チャールズ・A・オライリー(Charles A. O'Reilly III)
スタンフォード大学経営大学院教授カリフォルニア大学バークレー校で情報システム学の修士号、組織行動論の博士号を取得。同校教授、ハーバード・ビジネススクールやコロンビア・ビジネススクールの客員教授などを経て現職。専門はリーダーシップ、組織文化、人事マネジメント、イノベーションなど。スタンフォード大学のティーチングアワードやアカデミー・オブ・マネジメント生涯功労賞などを受賞。また、ボストンのコンサルティング会社、チェンジロジックの共同創業者であり、欧米やアジアの幅広い企業向けにコンサルティング活動やマネジメント研修(破壊に対応するための企業変革や組織刷新、リーダーシップなどのプログラム)に従事してきた。スタンフォード大学のSEP(エグゼクティブ・プログラム)でも教鞭を執る。主な著書にWinning Through Innovation: A Practical Guide to Leading Organizational Change and Renewal(邦訳『競争優位のイノベーション』ダイヤモンド社)、Hidden Value : How Great Companies Achieve Extraordinary Results with Ordinary People(邦訳『隠れた人材価値』翔泳社)などのほか、論文や記事の執筆も多数。
マイケル・L・タッシュマン(Michael L. Tushman)
ハーバード・ビジネススクール教授コーネル大学で科学修士号、マサチューセッツ工科大学(MIT)で組織行動論の博士号を取得。コロンビア大学教授、MIT客員教授、フランスINSEAD教授などを経て現職。専門は技術経営、リーダーシップ、組織変革など。アカデミー・オブ・マネジメント特別功労賞や全米人材開発機構(ASTD)生涯功労賞などを受賞。また、ボストンのコンサルティング会社、チェンジロジックの共同創業者であり、コンサルティング活動やマネジメント研修に従事。ハーバード・ビジネススクールのAMP(アドバンスト・マネジメント・プログラム)、マネジメント育成・変革リーダーシップ・組織刷新プログラムのファカルティ・ディレクターも務める。主な著書にWinning Through Innovation: A Practical Guide to Leading Organizational Change and Renewal(邦訳『競争優位のイノベーション』ダイヤモンド社)、Competing by Design: The Power of Organizational Architecture(邦訳『競争優位の組織設計』春秋社)などがある。
両利きの経営が組織に長期的な成長をもたらす
サクセストラップ
高いマーケットシェアを誇り、順調に業績を伸ばし、その地位は盤石だと思われていた企業が、あっという間に衰退してしまうことがある。それはなぜなのか。ベンチャーなどの後発企業が革新的な製品・価値を生み出して従来のマーケット秩序を破壊し(=破壊的イノベーション)、その変化に対応しきれなかったからだ。例えば、アメリカの一大DVDレンタル企業であったブロックバスターは、1999年に創業したネットフリックスの動画配信サービスによって、2010年に倒産に追い込まれた。
サクセストラップと呼ばれるこの転落現象を引き起こす原因は「慣性」だ。成功している組織は、既存事業をさらに成長させるための戦略を立て、具体的に取り組むべきことを設定し、それを達成するための人材の採用・育成方法、組織構造、組織文化を構築し、維持している。こうした統制の取れたシステム、つまり組織アラインメントが確立されているからこそ、成功できたわけだ。
しかし、破壊的イノベーションによる急激な環境変化に直面したときには、逆にこれが仇になる。今の組織アラインメントがそのまま自走しようとするので、変わろうにも変われないのだ。自社の成功の犠牲になるといってもいい。
両利きの経営=深化+探索
Floriana/gettyimages
サクセストラップを退け長期的に成長し続けるためのアプローチが、両利きの経営だ。「両利き」とは、「深化」と「探索」の二刀流を意味する。つまり組織は、すでに成功している既存事業においては漸進的な改善やコスト削減を進める(=深化)。同時に、全く異なる新規事業を興し破壊的イノベーションを生むための努力を続ける必要がある(=探索)。両利きの経営の旗振り役を担うのは、もちろんリーダーである。
要約公開日 2023.12.23
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