2005年、著者は東京の小さな事務所にて、彼の師匠と呼べる大実業家と対面していた。このときの師匠の言葉が、著者の価値観を大転換させることとなる。ここからは著者=僕の目線で綴っていく。
師匠はこう尋ねた。「行動力とフットワークの軽さをもとに今もいろんな人のところに会いにいってるの?」
僕は自信をもって答えた。「はい。行ってます。多くの人から人生は出会いで変わると教えられてきたので」
だが、意外にも反応はよくない。師匠はこう続けた。「お金と時間がもったいないな」
僕の頭は完全にフリーズした。お金や時間を出会いに投資しているのは、将来の人脈を増やすためだ。それは一般的には間違っていないが、師匠は「多くの人が出会いを求めすぎ」だという。挙句、今やるべきことがおろそかになり、本当に大切な人を見失って、命を滅ぼしてしまう。
26歳で商売をはじめた僕は、人脈は広ければ広いほどよいと心底信じていた。すごい人がいると聞けば、全国どこにでも会いにいった。社会的に力のある人と出会えば、チャンスをもらえる。そんな下心が満載で、相手に与えられるメリットを考えていなかった。
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