避けられなかった失敗、 失意、喪失、そして挫折。著者はそのときの悔しさや憤り、虚しさ、悲しさなどのさまざまな感情や心の傷を、できるだけ新鮮なまま凝縮させて結晶化したいと考えている。 そして、時々それらをリアルに思い出し、味わうのだ。これが本書のカギを握る「飴玉」という概念である。
著者は、米国のハーバード・ロースクール留学中に、 前職の弁護士事務所を辞めたときの人生最大の挫折を思い出すようになった。当時の悔しい感情を繰り返し味わう行為は、飴玉をなめている感覚に近いと思うようになり、「飴玉」について意識し始めたのだ。
飴玉をなめると、当時のさまざまな負の感情がよみがえり、苦しさもある。だが、「もう同じような悔しい思いをしないために、苦しくても努力を継続するんだ」と、自分を鼓舞してくれる。
飴玉をつくることは失敗や挫折から逃げずに正面から見据えることであり、作成過程でさまざまな気づきが得られる。そして飴玉は自分でなめる以外に、他人に差し出すこともでき、相手の学びにもなる。今の著者の人生には、欠くことのできないものになっている。
Webメディア「日経xwoman(クロスウーマン)」のインタビューで、2つの特大飴玉について赤裸々に話をした。初の告白への反応が不安だったが、読者からは、失敗経験を前向きにとらえた励ましのコメントが多数届いたそうだ。
著者は若い頃、教育をしてくれたり気にかけてくれたりする女性の先輩が職場におらず、孤独を感じていた。もしも読者からのコメントのように温かい助言をしてくれる先輩が当時いたならば、つらい場面も乗り越えて、人生が変わっていたかもしれないと考えている。
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