なぜ、アメリカは超大国と言われるのだろうか。
スーパーに外国産の食品が数多く並んでいることから察せられるように、私たちの生活は貿易なしでは成り立たなくなっている。そして、この貿易の9割以上が船を使って行われている。島国である日本では、99%が船による貿易だ。
そして、この世界の船の行き来を仕切る国がアメリカである。アメリカは世界最強の海軍を維持するために毎年10兆円以上のお金を投じて、世界各地の海に軍艦を配置している。こんな国は世界でアメリカだけだ。
こうすることで、国同士がケンカになった場合でも勝つことができる。海をおさえていれば、トラブルになった他国の貿易を止めることで倒せる。スーパーで食べ物が買えなくなり、戦争どころではなくなるからだ。
世界で一番強い国であるというとてつもないメリットを守るために、アメリカは海軍に巨額を投じている。
アメリカが圧倒的な軍事力を持っているからこそ、世界の貿易の8割では、通貨としてアメリカドルが使われている。軍事力を背景とした強い信頼だ。お金はみんなが信用するから価値がある。
そのため、最も信用のあるドルを外国が欲しがる。だからドルなしでは貿易ができない。アメリカを大嫌いな国やテロリストでさえも、ドルを欲しがっている。
アメリカが世界中から物を輸入しまくっても破産しないのは、極端に言えば、いくら買っても、ドルを印刷して支払えばいいからだ。まさに「打ち出の小づちを持っているようなもの」である。
海外へメッセージを送る時など、インターネットのデータ通信の99%は、海底ケーブルを通して行われる。
人工衛星を使うより断然早いし、海底ケーブルがなければインターネットは成り立たない。このケーブルを世界で一番張りめぐらせているのがアメリカで、2番目がイギリスである。
これだけ熱心な理由は通信量で儲けるためだけではない。「海をおさえれば、情報をおさえることができる」のが大きな理由として挙げられる。通っていくデータを管理するだけでなく、必要に応じて盗み見ることまでできてしまう。
もちろん、大事なデータは暗号化され、簡単に見られないようになっているが、人のつくった暗号は破れないはずがない。だからこそ、データが通る場所をおさえておいて、他国にとって知られたくない情報を得られるようにしているのだ。
近年でもアメリカの情報機関が、ドイツの首相の携帯電話を長期間、盗聴していたことが明らかになった。当然ドイツも捜査したが、結局うやむやになってしまった。
アメリカのように一番強い国が悪いことをしても、それを裁ける国がないというのが現実だ。日本に対しても同じようなことをしているという話もある。ただし、情報は集めればいいというものでもない。使えるものを精査しているうちに古くなってしまう可能性もある。その情報を使う側のリーダーも賢くなければ宝の持ち腐れになってしまう。
排他的経済水域も含めた海水の体積では日本は世界4位であり、立体的な高さや深さで考えれば世界でも決して小さい国ではない。経済的な存在感という意味でも大国の部類に入る。しかし、経済は成長しているとは言えない。
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