重要であることは誰でも知っているが、その定義や「仕事ができる人や業績のいい会社がどうつくっているのか」はあまり知られていない――。それが「付加価値」だ。
まずは言葉の定義からはじめよう。本書における「価値」とは、その商品やサービスに対して「お客様が『これには価値がある』と感じるもの」。「付加価値」は「お客様のニーズを叶えるもの」だ。
付加価値をつくりたいなら、まずは価値の定義をきちんと理解しよう。そのうえで、時間をムダにしないために、次の3つの問いで「自分の仕事に価値があるかどうか」を判断する。
(1)自分の仕事はお客様の「買う」という意思決定に影響を与えているか?
(2)商品・サービスを買った後、お客様は本当に「使う」か?
(3)商品・サービスはお客様の「役に立つ」か?
これら3つのうちどれか1つでも当てはまれば、その仕事には価値があるといえる。
価値の定義を理解しないでいると、大きな失敗を招きかねない。具体例を紹介しよう。
ある大手家電メーカーが「洗浄力、ナンバー1」と謳った洗濯機を開発したところ、まったく売れなかった。消費者が洗濯機に求めているのは、洗浄力よりも容量・乾燥機能・静かさ・節水機能・デザインのよさだったからだ。力を入れて開発したのにまったく売れなかったため、開発費やマーケティング費がムダになってしまった。
こうした失敗を防ぐためには、「どうすれば売れるのか?」ではなく「なぜお客様は自社の商品・サービスを買うのか?」を考えなければならない。
付加価値が生まれるのは、相手のニーズを満たしたときだ。たとえば、レストランのスタッフが料理の素材や調理法を説明してくれるサービスは、多くの人にとってうれしいものだろう。一方、真剣に商談しているときに同じサービスを受けると、「邪魔だ」と思ってしまう。後者はお客様のニーズに合っていないため、付加価値のない、ムダなサービスになってしまっているのだ。
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