いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方

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いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方
出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2023年09月05日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

こんな職場をイメージしてみてほしい。メンバーのやる気がなんとなく低迷しているように見え、不満を漏らす人もいる。有望な中堅社員の転職が増えている。マネジャーは、1on1でメンバーの本音ややる気を引き出そうと試行錯誤するが、なかなか解決の糸口が見えない。さらには、会社全体に目を向けると、業績も悪化しているようだ。

こうした個々の問題は、それぞれ別の課題のように見えるが、実は「目に見えない」ところで、同じ要因に根差している可能性もある。たとえば、メンバーのやる気やマネジャーのスキルを高める研修をすれば解決するというわけではない。もっと組織の深いところにある根本的な原因へのアプローチが必要かもしれない。

こうしたときに頼れる手法が「組織開発」だ。組織開発とは、個人のスキルを向上させる「人材開発」とは違い、組織そのものに着目して「良い組織」を目指すための試みを意味する。

本書は組織開発の入門書だ。まず組織開発の基本を押さえて、組織開発のはじめ方、留意すべき点、さらには多様な企業・組織の実践事例も学べるという一冊だ。優しくて頼りになる先輩のような語り口だからか、読むと「自分たちの組織でも取り入れられそう」という気持ちが強まっていく。

個々人が生き生きと力を発揮しながら協働し、成果を出す組織をつくりたい。経営層や管理職層はもちろん、こうした願いをもつすべての方に、ぜひ本書をおすすめしたい。

ライター画像
Keisuke Yasuda

著者

中村和彦(なかむら かずひこ)
南山大学人文学部心理人間学科教授。名古屋大学大学院教育学研究科教育心理学専攻後期博士課程満期退学。教育学修士。専門は組織開発、ラボラトリー方式の体験学習、グループ・ダイナミックス。米国NTL Institute 組織開発Certificate Program修了。トレーニングや組織開発コンサルティングなど、さまざまな現場における実践に携わるとともに、実践と研究のリンクを目指したアクションリサーチに取り組む。主な著書に『入門 組織開発』(光文社)、『組織開発の探究』(共著、ダイヤモンド社)がある。

早瀬信(はやせ まこと)
組織開発コンサルティング会社セセリー代表。早稲田大学理工学部卒業後、キヤノン株式会社へ入社しマーケティングなどに従事。退職後も続けられるスキルを得るため、社内異動を希望し組織開発コンサルタントとなる。約11年のコンサル実践、延べ2000人以上の指導経験を持つ。定年退職後に独立。特定手法に依存せず、組織状況に寄り添う柔軟な組織開発支援を行う。

高橋妙子(たかはし たえこ)
組織開発コンサルタント。南山大学大学院人間文化研究科修士課程(教育ファシリテーション専攻)修了。同大にて中村和彦氏に師事。卒業後、リクルート系企業を経て、事業会社経営後、コンサルティング会社設立。組織開発コンサルタント歴は15年におよぶ。全国4万人規模の企業経営者の会の会長や副支部長などを歴任。専門は組織開発や人間関係。組織開発の権威である米国NTL Institute組織開発Certificate Program修了。自律型組織づくりや関係性構築を笑顔でサポート。

瀬山暁夫(せやま あきお)
経営理念浸透コンサルタント。中小企業診断士。1995年同志社大学経済学部卒、2023年より同志社大学大学院総合政策科学研究科在学。中小・中堅企業を対象とした経営理念の策定・浸透の伴走支援者。経営トップとの対話や経営幹部のプロジェクトによりミッション・バリューを言語化し、組織開発の価値観に基づくワークショップで社員の理解・共感・行動変容を促進する。中小・中堅企業経営者との交流500人超。関与企業約100社。

本書の要点

  • 要点
    1
    組織開発とは、「目に見えにくいこと」をテーブルの上に載せて、みんなで話し合い、「良い組織」を目指すことである。
  • 要点
    2
    組織開発の「対話」では、業務に近い「タスク・プロセス」と、職場の雰囲気やモチベーションなどの「メンテナンス・プロセス」の両方に目を向けていく。
  • 要点
    3
    組織開発の全体の流れは「成功の循環モデル」の4段階に分かれる。「関係の質」向上が「成果の質」を上げる出発点となる。

要約

いま必要とされる「組織開発」とは

「目に見えにくいこと」をテーブルの上に載せる

チームでいくつもの課題が生じた。メンバーの1人は休みがちで、チームの売上実績が下がってきている。密かに不満をもらすメンバーが増え、リーダー格の若手は転職してしまった。

そのような場合、売上とメンバーのやる気低下は無関係ではないだろう。そこには表面上ではとらえきれない要因がある可能性が高い。このような状況で必要なのは、「目に見えにくいことの調整」だ。

一人ひとりの仕事に対する思いや「こうしたほうが良いのでは?」というアイデアなど、なかなか表に出てこないところにモヤモヤの原因があるのかもしれない。そのようなときに組織そのものに着目し「良い組織」を目指した取り組みを実施するのが組織開発だ。組織開発は、「目に見えにくいこと」をテーブルの上に載せて、みんなで話し合うことで問題解決を図る手法だ。

「良い組織」の3つの条件
Nuthawut Somsuk/gettyimages

では「良い組織」の「良い」とは何だろうか。「良い」には3つの観点がある。

(1)効果性:目標達成ができる

(2)健全性:明るくイキイキ元気がある

(3)継続性:良い状態を自分たちで継続できる

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要約公開日 2023.12.15
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