35歳からの後悔しない転職ノート

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35歳からの後悔しない転職ノート
出版社
出版日
2020年08月01日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

日本の労働市場は転換期を迎えつつある。新卒一括採用が疑問視され、年功序列・終身雇用といった日本特有の雇用形態にもほころびが生じはじめて久しい。さらには、リモートワークやフレックスタイム制といった自由度の高い働き方も広がり、労働形態が多様化する一方だ。その影響もあり、転職マーケットの規模も大きくなっている。

だが、こういった状況が転職の成功確率を高めるかというと、そうではないだろう。もちろん、需要の高いスキルを持っていればよいが、実態は中途採用でも若い人が求められているケースが圧倒的に多いという。30代、40代の転職となれば、そう甘くはないのが実情である。

著者はミドル世代の転職を専門とするコンサルタントであり、1万人以上の転職者・経営者への取材経験を持つ。そんな転職のプロフェッショナルが培ってきた「中堅社会人の転職ノウハウ」を開陳したのが本書だ。転職と向き合うためのワークが盛り込まれており、その一つ一つに取り組むことで、「転職を通じて何を得たいのか」「どういう人生を描きたいのか」が見えてくる。

転職はつきつめれば「自分の人生をどうしたいか」ということにつながっていく。タイトルにある「転職願望を持つ30代半ばの社会人」だけでなく、会社人生これからの20代や現役バリバリの40代にとっても、本書は有益な手引書となってくれるだろう。

ライター画像
小林悠樹

著者

黒田真行(くろだ まさゆき)
ルーセントドアーズ株式会社代表取締役。ミドル世代専門転職コンサルタント。
1965年生まれ。1989年、関西大学法学部卒業後、株式会社リクルートに入社。「B-ing」「とらばーゆ」「フロム・エー」関西版編集長を経て、2005年から8年間、転職サイト「リクナビNEXT」編集長を務める。その後「リクルートエージェント」ネットマーケティング企画部長、「リクルートメディカルキャリア」取締役などを歴任。1万2000人を超える転職者・経営者・人事責任者への取材経験から、転職活動の具体的ノウハウや心理的支援、日本の中途採用市場、マッチングの構造に精通する。
2014年、「ミドル世代の適正なマッチング」を目指し、ルーセントドアーズ株式会社を設立。35歳以上に特化した転職支援サービス「Career Release40」を運営している。
2019年、転職を前提としない中高年のキャリア相談プラットフォーム「CanWill」開設。また、転職メディアや人材紹介事業などの人材ビジネス各社の経営課題解決を支援する事業強化コンサルティングも展開している。
著書に『転職に向いている人 転職してはいけない人』(日本経済新聞出版社)、『40歳からの「転職格差」』(PHPビジネス新書)、『採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ』(佐藤雄佑氏との共著、クロスメディア・パブリッシング)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    35歳はキャリアの加速期の折り返し地点である。残された時間を有意義に使うためにも、自身のキャリアについて真剣に考える必要がある。
  • 要点
    2
    なりたい自分を見つけるには、10年後の自分を想像してみるとよい。過去を振り返って、得意だったことや褒められたことを思い出すと、自分の強みを見つけやすい。
  • 要点
    3
    会社選びでは自分なりの優先順位と価値基準をもとにする。望みをすべてかなえる転職は難しいので、優先順位の高い3つをクリアする会社を探すようにしたい。

要約

人生の現在地を知る

35歳はキャリアの加速期折り返し地点

人生100年時代と言われて久しい。仮に90歳まで生きるとした場合、中間点の45歳を境にして人生は大きく6つに分けられる。前半は0~10歳の「育成期」、10~25歳の「学習期」、さらに25~45歳の「加速期」である。そして後半は45~65歳までの「安定期」、65~80歳までの「円熟期」、80~90までの「静活期」となる。

ここからわかる通り、ビジネスパーソンとして働けるのは40年あまりと、実は短い。だからこそ、常に自分の現在地を把握しておきたい。例えば、あなたが現在35歳なら加速期の折り返し地点にいることになる。残りの加速期の10年をどう過ごすか。人生を有意義なものにしていく方法を考えなければならない。

人生の舵取りができているか?
cassinga/gettyimages

自分で人生の舵取りができているか。この問いに真正面から「Yes」と答えられる人は意外と少ない。上司とそりが合わない、会社の体質が古い、本意ではない異動を命じられた。このように、人は自分以外のものに責任転嫁しがちだ。日本社会では、新卒一括採用にはじまり、配属や異動、評価など、自分の意志とは別のところで自身の行く末が決まることも多い。常に「誰かにしてもらう」立場に立たされており、主導権を握る機会が少ないといえる。だが、他責の思考でいては、人生も転職もうまくいかないだろう。

ではどうすればいいのか。転職で成功する人の共通項として、「与えられた目標で満足しない人」という点がある。たとえ会社から与えられた目標を上回ったとしても、自分が想定しているものを超えられなければ喜べない。彼らは常に当事者意識を持ち、自分の可能性を伸ばそうと努力する。こういう人こそ、自分の人生を舵取りできているといえる。

本当の自分を見つけるために

これから10年後の自分を想像する

転職でキャリアを切り開くために有効なのが、「10年後の自分を想像してみる」ことだ。「明日だってわからないのに10年後なんてわかるわけない」と思うかもしれない。そんな場合は、まず10年前を振り返るとよいだろう。10年前どんな仕事をして、どんな成果を出し、どんな課題を抱いていたのか。振り返ると何かしらの気づきを得られるうえに、10年という月日が決して長くはないと感じるはずだ。

もしこのままアクションを起こさなければ、次の10年も同じような流れで進む可能性は高い。理想の10年後に向けて足りないものがあれば、それを把握し、未来を具体的に描いておく必要がある。10年先の未来が想像しにくければ、3年先でもよい。3年後にどうなっていたいかをリアルに考えていくのだ。

なりたい自分を見つける
Jane_Kelly/gettyimages

「なりたい自分」がわからない場合はどうすればいいか。そんなときは自分の人生をエピソードで振り返ってみるとよい。小学校の頃、大学時代、新入社員時代、それぞれに酸いも甘いもいろいろな経験があるはずだ。その中で自分が得意だったこと、褒められたことを思い出してみよう。そうすることで、自己への信頼を覚醒させ、自分の存在価値を再認識できる。自身の強みを認識していることの効果は大きく、それが不安に打ち勝つ原動力となるはずだ。

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要約公開日 2021.01.15
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