ここ数年、プチ断食が話題になっている。プチ断食の基本的なルールは、一日の中で「食べる時間帯」を制限するというものだ。16時間断食の場合、一日の最後にとった食事から16時間断食するので、夕食を午後7時にすると、翌日の最初の食事は午前11時となる。
プチ断食が広まる理由のひとつは、絶食時間を守りさえすれば、自分のライフスタイルに合わせて食べる時間帯を決められる点にある。極端な例では、午後6時から深夜2時までを「食べる時間帯」に設定することも可能だ。
ところがこのパターンは、体内時計のリズムに合っていない。体内時計には約24時間周期のリズムがあって、時間によって体の働きや反応が異なる。具体的には、朝は食事でとった栄養をエネルギーに変えるが、夜には使いきれなかったエネルギーを脂肪としてため込もうとする。そんな体内時計のリズムを無視して、体がエネルギーを使おうとするときに食べなかったり、逆に体が脂肪をため込もうとするときに食べたりすれば、ダイエット効果が得られないのは当然だ。せっかくプチ断食をするならば、体内時計のリズムに合わせたほうがいい。
体内時計に合わせてプチ断食をする場合は、まず体内時計のリズムを外界(地球の一日)と合わせることから始めよう。
体内時計は約24.5時間周期で、毎日必ず外界と30分のずれが生じる。このずれを修正するために、体内時計は一日1回、ねじを巻き、時計をリセットする必要がある。体内時計をリセットするには、朝の光を浴びて、朝食をとるのが効果的だ。
一般的なプチ断食では、ライフスタイルに合わせて好きな時間から食べ始めていいことになっている。だが、昼過ぎから食べ始めると、体内時計はリセットされず、外界とずれたままだ。体内時計を考慮すると、朝食は起きてから1~2時間以内に、なおかつ午前9時ごろまでにとるといいだろう。
プチ断食では、朝食の時間が決まれば、一日の最後の食事を何時までに食べ終わるかが決まる。14時間断食ならば、午前8時に朝食をとった場合、最後の食事は午後6時までに終えることとなる。
朝から日中にかけての体内時計は、食べたものを消化、分解し、エネルギーに変えようとする代謝の力が高い。この時間に食べたものは効率的にエネルギーとして燃やされる仕組みだ。
一方、朝食をとらないで、昼過ぎから夜にかけて食べた場合、体内時計はエネルギーをため込もうとするので、食べたものが脂肪としてたくわえられやすい。「朝を中心とした時間帯に食べる」のと「夜を中心とした時間帯に食べる」のではどんな違いがあるのか、16時間断食の効果についての研究結果をみてみよう。
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