逆張り思考

戦わずに圧倒的に勝つ人生戦略
未読
逆張り思考
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未読
逆張り思考
出版社
出版日
2023年07月28日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

著者の成田修造氏は、壮絶な家庭環境から起業家・ビジネスパーソンとして成功を遂げた。本書は自身が歩んだ苦難の人生とそれを乗り越えるための思考法を紹介した一冊である。14歳で父親が失踪、17歳で母親が障害を持つこととなり、著者の思春期は多くの試練に満ちていた。しかし、そんな状況でも決して腐ることなく、自分自身で人生を切り開いていった。その原動力となったのが「逆張り思考」である。

逆張りとはもともと株取引における用語で、「株価の上昇局面で売り、下降局面で買う手法」を指す言葉だ。失われた30年といわれるように、日本経済全体は長きにわたり低迷を続けてきた。ただ、そんな中でも成長を続ける市場や会社は確実に存在する。これまでの慣例や常識を疑い、人とは違う道を歩むことで、競争を避けながら成長できる、というのが本書の大きな主張だ。

著者自身、逆張り思考という行動原理に基づいて、さまざまな困難をチャンスに変えている。その結果、大学生の頃から役員として参画した「クラウドワークス」は創業からおよそ3年で上場を果たした。

本書では、人生の逆境や困難をどのように捉えどう向き合ってきたのか、著者自らが語り掛けるように等身大の言葉で伝えている。「起業に失敗した理由」「大会社に入るリスク」といった内容も語られており、社会人はもとより、これから就職活動を控えている学生などにも手に取っていただきたい一冊である。

ライター画像
小林悠樹

著者

成田修造(なりた しゅうぞう)
起業家、エンジェル投資家(国内外数十社のベンチャー企業に投資・支援)。14歳で借金を残して父親が失踪し、その後、母親が脳出血で倒れ、自己破産する。そうした中で慶應義塾大学在学中よりアスタミューゼ株式会社に入社。その後、株式会社アトコレを設立し、代表取締役社長に就任。2012年より、日本最大のアウトソーシングサービス・株式会社クラウドワークスの創業期に参画し、大学4年生で執行役員として入社。取締役に就任後、創業わずか3年目(2014年)、25歳のときに上場を果たす。上場後は取締役副社長兼COO(最高執行責任者)として同社の全事業を統括し、2022年には取締役執行役員兼CINO(最高イノベーション責任者)としてさまざまな新規事業開発や投資に携わる。2023年、クラウドワークスを卒業後、複数の社外取締役などに就きながら、起業等、新たな挑戦を開始する。

本書の要点

  • 要点
    1
    すべての経験が学びでありプラスになる。どんな悲劇も、解釈次第で前向きに捉えることができる。
  • 要点
    2
    「逆張り」の発想でものごとを見ることで、チャンスが転がり込んでくる。反対に、他人と同じ道を進む選択ばかりをしていると、競争に巻き込まれてしまう。
  • 要点
    3
    経済全体が停滞していても、どこかに成長を続けるホットスポットがある。そこに身を置くことで、自分自身も成長させられる。20代こそスタートアップで働くメリットが大きいはずだ。

要約

すべては明るい未来への布石

借金、父の失踪、自己破産

著者は6畳一間に4人、しかも借金まみれという家庭で育った。父はギャンブルや酒に興じて無職。働き手は母親のみで、常に家計は困窮したという。しまいには父が失踪し、成田家は自己破産に追い込まれる。喪失感に見舞われた母は精神が不安定になり、ノイローゼにもなってしまう。14歳だった成田少年も無気力となり、勉強も手につかない状態だったという。

ただそんななかでも、著者は自身の置かれた状況を客観的に俯瞰し、「人生で起こる出来事には、すべて前向きな意味があるはずだ」と肯定的な見方をしていたそうだ。そして、苦境と向き合うことで「誰かに依存することばかり考えず、自分の人生を生きる」という自覚も生まれたという。

すべての経験は学びである
imaginima/gettyimages

「すべての経験が学びであり、プラスになる」。この発想こそが、たとえ厳しい状況であっても前向きに日々を送ることができた理由だ。母のノイローゼ、両親の離婚、経済的困窮―――そのすべてを「悲劇」ではなく「社会を学ぶ好機」と捉えたのだ。

自立した人間になるためには、自分から一歩踏み出し、変わることが大切である。そこで手始めとして、兄・成田悠輔さんに「読書リスト」を作ってもらった。当時の成田悠輔さんは東大受験を控えた麻布高校の3年生で、すでに哲学的素養を身につけていた。その兄から教えてもらった「読むべき本」を一つひとつ読破していく。その経験は多様性に触れる原体験となり、「今までとは違う自分」との出会いにもなった。人と同じことをしていれば、「おおむね人と同じ成果に落ち着く」。だから、自分の行動を変えることが大事なのだ。

そのほかにもいろいろな映画や音楽に触れたり、東大の授業に潜り込んだりして、自身の視野を広げていく。さまざまな情報や外の世界とつながることで、物事を複眼的にみる力の大切さを実感していった。

コンプレックスを強みに変える

自分の軸、個性は誰かと比較したときに相対的に表れるものである。自分の強みを考える場合には、頭の中で強くイメージできる人を思い浮かべて、その人と比較してみると、オリジナルな特徴が見えてくる。

それでも強みがわからない場合は、知識や情報が足りておらず、自己理解を進められていないはずだ。多様な知識や情報と接していると、ワクワクすることが必ず飛び込んでくる。そして、「このテーマを人生に取り入れるとしたら」と、目的意識に変えてみよう。

強みを考えることは「欠点を知る」ことでもある。欠点に目を向けることで嫉妬心やコンプレックスを感じることもあるだろうが、「長所と短所は紙一重」だ。「コンプレックスは強みに反転できる」と解釈できれば、それ自体が「自分を成長させる強力な武器」になる。

【必読ポイント!】 人生は目標設定で決まる

目標の大切さ

自分に自信が持てない、何をしていてもモヤモヤする。そんな無力感を覚えるのは適切な目標を設定できていないからかもしれない。

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要約公開日 2023.10.20
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