THE POWER OF REGRET

振り返るからこそ、前に進める
未読
THE POWER OF REGRET
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THE POWER OF REGRET
出版社
かんき出版

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出版日
2023年12月04日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

後悔という感情は忌み嫌われる存在だ。「あのとき、勇気を出して行動していれば……」「あんなことをしなければ、今頃もっといい人生を送れていたのに……」といったことを考えるとき、あたたかい気持ちになる人はいない。多くの人は、頭に何度となく浮かぶ後悔をやっとの思いで振り払っているのではないだろうか。

本書は、後悔に振り回されがちな人にぜひ読んでほしい一冊だ。

著者は『ハイ・コンセプト』や『モチベーション3.0』などのベストセラーで知られるダニエル・ピンク氏。ダニエル氏は2020年、アメリカ人の後悔について史上最大規模の定量調査を実施し、4489人の人々がいだいている後悔について調べた。さらに「ワールド後悔サーベイ」というウェブサイトを開設して、世界中の人々から後悔の体験談を募った。

こうした調査・研究をもとに、本書では、後悔の持つ力から、人がいだく4種類の後悔、後悔を生かしてよりよい人間になる方法、“後悔の最適化”メソッドにいたるまで、後悔についてあらゆる角度から語りつくしている。

要約者にとって特に印象的だったのは、「後悔の感情を前もって予測し、それに基づいて行動を改めよ」という教えだ。つい目先の欲求や感情に突き動かされてしまいがちだが、「この行動は将来の後悔を招くだろうか?」と自問することを忘れないようにしたい、と感じさせられた。

後悔を歓迎する人などいない。だが本書を読み終えると、後悔に対する印象が少し変わることだろう。後悔とうまく付き合っていきたい人に一読を勧めたい。

著者

ダニエル・ピンク(Daniel H. Pink)
1964年生まれ。ノースウェスタン大学卒業、イェール大学ロースクール修了。米上院議員の補佐官、ロバート・ライシュ労働長官の補佐官兼スピーチライターを経て、1995~97年はアル・ゴア副大統領の首席スピーチライターを務めた。
フリーエージェント宣言後は、ビジネス・経済・社会・テクノロジーをテーマに、記事や論文の執筆、講演などに従事。行動科学をテーマにしたテレビ番組の共同プロデューサーを務めたこともある。
過去の著書はこれまでに42カ国語に翻訳されており、すべての著書の日本語版が出版されている。『フリーエージェント社会の到来』(ダイヤモンド社)、『ハイ・コンセプト』(三笠書房)、『ジョニー・ブンコの冒険』『モチベーション3.0』『人を動かす、新たな3原則』『When 完璧なタイミングを科学する』(以上、講談社)がある。
世界のトップ経営思想家を選ぶ「Thinkers50」の常連で、2021年のランキングでは9位に選出。

本書の要点

  • 要点
    1
    後悔は、人間を人間たらしめるものであると同時に、人間をよりよい人間にしてくれる。
  • 要点
    2
    人間がいだく後悔は、主に「基盤に関わる後悔」「勇気に関わる後悔」「道徳に関わる後悔」「つながりに関わる後悔」の4種類に分けられる。選択や行動に迷う際、この4種類の後悔を招きそうにないなら、あまり重く考える必要はない。
  • 要点
    3
    自分の行動に確信がもてないときは、「もし~~をしなければ、私はその決断を将来後悔するだろうか」と自問してみよう。

要約

後悔を理解する

ネガティブな感情のポジティブな側面

ほとんどの人は、ポジティブな感情を歓迎する一方、ネガティブな感情を遠ざけようとする。だが実は、ネガティブな感情が少なすぎるのもよくない。

恐怖心があるからこそ、私たちは炎上する建物から逃げ出し、蛇を踏まないように慎重に歩く。嫌悪感をいだくからこそ、有毒なものを避け、悪しき振る舞いを躊躇する。ネガティブな感情をいだく能力がなければ、人類はここまで生き延びていなかっただろう。

悲しみ、侮蔑、罪悪感……ネガティブな感情にはさまざまな種類があるが、それぞれを見ていくと、ある感情が最も強力で最もしばしば発生することに気づく――後悔だ。後悔は、人間を人間たらしめるものであると同時に、人間をよりよい人間にする感情である。

後悔を感じさせる2つの能力
Adene Sanchez/gettyimages

人は2種類の能力があるからこそ、後悔を感じる。脳内で過去と未来を訪ねる「タイムトラベル力」と、実際に起きていないことをストーリーとして語る「ストーリーテリング力」だ。

たとえば、著者らの調査に対して次のように打ち明けた人がいる。「大学院の学位を取得すればよかったと思っています。当時の私は父親の願望を受け入れて、大学院を中退してしまったのです。学位を取得していれば、私の人生の軌跡は違うものになっていたでしょう。もっと満足感と充実感、そして達成感を味わえたはずです」

この人は後悔の念を吐露するとき、素早く頭を回転させている。まず、学業と職業の進路を検討していた日々にタイムトラベルする。そして、父親の望みに従ったという事実をなかったことにし、大学院で学ぶというシナリオを思い描いたあと、再びタイムマシンに乗って現在へ戻る。その世界には自分の希望どおりの人生が待っており、満足感と充実感と達成感を味わえる――。こうしたタイムトラベルとストーリーテリングの能力は、成熟した人間だけがもっているものだ。

後悔がもたらす3つの恩恵

研究によると、後悔の感情に適切に対処すれば、3つの大きな恩恵が得られる。

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要約公開日 2024.01.17
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