リーダーを目指す人の心得 文庫版

未読
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出版社
出版日
2017年06月24日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書は、コリン・パウエル元国務長官が自身の経験談から導き出した仕事術と人生論をまとめあげた、世界的ロングセラーを文庫化したものだ。菅義偉総理の愛読書として、いま注目を集めている一冊である。

経験談とひと口に言っても、その重さが違う。何しろ、35年間の陸軍で異例の出世を遂げ、米陸軍総軍司令官、国家安全保障問題担当大統領補佐官などの数々の重職をこなし、ブッシュ政権時代には国務長官を務めた真のリーダーたる人物である。しかしパウエル氏には、えらぶったところや、上から物をいうようなところがまったくない。ありがちな手柄話や自慢話もない。本書の原題は『It Worked For Me』、つまり「私はこれでうまくいった」である。このタイトルからは「いつ何時、誰にでもあてはまるルールではないが、少なくとも私はこれでうまくいった」というメッセージが伝わり、パウエル氏の謙虚で実直な人柄をうかがい知ることができる。この姿勢こそが、アメリカという大国の要職を務めるリーダーとしての素質なのかもしれない。

米国務長官を務めた人物の経験談には、リーダーシップやマネジメントの要諦が詰まっている。それでいて、堅苦しい表現はなく、気軽に読める。パウエル氏の様々な逸話やエピソードは、読み物としても実に面白い。読者は読み進めるにつれ自分の働き方や生き方についておのずと振り返ることになるだろう。すべてのビジネスパーソンにとって得るところの大きい一冊だ。

ライター画像
池田明季哉

著者

コリン・パウエル
1937年、ニューヨーク市生まれ。黒人としてはじめて、米国陸軍で四つ星の大将まで上りつめる。米国4軍のトップである統合参謀本部議員に史上最年少で就任する、2001年から2005年までは国務長官を務めるなど、4つの政権で政府の要職を歴任した。

トニー・コルツ
トム・クランシーと共著でフレッド・フランクス将軍、チャック・ホーナー将軍、カール・スタイナー将軍、アンソニー・ジニ将軍の回顧録を著す。

本書の要点

  • 要点
    1
    怒りや恐怖に自分をコントロールさせてはいけない。楽観的な姿勢を保つことで、大抵の問題は解決に向かう。
  • 要点
    2
    どんなときも的確に状況を判断できるよう、常に冷静沈着でいることが重要である。
  • 要点
    3
    よい組織の土台には信頼関係がある。まず部下を信頼すれば、部下は信頼を返してくれる。
  • 要点
    4
    「代えのきかない人物」を作ってはならない。何かあったときにいつでも交代できる人員を用意しておくべきだ。また自分自身も去り際を心得なければならない。

要約

【必読ポイント!】 コリン・パウエル13カ条のルール

まずはやってみるべし
kieferpix/gettyimages

パウエル氏が座右の銘にしている13カ条のルールがある。その中からビジネスパーソンにとってより重要と思われるルールを紹介しよう。

「なにごとも思うほどには悪くない。翌朝には状況が改善しているはずだ。」

これは状況の予測ではなく、心構えの問題だ。状況がどれほど厳しくとも、楽観的な姿勢を保つことで、大抵の問題は解決に向かう。

「まず怒れ。その上で怒りを乗り越えろ。」

怒りはまっとうな感情だ。しかし、怒りを感じたときに重要なのは、それを乗り越えることだ。怒りを感じたら、さっとそれを乗り越え、自制心を失わないように心がけるべきだ。

「自分の人格と意見を混同してはならない。」

自分の意見に問題があっても、それは自分の人格に問題があるわけではない。これを混同すると、意見を却下されたときに自分自身も地に落ちたと感じてしまう。

「やればできる。」

やってもできないかもしれないが、それでもできると信じてやりはじめるべきだ。何をするにもできない理由ばかりを並べるのではなく、前向きな姿勢で取り組むようにしたい。

恐怖に支配されてはいけない

「選択には細心の注意を払え。」

急いで結論を出さなければならない場合でも、慌てて決めてはならない。一度それを選んだら、その結果は自分で引き受けなければならないからだ。選択を間違えれば、二度と訂正できないこともあるのだ。

「他人の道を選ぶことはできない。他人に自分の道を選ばせてもいけない。」

決断の最終責任を負うのは自分だ。周囲に流されずに、自分の判断で選択しなければならない。ただし、これは自分ひとりで決めろという意味ではない。助言は求めるべきだ。

「冷静であれ。親切であれ。」

混乱した状況でこそ、冷静でいなければならない。リーダーは常に健全な感情のゾーンを持つよう心掛けるべきだ。また、部下に対する親切心を忘れてはならない。親切心を持つことは尊敬し合うことだ。互いを尊敬し合えば、部下もリーダーのことを考えて動いてくれるだろう。

「恐怖にかられるな。悲観論に耳を傾けるな。」

恐怖にコントロールされる者にリーダーの資格はない。悲観論ばかりを並べ立てるのは簡単だ。悲観論は進歩を殺す。耳を傾けるべき人から意見を聞き、恐れを乗り越えて直感に従うのである。

仕事への心がけ

仕事バカになるな
Yumi mini/gettyimages

仕事の99%は尊いものだ。下劣な仕事などまずない。それが日雇いの運転手であっても、国務長官であっても、同じである。どのような仕事でも学びはあるし、輝くことができる。報酬は受け取るものではなく、勝ち取るものだ。常にベストを尽くしていれば、必ず誰かが見てくれている。たとえ誰も見ていなくとも、自分自身は必ず見ている。自分を裏切るようなことをしてはいけない。

一方で「仕事バカ」になるのもよくない。

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要約公開日 2020.12.28
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