相手の話を聞くとき、三流は話の内容だけ聞き、二流は理解を示すために聞き、一流は共感サインを送りながら聞く。
あなたは、話をしている相手から「聞いてる?」と言われた経験はないだろうか。こうした注意をされる人は、話の目的を「情報伝達」だけだと勘違いしており、相づちさえ打っていればいいと思っていることが多いものだ。だが、聞き方でもっとも大事なのは、相手に「私の話をきちんと聞いてもらえている」「私の気持ちを受け止めてもらえた」と感じてもらうことである。
一流は、視線を合わせる、表情を変える、うなずくなど、相手に「しっかり聞いているよ」というサインを送る。話している相手に対する共感サインは、信頼関係を築く上で必要不可欠だ。
話し上手になろうとするとき、三流は何を話したら良いのか悩み、二流は話すのには困らず、一流はトークよりも聞くことを大事にする。
著者はかつて、まったく売れない営業だった。売上トップの人の商談に同行し、営業トークを真似していたにもかかわらず、全然売れない。悩んだ著者は心理カウンセラー養成講座の門を叩いた。
カウンセリング技術を学び始めると、ある驚愕の事実に気がついた。講座で教わる内容はどれも売上トップの人が実践していることばかりだったのだ。ふたりの違いは聞き方にあり、著者が営業トークを真似したところで、売れるわけがなかった。
信頼関係を築くには、素晴らしい説明は必ずしも必要ではない。相手の話を聞くことが何よりも大切だ。
三流はなんとなく聞き、二流は「自分」に意識を向けて聞き、一流は第二ポジションで聞く。
相手の話を聞いているとき、あなたは何を考えているだろう。たとえば同僚がこう言ってきたとする。「実はこの三連休、子どもがずっと行きたがっていた東京ディズニーランドに行ってきたんですよ。最新のアトラクションは150分待ちだったけど、すっごい楽しくて、みんな大興奮でした!」
三流は、この話を聞きながら「そろそろお昼だ、何を食べようかな」などと自分のことを考えているだろう。
二流は「ディズニーランドか、来月の連休に行ってみようかな。でも連休だとホテル代とかけっこう高いよな」と自分に意識を向け、相手の話を遮って「ホテル代とか、すごい高かったんじゃないですか?」と質問し始める。
二流・三流の例のように、自分に意識を向けて人の話を聞いている状態を「第一ポジション」という。一方、相手に意識を向けている状態は「第二ポジション」だ。第二ポジションにいると、心の中で次のようなことが浮かんでくるだろう。
(○○さんのお子さんたち、ずっと行きたがっていたんだ。良かったなあ)
(きっと、みんなすごく楽しかったんだろうなあ)
(帰ってからの思い出話も、盛り上がったんだろうなあ)
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