高校生だけじゃもったいない

仕事に役立つ新・必修科目「情報Ⅰ」

未読
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仕事に役立つ新・必修科目「情報Ⅰ」
出版社
出版日
2023年11月09日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

身の回りのありとあらゆるものにコンピュータが利用されている現代。そうした環境変化に応じて、IT教育に対する期待も高まっている。小学生がプログラミングを学ぶ時代にあって、職場や自分自身のITレベルに不安を覚える方も多いのではないだろうか。

情報教育はすでに2000年代から実施されてきた。しかし、2022年4月から高校の必修科目となった「情報Ⅰ」は、カリキュラムにプログラミングやシミュレーション、データ分析を含み、従来よりも実践的な内容に改変された。また、2025年からは、ほとんどの国公立大学の入学試験にそうした問題が課されるようになるという。

今の高校生たちが大学を卒業し、新入社員として社会に出てくるのは2030年頃。彼らは前述したような「情報Ⅰ」の内容を「当たり前」に習得しているため、近い将来、ITの知識・スキルは社内の共通言語になるだろう。

では、来たる2030年に向けて、我々現役のビジネスパーソンは何を学ぶべきだろうか? 近年よく耳にする「リスキリング」のために、何から手をつければよいだろう?

本書は、高校生が学ぶ「情報Ⅰ」の概略を示しながら、現代のビジネスパーソンに必要なITスキルとは何かを教えてくれる。また、コンピュータと人間の根本的な違いなど、IT活用のベースとなる考え方や知識も身につけることができる。ぜひ本書を読み、ご自身の学びや職場のDX推進の指針としてほしい。

ライター画像
藤井亜子

著者

中山心太(なかやま しんた)
株式会社NextInt代表。電気通信大学大学院博士前期課程修了後、NTT情報流通プラットフォーム研究所(当時)にて情報セキュリティやビッグデータの研究開発に携わる。その後、統計分析、機械学習によるウェブサービスやソーシャルゲーム、ECサービスのデータ分析、基盤開発、アーキテクチャ設計などを担当。2017年に株式会社NextIntを創業。機械学習に関するコンサルティング、企業研修などを行う。著書に『ChatGPT攻略』(KADOKAWA)、共著に『仕事ではじめる機械学習』(オライリージャパン)『データサイエンティスト養成読本 ビジネス活用編』(技術評論社)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    2022年4月入学の高校生から「情報Ⅰ」という科目が必修化された。「情報Ⅰ」では、シミュレーション、プログラミング、データ分析などを学ぶ。現代の高校生は、社会で役に立つ実用的なIT 知識・スキルを学校で身につけているのだ。
  • 要点
    2
    2030年代より「情報Ⅰ」の内容はビジネスパーソンの共通言語となる。社会人のリスキリングとしては「情報Ⅰ」に相当するITパスポートや統計検定3級の勉強がおすすめだ。
  • 要点
    3
    コンピュータの特性を知ることが、コンピュータを使った業務改善の第一歩である。

要約

【必読ポイント!】ビジネスパーソンの新常識「情報Ⅰ」

現代の高校生が学ぶ「情報Ⅰ」とは

2022年4月入学の高校生から、「情報Ⅰ」という科目が必修化された。2025年1月実施の大学入学共通テストでは、従来の国語、地理歴史・公民、数学、理科、外国語に「情報」を加えた6教科8科目が課されることとなる。

この改定に合わせ、大学入試センターは2022年11月に「情報Ⅰ」の試作問題を公開し、その難易度の高さは教育関係者・IT関係者たちを驚かせた。

本書では、試作試験の中から一問を紹介している。文化祭でのクレープ販売を題材とした問題だ。ここでは、客の来客時刻の記録を元に乱数を生成し、それを用いて待ち人数や待ち時間を求める。これは「待ち行列理論」という応用数学の問題であり、度数分布表やヒストグラムの学習が前提となる。

情報Ⅰの問題では、こうしたシミュレーション、プログラミング、データ分析が8割を占める。現代の高校生は、実際に手を動かしながらプログラミングを学び、社会で必要なスキルを身に着けているのである。

情報Ⅰは現代の「読み・書き・そろばん」
JLco - Julia Amaral/gettyimages

政府は「AI戦略2021」の中でITパスポートの試験内容を「情報Ⅰ」に合わせて見直すよう示した。これを受け、2022年4月より、ITパスポートは従来の出題範囲に情報Ⅰの内容を付け加える形で拡張されている。

現在の高校生が大学進学を経て新卒社会人として世に出るのは2029年頃。したがって、2030年代には新入社員のほぼ全員がITパスポートと同程度のITスキルを身につけており、ITパスポートを持っていない既存社員は、新入社員と歩調を合わせて働くことが難しくなると考えられる。情報Ⅰの必修化により、ITパスポートが新しい「読み・書き・そろばん」となるのである。

コンピュータとソフトウェアが普及した現代では、業務改善はソフトウェアの設計・開発・運用・改修と同義である。IT知識は、プログラマやSEと会話するための共通言語であり、ホワイトカラーは自らの業務改善のためにそれを身につけなければならない。

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要約公開日 2024.01.25
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