人は甘えたい時に甘えられないと傷つく。子供だけでなく、いくつになっても甘えの欲求を持った人は傷つきやすい。場合によっては親が子供に甘えるということも起こる。
たとえば、子供に「わー、おいしい料理!」と言ってもらいたくて料理を作っても、子供がそれほど喜ばなかったら、その親は子供をグチグチと責め立てる。感謝されると思っていたのに、期待はずれに終わったからだ。親は子供に拒否されたと思って傷つくのである。
親が子供に甘えるのは「親子の役割逆転」である。この場合、子供は親の甘えの欲求を満たさなければ責められるため、子供自身の甘えは否定される。こうした環境に育った子供は、人の好意を怖くて断れず、相手の不機嫌に怯えるような大人に育ってしまう。親から愛を搾取されると、憎しみ、恐怖、恨み、不安などのマイナス感情が心の底に溜まっていく。そしてその感情を吐き出せずに限界を超えると、ついにはうつになってしまう。
「親子の役割逆転」は外からはわかりづらく、そうでない親子関係とも同じように見えてしまう。しかし、その中で生き延びた子供は「よくここまでたどり着いた」というほど、苦しい思いで生きてきたはずだ。「生き延びた」だけでも奇跡なのである。
もしあなたが生きることに疲れた、もう何をするエネルギーも残っていないというのなら、とにかく休むべきである。「こんなことをしていられない」と焦る必要はまったくない。自殺もせず、犯罪も起こさず、ここまで頑張って生きてきただけでもすごいことなのだ。
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