多拠点ライフ

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多拠点ライフ
出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2023年08月11日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

現代社会は変化が激しく先が見えない。不安定な経済、国際紛争、自然災害、感染症などによって、手に入れた資産やキャリアが一瞬でなくなってしまう可能性がある。そんな時代を生き抜くためには「分散する生き方」という考えを持つべきだ――著者の石山アンジュ氏は本書でそう語っている。

本書で提示される「分散する生き方」とは、家や仕事やコミュニティを複数同時に持つ「多拠点ライフ」のことだ。多拠点ライフには、都会と田舎を行き来する二拠点ライフ、仕事と休暇を組み合わせたワーケーション、バンやキャンピングカーなどで移動しながら働くバンライフなどがあり、コロナ禍でリモートワークが普及したことにより、ますます広がりを見せている。多拠点ライフなら、激しく変化する社会に合わせて生活様式を柔軟に変化させ、不安やリスクを回避することができるのだ。

著者の実家はシェアハウスで、多様な人たちと人生をシェアしてきたそうだ。現在は東京・渋谷のシェアハウスと大分の農村の古民家の二拠点を行き来する多拠点ライフを実践しているという。自身の経験をもとに、「多拠点ライフ」のすばらしさを伝える活動に尽力すると同時に、政府と民間の間に立ち、シェアリングエコノミー伝道師としても活躍している。

これからの時代、変化に柔軟に対応できないことや、多様な価値観を知らないことは大きなリスクとなるだろう。「多拠点ライフ」に興味のある人はもちろん、今の生活に不安を感じている人や新しい生き方を模索している人に、ぜひ読んでもらいたい。

ライター画像
児島奈美

著者

石山アンジュ(いしやま あんじゅ)
社会活動家。シェアハウスで育つ。シェアリングエコノミーを通じた新しいライフスタイルを普及するほか政府と民間の間に立ちながら社会課題の解決に取り組む。2019年から大分県の農村集落と渋谷のシェアハウスを行き来する二拠点生活を開始、以降、全国を転々とする生活を送る。政府の多拠点生活のあり方を議論する国土交通省「関係人口・ライフスタイルに関する懇談会」や地方創生の中長期戦略を議論する内閣官房「地方創生有識者懇談会」有識者委員を務め、シェアを通じて持続可能な共助地域を創る「シェアリングシティ」を全国に広げる。デジタル庁シェアリングエコノミー伝道師。新しい家族の形「拡張家族」の実践と普及、若い世代のシンクタンクPublicMeetsInnovationの設立、『羽鳥慎一モーニングショー』、『真相報道 バンキシャ!』など複数の番組でコメンテーターを務めるなど幅広く活動。株式会社USEN-NEXT HOLDINGS社外取締役(就任時、東証一部 最年少女性)。著書に『シェアライフ 新しい社会の新しい生き方』(クロスメディア・パブリッシング)。趣味は大人数料理をつくること。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本社会は「成長する社会」から「リスクと共存する社会」に変化しつつある。これまでは資産を積み上げていく生き方がよしとされたが、激動する現代社会においては、「分散する生き方」のほうがリスクヘッジになる。
  • 要点
    2
    「分散する生き方」とは、家や仕事や資産を複数同時に持つ「多拠点ライフ」のことである。多拠点ライフなら、社会が変化しても柔軟に対応できる。
  • 要点
    3
    多拠点ライフは、いくつもの人生を疑似体験できる見本市に自ら出かけるようなものだ。多様な人たちと関わることで、新たな価値観や選択肢を発見できる。

要約

多拠点ライフを広める理由

ふたつの拠点を行き来する生活

著者は現在、ふたつの住まいを構えている。東京都・渋谷のシェアハウスと、大分県・豊後大野市の古民家だ。そして1ヶ月のうち10日を東京、10日を大分、その他の時間で全国各地の色々な地域を訪れる「多拠点ライフ」な暮らしをしている。ふたつの拠点を行き来しながら、ある時は多拠点サービスを利用して沖縄のシェアハウスやゲストハウスに泊まり、ある時は全国にいる拡張家族(血縁関係はないが家族のような関係の人たちのこと)の家や実家に泊まらせてもらう生活だ。

そんな著者の実家はシェアハウスを営んでおり、常に血のつながらない人が同じ屋根の下にいる環境だった。多様な宿泊者たちと人生をシェアするという豊かな経験が、現在の活動の原点となっている。

また2011年の東日本大震災の時には、スーパーの棚が空っぽになる光景を見て、「いくらお金を持っていてもどうにもならない」「シェアすればなんとかなる」と感じた。有事の際に「泊まっていいよ」と言ってくれるつながりこそ、お金よりも価値ある資産なのだ。

多拠点ライフとは何か

4種類の「多拠点ライフ」
welcomia/gettyimages

多拠点ライフとは、複数の拠点を行き来するライフスタイルのことだ。

多拠点ライフには、主に4種類ある。平日は都会で働き、週末は田舎で過ごすなど自分で複数の家を構える「二拠点生活型」、多拠点サービスを利用して住み放題を楽しむ「多拠点サブスク型」、キャンピングカーやバンで移動しながら生活する「バンライフ型」、ホテルや民泊などに長期滞在する「スポット型」だ。

変化する「住まい」のあり方

これまで「家」はひとつであることが一般的で、ふたつ以上の家を持てるのは一部の富裕層やリタイア層に限られていた。

しかし近年、シェアハウスやホテルのサブスクをはじめ、さまざまな住まい方を叶えるサービスが増えている。こうしたサービスをうまく活用すれば、今の家賃以下でふたつの家を持つことも可能だ。

住まいは所有するのではなくシェアするものと考え、多拠点ライフを始めれば、世界中どこでも好きな場所で生活できる。

より快適な働き方を見つける

働き方の概念も大きく変わりつつある。今までは会社へ通いやすい場所に住むのが一般的で、住みたい場所を優先するならば、その地域で職を探さなければならなかった。場所に縛られない働き方は、フリーランスなど一部の人のものだった。

しかし新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの企業でリモートワーク化が進み、仕事をする場所、つまり住む場所が自由になった。「副業・兼業」を認める機運が高まり、ワーケーションという言葉も耳にするようになっている。

加速していく流れの中で大切なのは、選択肢が多様化したからこそ、自分がどのような働き方を求めていて、どういう環境で働けば仕事のやりがいとパフォーマンスを上げられるのかを明確にすることだ。

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要約公開日 2024.01.19
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