「一生懸命やれば、必ず報われる」。プロ野球の世界に入った当時の著者は、そう信じて血のにじむような努力を重ねた。しかし、6年間のうち試合で打ったヒットはたった1本だった。
「一生懸命」は、結果を出す具体的な方法を真剣に考えようとしない人の幻想でしかないと、著者は主張する。
一生懸命な人は、周囲から高い評価を得ることができる。仕事に対する「姿勢」が重視されるキャリアの序盤では特にそうだ。しかしキャリアを重ねるにつれ、頑張っているだけで結果は出せていないという厳しい現実が浮き彫りになる。にもかかわらず、本人は現実を直視したがらないし、周囲は本人を腫れ物扱いするだけ。こうして、その人は一生、結果を出せないで終わってしまう。
結果を出せるようになるには、「諦める」ことが肝心だ。「自分はこんなもんじゃない」という幻想にしがみついていまの延長線上で頑張るのではなく、「自分は、こんなもんなのかもしれない」と降伏するのだ。それが、成功への第一歩である。
結果を出せるようになるためには、自分の基礎的な行動・思考様式を変える必要がある。パソコンを最適化するためにOSをアップデートするのと一緒だ。
著者はかつて、尊敬する経営者に成功するための秘訣を聞いたことがある。するとその人はこう言った。「とりあえず、1回電車に乗るのやめてみて。稼いでる経営者、大体電車乗ってないから、そこから真似してみたら?」。面食らう著者に、その経営者は続けた。「もしかしていま、考えてる? 考えてる限りは、永遠に成功することはないよ」
私たちは何かについて考える時、いままでと同じような意思決定をしがちだ。この“慣性の力”は日常生活をストレスなく送るためには便利だが、私たちが変わろうとする時は厄介だ。昔の自分が、新しく変わろうとしている自分を引き戻そうとするからである。
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