[新装版]心を高める、経営を伸ばす

素晴らしい人生をおくるために
未読
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素晴らしい人生をおくるために
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[新装版]心を高める、経営を伸ばす
出版社
出版日
2004年04月30日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

理想や目標が必要なのはわかるが「そうはいっても現実は難しい」と諦めてしまう。

同じ地味な仕事ばかりを続けており「こんな仕事ばかり続けていていいのか」と不安を抱く。

周囲がみな優秀に見え「自分はなんてダメなんだろう」と劣等感にさいなまれる。

黙々と真顔で仕事をしている人たちも、心のなかでは多くの葛藤を抱えている。エンゲージメント、モチベーション、心理的安全性が大事と言われているけれど、なかなかに難しい。しかも、リモートワークで働く姿が見えにくいときもある。働く人たちの「心」のさまざまな問題に、頭を抱えるリーダーは多い。

本書の著者、稲盛和夫は「人の心をベースに経営を行ってきた」伝説的な経営者だ。時代や環境の移ろいにも変わることのない原理、原則を重視し、「人を動かす原動力は公平無私」と言い切る彼を信じたいくつもの組織が、業績を着実に伸ばしている。

冒頭で例示したような「悩める社員」は、最近になって現れたわけではない。本書が書かれた約30年前にも共通の課題があったのだ。「世代が変わると価値観も変わる。自分の経験談は若い人たちにとって昔話でしかない」と自信をなくしていた先輩世代のビジネスパーソンも、著者の話を通じて「変わらないことも結構ありそう」と思い直せる。人生の大先輩が残した言葉にもしあなたが共感するなら、そこには若い人たちも熱烈に共感してくれる根があるに違いない。反発心が芽生えたとしても、それがいつか「羅針盤」になる日は来る。その揺るぎなさが、多くの人を導いてきたのだ。

ライター画像
Keisuke Yasuda

著者

稲盛和夫(いなもり かずお)
1932年、鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。59年、京都セラミック株式会社(現京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年より名誉会長。また84年には第二電電(現KDDI)を設立、会長に就任。2001年より最高顧問。10年、日本航空会長に就任。15年より名誉顧問。一方、1984年には稲盛財団を設立すると同時に「京都賞」を創設。「盛和塾」の塾長として、経営者の育成に心血を注いだ。2022年、90歳で逝去。主な著書に、『[新装版]成功への情熱』(PHP研究所)、『生き方』(サンマーク出版)、『働き方』(三笠書房)、『考え方』(大和書房)、『稲盛和夫一日一言』(致知出版社)、『経営12カ条』(日経BP)などがある。
稲盛和夫オフィシャルホームページ https://www.kyocera.co.jp/inamori/

本書の要点

  • 要点
    1
    「仕事に打ち込み、世の中に役立ち、自身も幸せだった」と感じる生き方は、みなが求めるものだ。
  • 要点
    2
    人として正しいことを正しいままに貫く原理原則を基準に判断・行動する。
  • 要点
    3
    人を動かす原動力は公平無私だ。私利私欲を脱して「集団のために」を座標軸にする。
  • 要点
    4
    相手から信頼してもらえる心に自らを高めなければ、信頼関係は生まれない。
  • 要点
    5
    真の経営者とは、従業員を幸せにする「大きな愛」を使命と感じ、全身全霊で経営を行っている人である。

要約

素晴らしい人生を送るために

人生の目的、目標を考える

人生の目的を見失う若者が増えている。給料をもらうために働き、趣味に生きがいを求める人も多い。時代の流れではあるが、そればかりでは空しくなる。

「仕事に打ち込み、世の中に役立ち、自分自身も幸せだった」と感じられる生き方は、「最終的にみなが求めているもの」だろう。「善を追求するという人間の本質は変わらないから」だ。

人生経験を積んだ三十代後半以降の人たちが、「古い話は通じないと思い込み、人生について話していない」。自信をもって自分の生き方を語る姿に、若者もきっと共鳴するはずだ。

アメリカでは高校までは人生の目標を醸成するために、大学に入ってからはその目標を達成するために勉強する。一方日本では、子どもに対して「自分の人生目標をどのように設定するか」を学ばせることがない。

人生の入り口では、「自分はどういう人間なのか」「人生をどう生きたらいいのだろうか」について考える機会が必要だ。人生の目標を持った人と、そうでない人とでは、「人生の後半で相当な差がついてしまう」。

ひとつのことに打ち込み、日々創造する
Laurence Dutton/gettyimages

ひとつのことに打ち込み、それを究めることで森羅万象を理解できる段階に達する。長年の仕事で素晴らしい技術を習得した大工さん、修行で人格を磨いてきたお坊さん、一芸を究めた作家や芸術家などの話には大変な含蓄があるものだ。

地味な仕事ばかり続くと「こんなことばかりしていていいのだろうか」と不安がり、他の仕事を求めたくもなる。しかし、広く浅い知識は何も知らないのと同じだ。

一方で、最初に決まった仕事が生涯の仕事になるわけではないものの、ただ辛抱すればいいということでもない。ひたむきに努力して、「常にこれでいいのか」を振り返る。いつも同じことを、同じ方法・同じ発想でやってはいけない。

小さなことでも毎日反省し、改良する。それは長い年月を経て、素晴らしい進歩につながる。「基礎を教わったら、自分自身で工夫していく」、それが創造だ。

【必読ポイント!】 仕事を向上させるために

原理原則を基準とし、本能心を抑える

常に、原理原則を基準として判断し、行動することだ。常識や経験だけでは、新しいことと向き合ったとき、解決できずにうろたえてしまう。

原理原則に基づくことは、道徳や倫理を基準として、「人として正しいことを正しいままに貫いていこう」ということだ。人としての道理に基づいた判断は、どんな環境でも通じる。このような判断軸が持てれば、未知の世界にも動じずに飛び込んでいける。

人間には、闘争心や嫉妬など、自分を守ろうとする「本能心」と、論理的に推理・判断する「理性心」がある。本能心を抑えることで、心に空間が生じて理性心が芽生える。

本能心を完全になくしたら生きていけないが、最小限に抑えるよう努めるべきだ。欲望が出てきたら「勝手なことを思うな」と自分に言い聞かせる。この習慣が理性心と、正しい判断につながる。

大胆にして繊細であれ

人間には、繊細で内気な人と、大胆で外交的な人という2つのタイプがある。仕事には、この両面が必要だ。

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要約公開日 2024.01.04
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