交渉を通して良好な対人関係を築きたいなら、3つのルールを押さえよう。
1つ目のルールは「マインドセットからはじめる」。交渉のためのマインドセットができていると、あなたの「軸」が明確になり、相手と対等に渡り合える。具体的には次の5つのマインドセットを持とう。
(1)自分の譲れないものは何であるかを明確にしておく
(2)その交渉で手に入るものの重要度を明確にしておく
(3)敵は交渉相手ではなく、「生じている問題」である
(4)交渉の余地や素材は、「ある」と思えば必ず見つかる
(5)自分を「交渉の達人」であると思い込む
2つ目のルールは「事前に相手の情報を集める」。相手の価値観や人生観、仕事に対するスタンス、生い立ち、相手が持つ交渉内容に関する知識・スキル、相手を取り巻く環境・ニュースなどといった情報を、インターネット検索や関係者へのヒヤリングを通して集めよう。持っている情報の質と量によって、交渉の結果は大きく変わってくる。
3つ目のルールは「互いの『利害』に注目する」。相手との「共通の利害」が見つかると、交渉はうまく進む。
交渉における5大セオリーを覚えておくと、交渉術をマスターしやすくなる。一つひとつ紹介しよう。
1つ目のセオリーは「人はコストをかけたものを選ぶ(サンクコスト理論)」。これまで費やしたコストを重視するばかりに、非合理的な判断をしてしまうことがある。「これだけの時間をかけて交渉してきたのだから」「わざわざ遠くから足を運んだのだから」などといった考えに引っ張られないようにしつつ、相手にはサンクコストを強調し、交渉を有利に進めよう。
2つ目のセオリーは「人はあたえてくれる人を選ぶ(返報性の原理)」。人は「他人から恩恵を受けたら、似たような形でそのお返しをしなくてはならない」と考える生き物だ。早い段階で小さな譲歩をするなど、自分から率先して「貸し」をつくるといいだろう。
3つ目のセオリーは「人はリスクをコントロールしてくれる人を選ぶ(プロスぺクト理論)」。私たちは「得する選択」よりも「損をしない行動」を好む。相手に条件を提示するときには、「得られるメリット」よりも「避けられるデメリット」をアピールしよう。
4つ目のセオリーは「人はモヤモヤを解消してくれる人を選ぶ(認知的不協和理論)」。人間は自分の決断に不安を抱き、自己正当化しようとする。交渉では、意図的に相手の中に認知的不協和を起こさせ、その解消をサポートできるような情報を提供すると効果的だ。
5つ目のセオリーは「人はやる気を引き出してくれる人を選ぶ(モチベーション理論)」。この理論の応用方法はさまざまあるが、一例として、相手に「自分が決めた」と思わせるという方法がある。自己決定したことに対して、人は積極的に動くからだ。
会議ではしばしば、最初に発言された意見がその場の空気をつくってしまい、誰も反対することなく通ることがある。そのことを念頭に置き、話し合いの場で自分の意見を通したいなら最初に発言すべきだ。そうすれば、議論の主導権を握ることができる。
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