「口ベタ」でもなぜか伝わる

東大の話し方

未読
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出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2023年02月14日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

なぜかお願いを受け入れてもらえない、拒絶されるのが怖くてアイデアを言えない、誰かと分担したい仕事も結局すべて自分でやってしまう……本書は、そんな悩みからあなたを解放してくれる一冊である。

著者の高橋浩一氏は、8年間にわたってコンペの勝率が100%という、営業のプロフェッショナルだ。ところが幼い頃は、「消しゴム貸して」の一言すら言えないほど引っ込み思案だったという。

高橋氏の“口ベタ人生”が変わったのは、東大に入学してからだ。東大で出会った人たちの多くは口ベタだったものの、発言がわかりやすく、人を動かすのがうまかった。その様子を観察しているうちに、多くの東大生は、相手に「ノー」と言われにくい話し方をしていることがわかったという。高橋氏自身も、大学を卒業する頃には相手を動かす話し方が身についていたそうだ。

本書で紹介されるのは、そんな高橋氏が4万人以上の営業パーソンを支援した経験をもとに生み出した、相手を動かす話し方だ。具体的には、「タイプ分類」→「タイプ別に刺さりやすいツボを押さえ、相手が納得しやすい理由を作る」→「理由の前に枕詞をそえて具体的な要望を伝える」の3ステップで相手を動かす。

本書の特長の一つは、高橋氏のメソッドが徹底的に言語化され、ノウハウ化されている点である。具体的なフレーズや会話例もたっぷり掲載されているため、どんな人でも真似しやすく取り入れやすい。誰かにお願いすることが苦手で、いつも損をしがちな人にぜひ読んでもらいたい。

著者

高橋浩一(たかはし こういち)
TORiX株式会社代表取締役。東京大学経済学部卒業。幼少期からコミュニケーションが苦手だったが、東大在学中に、“口ベタ”でも伝わる話し方の「しくみ」に気づき、独自に研究、実践を重ねた。大学卒業後、ジェミニコンサルティング(後のブーズ・アンド・カンパニー)を経て、25歳でアルー株式会社を創業(取締役副社長)。同社の上場に向けた事業基盤と組織体制を作る。2011年、お客様から「イエス」をいただく仕事において、かつての自分同様、話し方、伝え方に困っている人たちの役に立ちたいという思いからTORiX株式会社を設立、代表取締役に就任。8年間、自らがプレゼンしたコンペの勝率は100%という「無敗」の経験を基にしたメソッドが好評で、年間200件以上の講演や研修に登壇、4万人以上の営業強化支援に携わる。著書に『無敗営業「3つの質問」と「4つの力」』(日経BP)などがある。「無敗営業オンラインサロン」を主宰している。
TORiX株式会社HP:https://www.torix-corp.com/
Twitter: @takahashikoichi

本書の要点

  • 要点
    1
    お願いが聞いてもらえないのは、自分の話が相手の脳ミソとズレているからだ。相手の脳が「断る理由」を考え始める前に、「イエス」の理由を積極的に示す必要がある。
  • 要点
    2
    相手のタイプを見極めて、それに合った話し方をするとうまくいきやすい。論理タイプには「メリット」と「一貫性」、感情タイプには「本音」と「一体感」、政治タイプには「みんな」と「権威」が効く。
  • 要点
    3
    お願いごとをするときは、発言のあたまに適切な枕詞を添えるとよい。具体的には、太陽メッセージ、相談モード、限定、NOキャンセリングの4種類が有効だ。

要約

あなたの「お願い」が受け入れてもらえない理由

相手の「古い脳」とケンカしているから

わたしたちは、さまざまな場面で誰かに「お願い」をする。だが、その先に待っているのは「がんばって話せば話すほどうまく伝わらず、動いてもらえない」という結果だ。その原因は脳のしくみにある。

人間の脳は、ヒト以外の哺乳類と同じ「古い脳」と、ヒトとして独自に進化した「新しい脳」で構成されている。「古い脳」は本能的な欲求をつかさどり、「新しい脳」は理性をコントロールする。あなたのお願いが受け入れてもらえないのは、あなたのお願いと相手の「古い脳」がケンカしてしまっているからだ。

たとえば、仕事を効率化するべく、ロジックをしっかり組み立てて新たなITツールの導入を部長に提案したのに、なぜか承認が得られなかったとする。そのとき、部長の脳は次のような状況だ。

いきなり「部長、提案があります」と言われた時点で、部長の「古い脳」は「提案? いったいどんなことだ」と警戒モードに入る。そんなところに「当社の業務はムダが多くて非効率」などと切り出されて、なんだか責められている気分になり、「身の危険」を感じてさらに身構える。その状態で正論を言われようと、決して認める気になれない――。

「断る理由」を先に作られているから
JakeOlimb/gettyimages

相手が一度「ノー」と判断したら、これを覆すのはかなりむずかしい。人に動いてもらいたいなら、相手の脳が「断る理由」を考え始める前に、「イエス」の理由を積極的に示す必要がある。

相手に「イエス」と言ってもらいたいなら、次の3ステップが有効である。

ステップ(1)相手を「3つのタイプ」に分類する

ステップ(2)「6つのツボ」で相手が動く“理由”をつくる

ステップ(3)「4つの枕詞」を使って伝える

要約ではそれぞれのステップを解説していく。

ステップ(1)相手を「3つのタイプ」に分類する

「論理タイプ」の特徴

誰かに動いてもらいたいなら、その人のタイプを分析し、それに合った話し方をする必要がある。著者が1万人以上のお客様を分析した結果、人は何かを決断するとき、3つのタイプに分かれることに気がついた。

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要約公開日 2023.03.01
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