あなたの「学びの引き出し」には、これまでの人生で得た経験や知識がしまわれている。学びの引き出しの中身は人それぞれ異なり、私たちは日常生活において、これまでの経験や知識を抽象化・具体化・一般化して活用している。
料理にたとえるとわかりやすいだろう。料理をするときの行動は人それぞれだ。レシピを詳細に読み込んでからつくり始める人、レシピをざっくりと見て大まかに進める人。材料を細かく計量する人、目分量で進める人……。
このような違いが生まれるのは、料理の知識や経験だけでなく、それらの使い方も人それぞれ異なるからだ。新たに得た学びをどのように抽象化、一般化、具体化するかが違うため、料理の仕方も変わってくる。
「頭がいい」「学がある」からといって、必ずしも自分らしく活躍できるとは限らない。すばらしい学歴や資格を持っていなくても、自分らしさを発揮しやすい「スイートスポット」を見つけて結果を出している人はいるものだ。
こういう人たちは、何を学びにするかという自分の「軸」を理解し、今の自分にとって必要な学びを選び取っている。その軸、本書で著者が「学び軸」と呼んでいるものこそ、スイートスポットを見つけて自分らしく活躍するためのヒントになる。
著者が新卒で入社したとき、社内にはいわゆるエリートがたくさんいた。著者はそんな環境でも自分なりのルートを見つけるべく、「入社時はノンエリートだったが、今は社内で活躍している人」を観察した。観察の結果、その人たちは、自分の中にある軸に従って「何を学ぶか」「どう学ぶか」を決めているように見えた。
こうして著者は学び軸の存在に気づき、学び軸を中心とした学びに目を向けることにした。つまり、自分の学び軸が求める分野や、自分にとって苦ではない分野を学ぶことにリソースを注ぐのだ。その結果、自分だけのポジションを獲得でき、同期180人中一番で本社ポジションへ異動することができた。
「何を自分の学びにするか」という学び軸は、学びの引き出しを照らすライトとなる。ライトがあると、学びの引き出しの奥深くにしまい込まれていた過去の学びをうまく活用できたり、自分らしく生きるために必要な学びや本当にやりたいことがわかり、未来の学びの引き出しを充実させられたりする。
学び軸は「感性」と「資質」という2つの要素で構成されている。
3,400冊以上の要約が楽しめる