半分、減らす。

未読
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半分、減らす。
出版社
出版日
2021年11月05日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「半分、減らす。」

タイトルの通り、本書は多すぎるものを減らして、シンプルに、豊かに生きるための生活術を提案する。「半分」を意識するのは、指標としてわかりやすく、行動変容につながりやすいからだという。たしかに、自分がやりすぎている習慣があったときに、「キッパリとやめる」という選択は難しい。むしろゼロにしようとすることが別の「やりすぎ」になりかねない。「ちょっと減らす」という意識では、何も変えることができなそうだ。そう考えると、なるほど「半分」という意識はわかりやすいし取り組めば行動が変わりそうだと期待できる。

ミニマリストが注目を集め、寄せては返すように断捨離ブームが訪れている。そんななか、本書もまた断捨離を勧める本であるが、おもしろいのは減らしすぎに対しても警鐘を鳴らしている点だ。「全部捨てる」といった極端な行動は、後悔につながりやすい。だから捨てるのも「半分だけ」にしておくのが良いというのだ。

そうして何事にも「ほどほど」を勧める本書は、まさに仏教の教えであるところの「中道の精神」を暮らしに取り入れる提案である。禅僧であり精神科医でもある著者の立場から、心身を整え、豊かに暮らすための生活術が語られる。

物、食事、消費、情報、仕事——。本書の提案に沿って、自分の生活でも「半分」にできるところがないかと考えてみてはいかがだろうか。

ライター画像
池田明季哉

著者

川野泰周(かわの たいしゅう)
精神科・心療内科医/臨済宗建長寺派林香寺住職。
精神保健指定医・日本精神神経学会認定精神科専門医・医師会認定産業医。
1980年横浜市生まれ。2005年慶應義塾大学医学部医学科卒業。臨床研修修了後、慶應義塾大学病院精神神経科、国立病院機構久里浜医療センターなどで精神科医として診療に従事。2011年より建長寺専門道場にて3年半にわたる禅修行。2014年末より横浜にある臨済宗建長寺派林香寺住職となる。現在寺務の傍ら都内及び横浜市内のクリニック等で精神科診療にあたっている。
うつ病、不安障害、PTSD、睡眠障害、依存症などに対し、薬物療法や従来の精神療法と並び、禅やマインドフルネスの実践による心理療法を積極的に導入している。またビジネスパーソン、医療従事者、学校教員、子育て世代、シニア世代などを対象に幅広く講演活動を行なっている。
主な著書に『人生がうまくいく人の自己肯定感』(三笠書房)、『「精神科医の禅僧」が教える 心と身体の正しい休め方』『精神科医がすすめる 疲れにくい生き方』などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    本書は、「半分、減らす」をキーワードに、多すぎるものを減らして、シンプルに、豊かに生きるためのヒントを提案する。
  • 要点
    2
    望むことが増えるほど、並行してやらなければならないことも増え、休みなく動き続けることにつながる。物質的に豊かになるにつれ、心が貧しくなるのはこのためだ。
  • 要点
    3
    食べる量を半分に減らすためには、食べるスピードを半分に落とし、ゆっくり味わいながら食事をするのがおすすめだ。

要約

1/2を心がけよう。

「半分、減らす」のがなぜいいか?

本書は、「半分、減らす」をキーワードに、多すぎるものを減らして、シンプルに、豊かに生きるためのヒントを提案する。「半分」を意識することは、指標としてわかりやすく、行動変容につながりやすい。

たとえば、近年「スマートフォンの使いすぎ」がよく問題になるが、「スマホを使う時間を減らそう」と思っても、どのくらい減らせばいいのか迷ってしまうことだろう。まったく使わないのは現実的ではないし、細かい目安は守るのが難しい。

そこで、「半分」くらいにしてみようと考えることを提案したい。現代人は、仕事でも食事でも買い物でも、「やりすぎる」ことが多い。「やりすぎ」が習慣化したことで、心身の不調や生活環境の乱れにつながっている例も少なくない。

何かを「断捨離」したいときは、「半分減らす」を目安にして実践してみよう。半分減らすには、生活を変えるくらいの新しいルールや工夫が必要だ。それが行動変容を促してくれる。

最初はつらく感じても、人間の脳には「馴化」という機能が備わっていて、脳と心は新しい習慣に必ず慣れることができる。思い切って「半分、捨てる」ことで、人生をより豊かにしよう。

【必読ポイント!】 買っても、買っても、買っても……

なぜ物が豊かになると心が貧しくなるのか
joka2000/gettyimages

誰だって、もっと稼いでぜいたくな暮らしをしたいと思ったことがあるはずだ。そんな欲を減らす方法を考える前にまず考えてほしいのは、物質的に豊かになったその先で、心は幸福感に満たされているかということだ。

欲望が満たされれば幸せな気持ちになるはずだ。だが、現実には物が豊かになるにつれて、心が貧しくなっていくことが少なくない。

それは、願望を叶えようと“やりすぎ”てしまうことが原因だ。望むことが増えれば、並行してやらなければならないことが増える。そうすると、休みなく動かなければならなくなる。その状態が続けば、心身ともに疲れていき、心に余裕がなくなっていく。物質的に豊かになると、心が貧しくなることがあるのはそういうわけだ。

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要約公開日 2023.10.22
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