自己満足ではない「徹底的に聞く」技術

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自己満足ではない「徹底的に聞く」技術
出版社
日本実業出版社

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出版日
2020年09月01日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

あなたは普段、人の話を聞いているだろうか。聞いているに決まっていると思われるかもしれないが、よく考えてみてほしい。部下の話を一度も遮らずに聞いたことがあるだろうか。いつもパートナーや子どもの話の腰を折ってはいないか。相手の話を聞いているようで、結局自分がしゃべってはいないだろうか。

少しでも思い当たる部分がある人は、ぜひ本書を手に取っていただきたい。本書は、相手の話を徹底的に聞く「アクティブリスニング」を実践することで、さまざまな問題の解決をめざす。

「相手の話をよく聞く」といっても、本書は単なる「聞き上手」になるためのハウツー本ではない。著者の言葉を借りれば「全身全霊を傾け」、「心から相手に関心を持ち」、相手の話を聞くことこそがアクティブリスニングであり、本書はそのための指南書である。

著者によれば、人間は誰しも「話を聞いてもらいたい」「わかってもらいたい」という欲求を持っているのだという。相手の話を徹底的に聞くと、それだけで相手との関係が良好になる。コミュニケーションがうまくいけば、トラブルの大半は解決できるのだと著者は主張する。

コロナ禍でオンラインコミュニケーションが増えた今、コミュニケーションの難しさを感じている人は多いのではないだろうか。アクティブに相手の話を聞き出す本書の手法は、オンラインにも応用可能だ。ぜひ本書を手に取り、さっそく今日から実践してみてほしい。

ライター画像
池田明季哉

著者

赤羽雄二(あかば ゆうじ)
ブレークスルーパートナーズ株式会社 マネージングディレクター
東京大学工学部を卒業後、コマツで超大型ダンプトラックの設計・開発に携わる。スタンフォード大学大学院に留学し、機械工学修士、修士上級課程を修了後、マッキンゼーに入社。経営戦略の立案と実行支援、新組織の設計と導入、マーケティング、新事業立ち上げなど多数のプロジェクトをリード。マッキンゼーソウルオフィスをゼロから立ち上げ、120名強に成長させる原動力となるとともに、韓国LGグループの世界的な躍進を支えた。
マッキンゼー14年の後、「日本発の世界的ベンチャー」を1社でも多く生み出すことを使命として、ブレークスルーパートナーズ株式会社を共同創業。企業の経営改革、人材育成、新事業創出、ベンチャー共同創業・経営支援に積極的に取り組んでいる。
著書に『ゼロ秒思考』『速さは全てを解決する』(以上、ダイヤモンド社)、『マンガでわかる! マッキンゼー式ロジカルシンキング』(宝島社)など21冊がある。

メール:akaba@b-t-partners.com
ウェブサイト:https://b-t-partners.com
書籍:https://b-t-partners.com/book
講演:https://b-t-partners.com/event

本書の要点

  • 要点
    1
    アクティブリスニングとは、相手に心から関心を持ち、真剣に、徹底的に話を聞くことである。「真剣に、徹底的に相手の話を聞く」「質問もしながら理解を深める」の2点を満たしていなければ、アクティブリスニングとはいえない。
  • 要点
    2
    人間関係におけるトラブルの多くは、コミュニケーション不足やちょっとした行き違いから発生する。こうした問題はアクティブリスニングで解決できる。
  • 要点
    3
    アクティブリスニングのカギは「ひたすら聞く」「相づちを打つ」「疑問があったら躊躇なく聞く」の3点だ。

要約

【必読ポイント!】 アクティブリスニングはあらゆる問題を解決する

アクティブリスニングとは
chachamal/gettyimages

アクティブリスニングとは、「真剣に、徹底的に相手の話を聞き、質問もしながら理解を深めること」をいう。相づちを打ち、相手の目を見ながら、心から関心を持って相手の話を聞く。聞いた「つもり」になっているだけでは、相手の話が十分に理解できないだけでなく、誤解が生じたり、関係が悪化したりすることもある。「真剣に、徹底的に相手の話を聞く」「質問もしながら理解を深める」の2点を満たしていなければ、アクティブリスニングとはいえない。

アクティブリスニングは、仕事においてもプライベートにおいても、多くの問題を解決してくれるものだ。何かがうまくいかないとき、その原因は「人との関係」にあることが多いものだ。仕事なら、一緒にやる人とうまくコミュニケーションできていなかったり、上司に早めに相談できなかったり、助けようとしてくれる人をうまく巻き込めなかったりすることが原因になっている。その点、アクティブリスニングをすると、仕事で関わる人たちの知恵を尊重し、経験を活かしながら、相手をその気にさせてうまく巻き込んでいくことができるようになるのだ。

プライベートでも、親しい相手となぜかぶつかってしまうことがあるだろう。そこでアクティブリスニングをすれば、相手に「話をしっかり聞いてもらった」「否定されずに耳を傾けてくれた」という満足感を与えることができ、関係がよくなる。

苦手な人との関係さえ、アクティブリスニングによって好転させられることがある。多くの問題は、ちょっとしたすれ違いやコミュニケーション不足から生じているのだ。

大切なのは相手への関心

アクティブリスニングは、本気で取り組まなければできない。相手の話を聞いているふりをしていても、表情筋や声のトーンを完全にコントロールすることはできないため、相手にそのことが伝わってしまう。

アクティブリスニングの最大の敵は、「自分がしゃべりたい気持ち」だ。アクティブリスニングは相手の話を聞くことが出発点なので、自分がしゃべってしまっては意味がない。

人が「しゃべりたい」と感じるとき、それは「自分の話を聞いてほしい」「私のことを見ていてほしい」といった、自分を中心とした気持ちのあらわれだ。ところが多くの場合、相手にも話したいことがある。それを無視して一方的に話すのでは、コミュニケーションのキャッチボールが成立しない。

アクティブリスニングにおいて重要なのは、一方的なおしゃべりではなく、目の前にいる相手の話をどう聞くか、どう深く理解するかという観点だ。相手に強い関心を持ち、心から相手のことを理解したいと思えば、自然と自分がしゃべるよりも相手の話を聞きたいと思えるだろう。しゃべりたくなるのは、相手を軽視しているか、相手の時間を軽く見ているからかもしれない。

かけ合いをくり返し、問題解決へ
mokuden-photos/gettyimages

アクティブリスニングはただの「聞くスキル」ではない。アクティブリスニングを繰り返すことで、問題の本質が見え、解決策が自然に浮き上がってくる。質問によって相手が自らの考えを深め、解決策を導き出してくれることもある。

といっても、ある程度の準備をしておかなければ、閃きを得ることはできない。

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要約公開日 2020.12.30
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