新 管理職1年目の教科書

外資系マネジャーが必ず成果を上げる36のルール
未読
新 管理職1年目の教科書
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外資系マネジャーが必ず成果を上げる36のルール
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新 管理職1年目の教科書
著者
出版社
東洋経済新報社

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出版日
2023年04月27日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

本書の特徴は、「日本式」マネジメントではなく「外資系」マネジメントをベースにしていることだ。昨今は日本企業の評価軸も「年功序列」ではなく、「仕事の成果」を重視するようになってきているからだ。

本書には、成果を出し続ける外資系マネジャーが大切にする36のルールがまとめられている。決断を迅速にするマインドセットやチームの生産性を上げる方法、部下の主体性の引き出し方など、新任管理職が学んでおくべきスキルが詰まっている。

著者の櫻田毅氏は、米国の資産運用会社の日本法人で部長や執行役を務めてきた経歴を持つ。本書には著者が実際に経験したエピソードも差し込まれており、肩ひじを張らずに読み進められる。たとえば、仕事をすぐに片付けてしまう同僚を「仕事の速さにかけてはウサイン・ボルトのようだった」というくだりは、要約者の頭の中で同僚の姿が膨らみ、リアリティを持って受けとめられた。

AIをはじめとした技術革新により、ビジネスを取り巻く環境は急激に変化している。企業も従来のやり方にとらわれることなく、競争力を維持して生き残らなければならない。本書は2017年に刊行された『管理職1年目の教科書』に大きく加筆修正したもので、よりいまの時代に即した内容に改変している。

管理職は企業の要である。新任管理職に限らず、すべての管理職および将来の管理職候補にも目を通していただきたい一冊だ。

ライター画像
霧島大和

著者

櫻田毅(さくらだ たけし)
人材活性ビジネスコーチ/アークス&コーチング代表
九州大学大学院工学研究科修了後、三井造船(当時)で深海調査船の開発に従事。日興證券(当時)での投資開発課長、投資技術研究室長などを経て、米系資産運用会社ラッセル・インベストメントで資産運用コンサルティング部長。その後、執行役COO(最高執行責任者)として米国人CEO(最高経営責任者)と共に経営に携わる。2010年に独立後、研修や講演などを通じて、これまで1万人以上のビジネスパーソンの成長支援に関わる。日本投資顧問業協会、日本証券アナリスト協会などの委員を歴任。主な著書に『管理職3年目の教科書』(東洋経済新報社)、『外資系エグゼクティブの逆転思考マネジメント』(ぱる出版)がある。
【櫻田毅公式サイト】 https://arcscoach.com/
【無料メールマガジン】 櫻田毅の『輝業力通信』(上記公式サイトから)

本書の要点

  • 要点
    1
    管理職には迅速な意思決定が求められる。早めに「決断のデッドライン」を設定して決断を繰り返し、意思決定に慣れることが大切だ。
  • 要点
    2
    生産性を高めるためには、目の前のことを「使えるか、使えないか」で判断せずに、「どうやったら使えるか」と考えるべきだ。
  • 要点
    3
    部下への権限委譲とはできる人に任せることではなく、できない人に任せて、できるようにすることだ。正しく権限委譲するには、裁量権と判断基準の両方を与えなければならない。
  • 要点
    4
    考えや意見を肯定する「イエスの文化」で、部下の自主性を引き出そう。

要約

迅速な意思決定のルール

「決断のデッドライン」を設定する

仕事は「決めて実行する」ことの連続だ。しかし新任管理職は、決めることへの不安から先延ばしにしがちである。初めは「慎重な人」と思われるだけだが、そのうちに「臆病な人」「決断できない人」と評価が下がり、最後は「無能」のレッテルが貼られる。外資系において「無能」とは不要人材である。

決断に対する心理的負担を乗り越えるには、意思決定に慣れることである。そのためには「決断のデッドライン」を設けるといい。車の運転と同じで、決めることも慣れるほかないのである。

では、「決断のデッドライン」はいつにすべきか。決断に自信がない人ほど余裕をもたせてしまいがちであるため、自分が思うタイミングの半分くらいがちょうどいい。短期間で決めることを繰り返していくうちに、徐々に慣れていくはずだ。

部下に対しても「いつまでに決めるのか」と声をかけていくと、チームとしての意思決定力が上がっていくだろう。

失敗したときの対策を考えておく
maruco/gettyimages

決定の不安を乗り越えるために、「失敗したらこうしよう」と事前に決めておくのもおすすめだ。新任管理職は、責任と影響力の大きさから「失敗したらどうしよう」と不安になりがちだ。しかし、何事も「やってみないとわからない」ことが大半であり、「やってみて修正する」という姿勢が大切である。

米国のある資産運用会社では、新しい運用手法を開発するときは、会社の自己資金でパイロットファンドを立ち上げ、実際に市場で運用してみるという。そうすると、コンピューターのシミュレーションでは把握できなかった想定外の事態が把握できる。そしてここでの改善点を反映させて、実際の運用に展開していくのである。

検討に時間をかけるより、やってみた方が物事は早く進む。「うまくいかなければ修正しよう」と決めておき、「やってみて修正する」というサイクルを回すことが、成果への近道なのだ。

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要約公開日 2023.12.27
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