仕事は「決めて実行する」ことの連続だ。しかし新任管理職は、決めることへの不安から先延ばしにしがちである。初めは「慎重な人」と思われるだけだが、そのうちに「臆病な人」「決断できない人」と評価が下がり、最後は「無能」のレッテルが貼られる。外資系において「無能」とは不要人材である。
決断に対する心理的負担を乗り越えるには、意思決定に慣れることである。そのためには「決断のデッドライン」を設けるといい。車の運転と同じで、決めることも慣れるほかないのである。
では、「決断のデッドライン」はいつにすべきか。決断に自信がない人ほど余裕をもたせてしまいがちであるため、自分が思うタイミングの半分くらいがちょうどいい。短期間で決めることを繰り返していくうちに、徐々に慣れていくはずだ。
部下に対しても「いつまでに決めるのか」と声をかけていくと、チームとしての意思決定力が上がっていくだろう。
決定の不安を乗り越えるために、「失敗したらこうしよう」と事前に決めておくのもおすすめだ。新任管理職は、責任と影響力の大きさから「失敗したらどうしよう」と不安になりがちだ。しかし、何事も「やってみないとわからない」ことが大半であり、「やってみて修正する」という姿勢が大切である。
米国のある資産運用会社では、新しい運用手法を開発するときは、会社の自己資金でパイロットファンドを立ち上げ、実際に市場で運用してみるという。そうすると、コンピューターのシミュレーションでは把握できなかった想定外の事態が把握できる。そしてここでの改善点を反映させて、実際の運用に展開していくのである。
検討に時間をかけるより、やってみた方が物事は早く進む。「うまくいかなければ修正しよう」と決めておき、「やってみて修正する」というサイクルを回すことが、成果への近道なのだ。
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