「言葉にできる」は武器になる。

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「言葉にできる」は武器になる。
出版社
日本経済新聞出版

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出版日
2016年08月25日
評点
総合
4.0
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

コミュニケーションにおいて何より重要なのは、「相手に納得・共感・共鳴して、想定通りに動いてもらうこと」だろう。だからこそ書店には、説明術やプレゼンテクニックを指南する書籍が多く並んでいる。

ところが、それらの書籍を参考にして「うまく話せた!」と思っても、自分の言葉になったとたん、どこか説得力に欠けてしまうことがある。逆に、言葉数が少なく、その一つひとつがシンプルだったとしても、心を掴まれることもある。その違いはいったい何なのだろうか。本書はその答えをくれる。

本書の特徴は、「外に向かう言葉」よりも「内なる言葉」、つまり自分の頭の中にある言葉に目を向けている点だ。自分の「内なる言葉」を明確にし、幅と奥行きを持たせることで、自ずと「外に向かう言葉」が磨かれると著者はいう。

著者は、「バイトするなら、タウンワーク。」や「世界は誰かの仕事でできている。」などのコピーで知られる、コピーライターの梅田悟司氏だ。梅田氏オリジナルのメソッドを習慣化することで、「内なる言葉」が整理され、説得力のある「外に向かう言葉」を紡ぎ出せるようになる。

言葉がただ単に伝わるだけでなく、人の心を動かすレベルに到達するときに、多くの言葉やしゃれた表現は必ずしも必要ではない。カギとなるのは、その人の熱い思いや考えが言葉に反映されていることだ。うまく伝わらない、いつも定型文に逃げてしまう、思いはあるがうまく言葉にならない……そんな人に、本書のメソッドを試してほしい。

ライター画像
菅谷真帆子

著者

梅田 悟司(うめだ さとし)
コピーライター
武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授
1979年生まれ。大学院在学中にレコード会社を起業後、電通入社。マーケティングプランナーを経て、コピーライターに。言葉を中心に据えたクリエーティブ・ディレクションを行う。2018 年にベンチャーキャピタルであるインクルージョン・ジャパン株式会社に参画し、ベンチャー支援に従事。2022年4 月より現職。
主な仕事に、ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」、タウンワーク「バイトするなら、タウンワーク。」、Surface Laptop 4「すべての、あなたに、ちょうどいい。」のコピーライティングや、TBSテレビ「日曜劇場」のコミュニケーション統括など。経営層や製品開発者との対話をベースとした、コーポレート・メッセージ開発、プロダクト・メッセージ開発に定評がある。
著書に『きみの人生に作戦名を。』(日本経済新聞出版)、『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』(サンマーク出版)ほか。

本書の要点

  • 要点
    1
    他者とコミュニケーションする時に使う「外に向かう言葉」をレベルアップするには、頭の中の「内なる言葉」と向き合う必要がある。
  • 要点
    2
    「内なる言葉」と向き合うためには、頭に浮かんだ言葉を書き出し、幅と奥行きを持たせて、解像度を上げる作業が効果的だ。具体的には、著者オリジナルの7つのプロセスを習慣化するとよい。

要約

なぜあなたの言葉は伝わらないのか?

「内なる言葉」と「外に向かう言葉」

言葉は、自分の感情を正確に、過不足なく伝えるために使うものだ。だが、言葉を尽くしてもうまく伝わるとは限らない。

伝わり方のレベルを細分化すると、(1)不理解・誤解、(2)理解、(3)納得、(4)共感・共鳴の4段階に分けられる。納得と共感・共鳴のレベルに至るのは決して簡単なことではない。

なぜ言葉は伝わらないのか。どうすれば伝わる言葉を生み出せるのか。

カギとなるのは、あなたの頭の中に生まれている「内なる言葉」だ。相手の胸に響く言葉を生み出すためには、書いたり話したりする「外に向かう言葉」そのものを磨くのではなく、「内なる言葉」に幅や奥行きを持たせる必要がある。

頭に浮かぶあらゆる感情や考えは「内なる言葉」によってもたらされている。その事実に気付き、「内なる言葉」に意識を向けよう。「今自分が何を考えているのか」「頭の中にどんな言葉が生まれているのか」を正確に把握することで、「外に向かう言葉」が自然と磨かれていき、言葉に重さや深さが生まれる。

「内なる言葉」に意識を向ける方法として、ここからは著者オリジナルのメソッドを紹介する。

【必読ポイント!】 「内なる言葉」と向き合う7つのプロセス

「内なる言葉」の解像度を上げる
alexsl/gettyimages

「外に向かう言葉」を充実させるには、物事を考えるときに使う「内なる言葉」を豊かにする必要がある。言葉は思考の上澄みでしかないため、内なる言葉の強化なくして、外に向かう言葉を磨くことはできないのだ。

内なる言葉を磨く唯一の方法は、「自分が今、内なる言葉を発しながら考えていることを強く意識した上で、頭に浮かんだ言葉を書き出し、書き出された言葉を軸にしながら、幅と奥行きを持たせていくこと」である。このプロセスは、「内なる言葉」の解像度を上げる行為だと言い換えられる。

「内なる言葉」の解像度が低いと、自分の考えを正確に把握できない。一方、「内なる言葉」の解像度が高いほど、自分の考えが鮮明になる。「うれしい」「悲しい」といった感情をそのまま捉えるのではなく、「内なる言葉」を手がかりとして、感情の根源へと踏み込んでいこう。自分の言いたいことを正確に理解しない限り、「外に向かう言葉」が磨かれていくことはあり得ないのだ。

「思考サイクル」で考えを深める

著者が思考を深めるために行なっている作業は、3つの段階に分かれる。

第1段階は、頭の中の「内なる言葉」を書き出し、同じものをグループ化して思考のクセを把握する段階。第2段階は、アウトプットされた「内なる言葉」を俯瞰して、考えを拡張する段階。第3段階は、あえて逆方向に考えたり、特定の人の立場で考えてみたりして、化学反応を起こす段階だ。

この「思考サイクル」を繰り返せば、「内なる言葉」の語彙が増え、物事を深く考えられるようになる。思考に厚みが生まれ、「外に向かう言葉」がより深く、重いものになるだろう。

「アウトプットする」「拡張する」「化学反応させる」の3つのステップは、7つのプロセスで構成されている。「仕事で成功する」や「自分がこれからどのように生きていきたいか」など、自分にとって今最も考えるべきテーマを決めて読み進めてほしい。

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要約公開日 2023.02.06
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