日本人は気遣いや心配りはできるが、コミュニケーション力は必ずしも高くない。その要因は、「察する」文化にあると考えられる。
察するとは、相手の気持ちを想像し、考えてコミュニケーションをとることだ。悪いことではないが、考えていることは、表現しない限り相手には伝わらない。察してもらうことに依存すると、コミュニケーションはうまくいかなくなる。
コミュニケーションは、「心」を「形」にすることだ。察知力が優れていても表現しなければ意味がない。人は、感謝や謝罪、好意などの「心」を持っている。それらが「形」として表現されなければ、「心」がないと見なされてしまうのだ。
そのため、察する力よりも心を表現する力を磨くことが求められる。まずは喜怒哀楽の表現を鍛えることをおすすめする。
「喜」「楽」は表現しやすい。「お会いできて嬉しいです!」「今日はとても楽しかったです!」のような、普段言わないことを口にしてみよう。慣れてきたら、「~と言われて悲しい気持ちになりました」など、「怒」や「哀」などの感情も言葉にしてみる。
お願いしたいことや直してほしいことも、言葉にしてストレートに伝えたほうが、気持ちの良いコミュニケ―ションにつながる。自分の心だけでなく、相手を正しく理解するように心がけることも大切である。それにより、人間関係の悩みやストレスが減り、生きやすくなるはずだ。
著者はANAやディズニーで一流のコミュニケーションやサービスに触れてきた。その経験によると、また会いたくなる一流の人は、好かれることと信頼感をバランス良く持ち合わせているという。業界、場面、社内外問わず人望が厚い人は、そのバランスを持ち合わせている特徴がある。
若いうちは、親しみやすさを演出しようとするあまり、タメ口で話したり、過度にプライベートな質問をしたりするなど、相手との距離感を間違えてしまうこともあるだろう。ビジネスパーソンとして価値を生み出していくには、好感度や親しみやすさだけではうまくいかない場面が多々ある。仕事を任せられる安心感が求められる。理想は、好かれることと信頼されることのどちらかに偏ることなく、バランスを保つことだ。
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