Pitch ピッチ

世界を変える提案のメソッド
未読
Pitch ピッチ
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出版社
インプレス

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出版日
2020年07月27日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

「世界を変えたい」という願望を抱いたことがあるだろうか。自分のアイデアが形になり、「ここぞ!」という時に、自分の言葉で自分が必要としている人の心を動かすことができたら——きっと何ものにも変えがたい喜びを感じるはずだ。それを可能にするスキルが、本書が紹介している世界を変える提案のメソッド「Pitch(ピッチ)」である。

日本で初めての「シードアクセラレータープログラム」であるOpen Network Lab(通称:オンラボ)が始まったのは、2010年のことだ。当時の日本では若い起業家は少なく、起業家のロールモデルもいなければ、スタートアップエコシステムも整っていない状態だった。10年間、スタートアップを支援し、成長を加速させようと研究を続けてきたオンラボが、これまでの成果の結実として発表するのが、このピッチなのだ。

時間が限られているスタートアップは、相手の聞く用意が整っていない状況であっても、自分の思いを伝え決断を促さなければならない。わずかな時間でも人の心をつかむためには、入念な準備が必要だ。本書のメソッドは、スタートアップが投資家を動かすことに特化しているように見える部分があるかもしれない。しかし、「相手を動かす力」が有効な場面は、スタートアップに留まらない。自分のアイデアを磨きあげ、人に伝え、動かすというピッチのメソッドは、すべてのビジネスパーソンにとって、魅力的なスキルであるはずだ。スタートアップをはじめ、新しいことに挑戦し、組織や社会を動かしたい人にお勧めしたい一冊だ。

著者

Open Network Lab(オープンネットワークラボ)
Open Network Lab(通称 Onlab オンラボ)は、デジタルガレージが運営する日本初のスタートアップ・アクセラレーターです。「グローバルで活躍する起業家の育成・支援」を目的に2010年4月より活動しています。これまでに日本・米国をはじめとする世界の様々な国や地域のスタートアップから累計1,000チーム以上の応募がありその中から述べ150社以上ものスタートアップに投資し、事業支援を行ってきました。スタートアップの為の短期集中型アクセラレータプログラムの運営や会社経営における最先端のノウハウを持つスペシャリストを招いたメンタリングなどを通じて、スタートアップが成長・成功するための最高の環境を目指しています。

本書の要点

  • 要点
    1
    ピッチは、わずか3〜5分程度の時間で、場所を問わず、決裁権を持つ人を対象に、その場での決断を引き出すための提案方法である。
  • 要点
    2
    ピッチは7項目のフレームワークで構成され、それぞれの要素を磨き上げることでアイデアを具体化し、価値を結晶化させることができる。
  • 要点
    3
    正しい準備をすれば、誰でもピッチで人を動かすことができる。
  • 要点
    4
    スタートアップをはじめ、新しい企画に際して人を動かすとき、ピッチのメソッドを役立てることができる。

要約

【必読ポイント!】ピッチとは何か?

ピッチは「相手に決断させる」もの
gorodenkoff/gettyimages

ピッチとは、一言でいえば「相手の決断を引き出す提案方法」だ。

スタートアップが優れたアイデアを持っていたとしても、提案のために与えられる時間はそれほど長くない。膨大な案件が持ち込まれる投資家にとっても、あらゆるタスクに少数精鋭で取り組むスタートアップにとっても、時間は貴重なものだ。限られた時間の中で、たとえ話を聞く用意のなかった人が相手であっても、口説き落とす。それが、スタートアップに求められるピッチなのだ。

一般的なプレゼンテーションは、用意された場所で数十分~1時間程度をかけて、相手に検討材料を提示し、自らの提案が採択されることを目指す。プレゼンの対象者は決裁権を持っていない担当者であることが多々あり、時間をかけて判断してもらうことになる。それに対して、ピッチはわずか3〜5分程度の時間で、場所を問わず、決裁権を持つ人を対象に、その場での決断を引き出すものである。相手の予備知識や環境などの条件が整っていない中でも、その場で相手の決断を引き出すことがゴールであることがピッチの最大の特徴だ。

相手や目的に合わせて重点を絞り、短い時間でも伝えて決める。このピッチのノウハウは「人を巻き込んでいく力」としてあらゆる場面で活用可能だ。

価値を見極めるフレームワーク
Chaosamran_Studio/gettyimages

スタートアップの資金と事業を拡大させるためのノウハウや機会を提供し、成長を加速させようとする事業を手がけているオンラボのプログラムは、まず7項目のフレームワークを埋めることからスタートする。フレームワークの中身は事業の意義を確認するための「誰の」「課題を」「解決する」「なぜ今」、社会的な価値と創業者にとっての価値を見極めるための「既存代替品」「市場規模」「なぜあなた」だ。このフレームワークは本当の価値を見極めるチェックシートであると同時に、人を動かすために重要なツールでもある。

まず考えなければならないのは、事業の意義に関連する項目だ。対象とするユーザー層を具体的に絞り込む「誰の」、そのユーザー層が抱える解決されるべき悩みを「課題を」、どんな方法を用いてどのくらい悩みを解消するかを「解決する」、課題の緊急性と今後の展望を「なぜ今」の欄に記入する。これらの項目はプロダクトの価値の「仮説」であり、検証することで事業の意義を確認することができる。

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要約公開日 2021.01.17
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