一生頭がよくなり続ける

すごい脳の使い方

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すごい脳の使い方
出版社
サンマーク出版

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出版日
2022年11月10日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

大人になって「もっと勉強しておけばよかった」と後悔する人は多い。いまの仕事をうまく進めるため、リスキリングのためなど動機はさまざまだろう。

ところが、大人になってから勉強すると、驚くほど覚えられなくなったように感じる人もいる。だが勘違いしないでほしい。脳の働きが学生時代より劣っているわけではない。実は、脳がその働きを完全に発揮できるようになるのは30歳だ。情報を分析して理解するときに働く「超頭頂野」と呼ばれる部位は、40代に成長のピークを迎える。そして実行力や判断力を司る「超前頭野」は50代でピークを迎えるという。このように、大人の脳は学生時代よりも学びに適した状態になっている。

一方で、大人の脳は怠けものでもある。生存にかかわることを除けば、どんな多彩な情報に触れても、好きなことしか記憶に残らない。逆に好きなことなら、関連する情報を自然とキャッチする。大人の勉強で必要なのは、その対象に興味をもつことだ。難解なテキストを読むときは、少しでも自分の知っている内容が書かれた部分を読むといい。本書では、脳が成長するルールに沿って、記憶力や情報処理能力を高める方法が数多く紹介されている。

「こうなりたい」という前向きな気持ちは、脳にとっての最強のエナジードリンクになる。そう思うと、学びの意欲が高まった今は、脳にとって伸びしろだらけといえる。大人の勉強法は強力な武器になってくれるだろう。

ライター画像
ヨコヤマノボル

著者

加藤俊徳(かとう としのり)
脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社脳の学校代表。昭和大学客員教授。発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家。脳番地トレーニング、脳科学音読法の提唱者。14歳のときに「脳を鍛える方法」を求めて医学部への進学を決意。1991年に、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像の研究に従事。
ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。独自開発した加藤式MRI脳画像診断法(脳相診断)を用いて、小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。脳の成長段階や適職、脳の使い方を診断し、脳を成長させる処方を行う。著書に、『脳の強化書』(あさ出版)、『脳の名医が教える すごい自己肯定感』(クロスメディア・パブリッシング)、『1万人を診た脳内科医がすすめる すごい行動力』(朝日新聞出版)、『ADHDコンプレックスのための“脳番地トレーニング”』(大和出版)、『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)など多数。

加藤プラチナクリニック公式サイト https://www.nobanchi.com/
脳の学校公式サイト https://www.nonogakko.com/

本書の要点

  • 要点
    1
    脳の重要な機能は8つの脳番地に分けることができる。8つの脳番地とは、意思決定の要となる思考系、それを補佐する理解系にくわえ、視覚系・聴覚系・記憶系・感情系・伝達系・運動系である。
  • 要点
    2
    これから勉強したいワードを先に頭に入れておけば、脳が情報を「顔見知りだ」とジャッジし、視覚系や聴覚系が勝手に関連した情報を集めてくれるようになる。
  • 要点
    3
    脳は怠けものだ。だからデッドラインを最初に決めておいたほうがいい。脳にとって作業しやすい時間は20分~50分だ。

要約

大人脳のすごい取扱説明書

大人には大人の勉強法がある

大人になって資格取得や昇格試験のために勉強すると、物覚えの悪さに愕然とするかもしれない。だが、それは年齢のせいではない。高校生くらいまでと大人になってからとでは、脳の働き方がガラリと変わってしまっているのだ。大人になってから学生時代の勉強法を実践しても、期待する効果を得ることはできない。

とはいえ、悲観することはない。脳の「成人式」は30歳だ。20代までの脳は脳科学的には、器官として未発達である。大人になってからのほうが脳は本来の力を発揮できるようになる。記憶力、判断力、決断力なども大人のほうが上だ。脳は生涯にわたって成長し続ける。脳の最盛期は40代後半から50代であり、この時期は学びに最適な時期なのだ。

脳には8つの「番地」がある
bonezboyz/gettyimages

脳には1000億個以上の神経細胞があるが、役割ごとに分かれている。それを「脳番地」と著者は呼ぶ。特に重要な脳番地は、思考系・理解系・記憶系・感情系・伝達系・運動系・視覚系・聴覚系の8つに分類できる。

脳を会社にたとえるなら、意思決定の要である社長が思考系であり、その右腕である常務役が理解系だ。この2つの脳番地の連携が、大人の勉強には欠かせない。

大人になると記憶力が落ちるように感じるのは、大人の記憶系脳番地が、単独ではなかなか働かないからだ。記憶力アップには、感情系と伝達系の働きが欠かせない。感情をふだんから穏やかに保ち、アウトプットを増やすことが有効だ。

さらに脳の成長のために欠かせないのが、新しい情報である。頭がボーッとするときは運動系脳番地を活発にするために体を動かすとよい。そうすれば、視覚系と聴覚系の脳番地も働きはじめるからだ。

ポジティブな感情に海馬はだまされる

記憶の調整役として重要な働きを果たしているのは海馬だ。「これが好き」「この作業は楽しい」といったポジティブな感情を抱くと、海馬は入ってきた情報を重要だと判断し、長期記憶へのルートを開放する。

ポイントは、前向きな感情になることだ。勉強そのものを好きになる必要はない。たとえば、大好きなカフェラテを飲みながらハッピーな気持ちで勉強に取り組んだり、試験に合格したときの「ご褒美」を考えながらテキストを開いたりするなどして、ワクワク感を高めるのも手だ。

また、脳には「学んだことの最初と最後が残りやすい」という性質がある。復習する際は、学んだことの真ん中からスタートすると、知識をまんべんなく身につけやすくなる。さらに、勉強したその日のうちに復習すると記憶の定着率がアップする。

【必読ポイント!】 大人脳をやる気にさせる学び方

私たちは好きなものしか見ていないし、聞こえていない

もし私たちが目に映るものや聞こえてくる音をすべて受け入れていたら、あっという間に脳は満杯になってしまう。そのため、これは必要だろうと思う情報しか受け入れない。

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要約公開日 2023.02.21
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