転職すべきか、それとも今の会社で働き続けるか。本当に充実した仕事人生を送りたいなら、転職を検討する前に、自分の「強み」を見つけよう。自分の強みを掘り下げることなくして、転職について現実的に考えるのは難しいからだ。
とはいえ、自分の「強み」は何か、具体的に答えられる人はそういないだろう。そこで役立つのが「強みの六角形」だ。
まず白い紙に「正六角形」を書く。その6つの角に、自分が秀でている能力を書き込んでいく。過去に成果をあげたり、手応えを感じたりしたときのことを振り返り、それらが自分のどんな能力によって成し得たものなのかを考えてみよう。たとえば20代のころの著者の場合だと「オヤジ殺し力」「分析力」「巻きこみ力」「対面説得力」「プレゼン力」「構想力」の6つとなる。
このプロセスの目的は、あなた自身を深掘りし、すでに発揮されつつある能力に気づくことだ。書き込む能力は「この能力は○○だから強い、○○だから得意」と実感をもって説明できなくてはならない。
ここで注意したいのは、「1つの能力」に絞り込まれているかどうかだ。たとえば、ひと口に「営業力」といっても「話す力」「聞く力」「決定力」「突破力」「プレゼン力」など、いろいろな能力があるだろう。「営業力」としてしまうと、具体的にどの能力に長(た)けているかわからず、今後伸ばしていくべき能力が定まらない。できるだけ細かく考えてみるのがおすすめだ。
「強みの六角形」にある6つの能力は、すべてバランスよく身についているわけではないはずだ。そこで「すごく得意」「得意」「まあまあ得意」の3つの目盛りを六角形内に設けて、この目盛りに従い、6つの能力それぞれに印をつけて頂点を結んでみよう。著者の場合、20代で「オヤジ殺し力」「構想力」「対面説得力」は「すごく得意」、「分析力」は「得意」、「巻きこみ力」「プレゼン力」は「まあまあ得意」であった。
こうしてできた六角形は、20代の人にとっては「ポテンシャルの枠組み」だ。30代になると、20代で定まった「ポテンシャルの枠組み」のなかで「どの能力を、どこまで使えるか」が定まる。
30代になった著者の場合、「オヤジ殺し力」は20代の特権であったため、「まあまあ得意」に下落。一方で「構想力」「対面説得力」は「すごく得意」であると確信が強まった。「プレゼン力」は「まあまあ得意」のまま。「巻きこみ力」は「まあまあ得意」から少し低下、「分析力」は「得意」から低下した。これらの変化を六角形に落とし込むと、30代の著者は「圧倒的な構想力と対面説得力によって、一対一の交渉では必ず相手を説得する自信があります。加えて、必要に迫られれば大勢の前で話すこともできます」と表現できるようになった。
20代で転職するなら、一番のアピールポイントは「ポテンシャルの枠組み」だ。「私には今後、これらの能力を大きく発揮していくポテンシャルがあります。しかし今の会社では、このポテンシャルを伸ばしきれません」といったふうに、転職でより大きな六角形を得る方向で考えればいい。
一方30代は、「できること」がすでに明確となっている。だからこそ、「私は、こういうことができます」と明確に説明できなくては、採用にはつながりにくい。
内定を得るには、「実力」を証明しなければならない。「まだ新人です。実力はありませんが、頑張ります!」が通じるのは第二新卒までだ。
具体的には、最低でも「中の上」以上であることを示す必要がある。
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