などから絶大な人気を博す。YouTubeチャンネルのチャンネル登録者数は、現在約20万人。日本最大の「キャリア形成塾」になっている。

本書の要点

  • 要点
    1
    本当に充実した仕事人生を送りたいのなら、まずは自分の「強み」について考えるべきだ。「強みの六角形」で自分の強みを把握しよう。
  • 要点
    2
    仕事にストレスを感じるなら、仕事の課題を小さく分解し、達成までの計画を「可視化」するとよい。
  • 要点
    3
    転職において選択肢を増やすには、自分のキャリアを「抽象化」する必要がある。今の会社で培った実力が他の場所でどのようにどれくらい通用するのかを考えない限り、「同業、同規模、同職種」への転職しかできない。

要約

本当の強みの見つけ方

自分の軸を可視化する
PeopleImages/gettyimages

転職すべきか、それとも今の会社で働き続けるか。本当に充実した仕事人生を送りたいなら、転職を検討する前に、自分の「強み」を見つけよう。自分の強みを掘り下げることなくして、転職について現実的に考えるのは難しいからだ。

とはいえ、自分の「強み」は何か、具体的に答えられる人はそういないだろう。そこで役立つのが「強みの六角形」だ。

まず白い紙に「正六角形」を書く。その6つの角に、自分が秀でている能力を書き込んでいく。過去に成果をあげたり、手応えを感じたりしたときのことを振り返り、それらが自分のどんな能力によって成し得たものなのかを考えてみよう。たとえば20代のころの著者の場合だと「オヤジ殺し力」「分析力」「巻きこみ力」「対面説得力」「プレゼン力」「構想力」の6つとなる。

このプロセスの目的は、あなた自身を深掘りし、すでに発揮されつつある能力に気づくことだ。書き込む能力は「この能力は○○だから強い、○○だから得意」と実感をもって説明できなくてはならない。

ここで注意したいのは、「1つの能力」に絞り込まれているかどうかだ。たとえば、ひと口に「営業力」といっても「話す力」「聞く力」「決定力」「突破力」「プレゼン力」など、いろいろな能力があるだろう。「営業力」としてしまうと、具体的にどの能力に長(た)けているかわからず、今後伸ばしていくべき能力が定まらない。できるだけ細かく考えてみるのがおすすめだ。

今の自分に合った強みを見つける
filadendron/gettyimages

「強みの六角形」にある6つの能力は、すべてバランスよく身についているわけではないはずだ。そこで「すごく得意」「得意」「まあまあ得意」の3つの目盛りを六角形内に設けて、この目盛りに従い、6つの能力それぞれに印をつけて頂点を結んでみよう。著者の場合、20代で「オヤジ殺し力」「構想力」「対面説得力」は「すごく得意」、「分析力」は「得意」、「巻きこみ力」「プレゼン力」は「まあまあ得意」であった。

こうしてできた六角形は、20代の人にとっては「ポテンシャルの枠組み」だ。30代になると、20代で定まった「ポテンシャルの枠組み」のなかで「どの能力を、どこまで使えるか」が定まる。

30代になった著者の場合、「オヤジ殺し力」は20代の特権であったため、「まあまあ得意」に下落。一方で「構想力」「対面説得力」は「すごく得意」であると確信が強まった。「プレゼン力」は「まあまあ得意」のまま。「巻きこみ力」は「まあまあ得意」から少し低下、「分析力」は「得意」から低下した。これらの変化を六角形に落とし込むと、30代の著者は「圧倒的な構想力と対面説得力によって、一対一の交渉では必ず相手を説得する自信があります。加えて、必要に迫られれば大勢の前で話すこともできます」と表現できるようになった。

20代で転職するなら、一番のアピールポイントは「ポテンシャルの枠組み」だ。「私には今後、これらの能力を大きく発揮していくポテンシャルがあります。しかし今の会社では、このポテンシャルを伸ばしきれません」といったふうに、転職でより大きな六角形を得る方向で考えればいい。

一方30代は、「できること」がすでに明確となっている。だからこそ、「私は、こういうことができます」と明確に説明できなくては、採用にはつながりにくい。

【必読ポイント!】 今の会社か、転職か?

「何をどれだけ」で戦略的に実力をつける

内定を得るには、「実力」を証明しなければならない。「まだ新人です。実力はありませんが、頑張ります!」が通じるのは第二新卒までだ。

具体的には、最低でも「中の上」以上であることを示す必要がある。

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要約公開日 2021.03.27
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