「やりたいことがあるのに、仕事が忙しい」
「時間管理が苦手で、目標達成できず自己嫌悪に陥る」
このように悩んでいないだろうか。本書は仕事や子育て、介護など、やることを多く抱えながら、限られた時間内で目標に向かって動こうとしている人たちを念頭に、時間術を紹介する。
やりたいこと、目標があることは幸せなことだ。しかし、思った通りに動けず、時間がなくて行動できないと、強いストレスを感じてしまうものだ。目の前のことが山積みで、やりたいことができない。そんなもったいないをなくすため、著者は本書を書いた。目標を達成するために重要な「動く」「動き続ける」ことを、誰もが取り組めるようにするのが本書の狙いだ。
動くといっても、睡眠時間を削り、がむしゃらに行動量を増やすような方法ではない。また、時短や効率化のノウハウだけを学んでも意味がない。まず必要になるのは、自分の時間の整理をすることだ。
人生は、日常の時間の積み重ねで作られている。充実した人生を送るためには「時間の使い方の手綱を自分で握る」ことが大切となる。ポイントは「やりたいことという漠然としたものを現実の一歩に落とし込む」ことだ。
ビジョンから、長期目標、短期目標、今日やることへと棚卸しする「分解時間術」で人生を豊かにしよう。
これまで目標の立て方や、目標を達成するための計画の立て方を教わったことはあるだろうか。ほとんどの人は試行錯誤しながら自己流の計画術を編み出したり、行動量で切り抜けたりしてきたはずだ。
しかし大人になると10代の時ほど体力はなく、動ける時間も限られるようになる。行動量ややる気に頼らず、目標達成するために必要な3つの要素を紹介しよう。
まず必要なのは、①どうしても達成したい「目標」だ。あなたの目標は心からやりたいことだろうか。「やりたいことはこれだ!」と自信をもって言える状態か、そうでないかを把握しておくと、自分が動く意味や方向性を見失わずに済む。会社の目標に対しても、自分の意志で個人目標を考えよう。
ポイントは「どうなりたいか」ではなく「どうありたいか」「何を大事に生きていたいのか」を考えることだ。昇進するなどの結果から短期的幸福を得られても、その幸せは長続きしない。「昇進したおかげで、本当にやりたい業務に携われる」「昇進で家計に余裕ができ、家族で毎週末外食できる」のように目標を達成したあとの自分を想像すると、内側からのエネルギーで動けるようになる。
次に必要な要素は達成するまでの道のり、つまり②実行可能な「計画」である。計画通りに進められると、人間は達成意欲を自分で満たすことができ、それが次への行動意欲に結びつく。反対に、計画通りに進まないと投げやりな気持ちや自己嫌悪に陥ってしまう。これは自分に問題があるのではなく、見積もりが甘いだけだ。計画倒れしない、実現可能な計画を立てよう。
最後に必要になるのが③未来を変える今すぐの「行動」だ。自転車のこぎ始めが一番パワーを使うように、行動も最初の一歩が重たい。
そこで、ハーバード大学のショーン・エイカー氏が提唱する「20秒ルール」を取り入れよう。人間は取りかかるのに手間取ることを先延ばしする傾向があるため、よい習慣を増やすために手間を20秒減らすといいというルールだ。例えば、朝ジムに行くことを習慣づけるために、トレーニングウェアを着て寝ると、家を出るまでの手間が20秒減らせる。
目標に向かって行動をするために、小さな行動から一歩を踏み出すようにしよう。
目標の分解計画術に入る前に、「どう生きたいか」「後悔しない人生とは」「大事にしている価値観」といった「ビジョン」を言葉にしてほしい。目標達成にかける時間は人生の一部分だ。自分が心地よくなるものを選ぶファッションコーディネートと同じように、時間も人生を充実させるために選び、使う「タイムコーディネート」を意識しないと、時間と上手に使い合うことはできない。
3,400冊以上の要約が楽しめる