わたしたちは、さまざまな場面で誰かに「お願い」をする。だが、その先に待っているのは「がんばって話せば話すほどうまく伝わらず、動いてもらえない」という結果だ。その原因は脳のしくみにある。
人間の脳は、ヒト以外の哺乳類と同じ「古い脳」と、ヒトとして独自に進化した「新しい脳」で構成されている。「古い脳」は本能的な欲求をつかさどり、「新しい脳」は理性をコントロールする。あなたのお願いが受け入れてもらえないのは、あなたのお願いと相手の「古い脳」がケンカしてしまっているからだ。
たとえば、仕事を効率化するべく、ロジックをしっかり組み立てて新たなITツールの導入を部長に提案したのに、なぜか承認が得られなかったとする。そのとき、部長の脳は次のような状況だ。
いきなり「部長、提案があります」と言われた時点で、部長の「古い脳」は「提案? いったいどんなことだ」と警戒モードに入る。そんなところに「当社の業務はムダが多くて非効率」などと切り出されて、なんだか責められている気分になり、「身の危険」を感じてさらに身構える。その状態で正論を言われようと、決して認める気になれない――。
相手が一度「ノー」と判断したら、これを覆すのはかなりむずかしい。人に動いてもらいたいなら、相手の脳が「断る理由」を考え始める前に、「イエス」の理由を積極的に示す必要がある。
相手に「イエス」と言ってもらいたいなら、次の3ステップが有効である。
ステップ(1)相手を「3つのタイプ」に分類する
ステップ(2)「6つのツボ」で相手が動く“理由”をつくる
ステップ(3)「4つの枕詞」を使って伝える
要約ではそれぞれのステップを解説していく。
誰かに動いてもらいたいなら、その人のタイプを分析し、それに合った話し方をする必要がある。著者が1万人以上のお客様を分析した結果、人は何かを決断するとき、3つのタイプに分かれることに気がついた。
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