日本語には「心技体」という言葉がある。スポーツ選手などの能力を語る際によく使われる言葉だ。これは人間が能力を発揮するための条件を表す包括的な概念でもある。
ビジネススキルを「心技体」で考えると、「体」は健康な肉体、「心」は健全な精神や誠実さと考えられる。そして、「技」は「心」と「体」以外の知的能力である。
その知的能力は「知識力」、「対人感性力」、そして「思考力」の3つの要素から成る。これらはいずれもビジネスにおけるさまざまな実務を行う上で必須のものだ。
現代はVUCA(Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性))と呼ばれ、変化が激しく先の読めない時代だ。そうした時代には、思考力の重要性がますます高まっている。
知的能力を構成する3つの要素を詳しく見ていこう。
まず、知識力は「個人が持つ知識の質と量」と定義する。続いて対人感性力は、人の気持ちを理解するスキルだ。これらはいずれもいつの時代も必要となるスキルである。
他方、思考力は新しいものや自分なりのもの、ビジネスであれば他社と差別化するものなど、「違うもの」を生み出すための能力だ。これは変化が激しいときに特に重要になる。
コンピュータの飛躍的発展により、VUCA時代は知識や情報が陳腐化しやすい。また、記憶力の一部をコンピュータに任せてしまえば、人間が知識を保持する必要はなくなる。
ゆえに、膨大な情報や知識を使って、新しい知識を生み出していく思考力が重要となる。
3,400冊以上の要約が楽しめる