無くせる会社のムダ作業100個まとめてみた

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出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2023年09月01日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「ああ、こんな作業、時間のムダなのに」「この作業さえなければ、もっと成果を上げられるはず」

あなたは一日のうち、こんなふうにため息をつく瞬間が何度あるだろうか。きっと多くのビジネスパーソンは、一日に何度も何度も「ムダ」に腹を立てているのではないかと思う。

本書はそんな「ムダ」を100個挙げ、業務のムダ・管理のムダ・共有のムダ・処理のムダ・コミュニケーションのムダ・会議のムダ・組織のムダの7つに分類して、一つひとつの解決策を教えてくれる一冊だ。

100のムダのうちの一つ、「きまぐれ上司のご機嫌取り」を紹介しよう。これは、案件の前提条件や経緯を理解しないまま思い付きで質問してくる上司への対応のことだ。こうした上司はいくら説明されても理解できず、むしろ「君の説明が悪い」と怒り出すことさえある――と著者は書いている。

こうした上司への対応策として指南されるのは、5つのポイントを意識した「戦略的説明」だ。前提をすり合わせる、範囲を見せる、たとえ話をする、スピードを意識する、量を意識する、の5つを押さえて質問すれば、上司を納得させられるという。「なぜこちらが歩み寄らなければならないのだ」とモヤッとする人もいるかもしれないが、相手を変えるのは難しいから、諦めて自分が変わるしかない。

100個の「ムダ作業」のうち、どれも経験したことのない幸運な人はほとんどいないだろう。少しでも快適に仕事をするために、ぜひチェックしてほしい一冊だ。

著者

元山文菜(もとやま あやな)
株式会社リビカル代表取締役。業務コンサルタント。
大学卒業後、株式会社サクラクレパスに入社。その後、富士通株式会社に転職。2017年に独立し、現在の株式会社リビカルを設立。2021年には医療に特化したコンサル業務をおこなう株式会社医療デザインラボを設立。障がいや難病女性向けのNPO運営の顔ももつ。「多様性×業務改善で、はたらくを楽しむ人を増やしたい」をテーマに、業務や組織構造の再設計を手がける。個人や企業にとっての「価値ある時間の創出」「経営資源の拡大」を支援。これまで、BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)やRPA(ロボティックプロセスオートメーション)導入支援と、個々人に対する時間管理術の改善をあわせて実施することで、多くの組織の生産性を最適な手段で向上させてきた。そのほか、業務プロセス改善、DX推進、タイムマネジメントなどをテーマにした講演活動も精力的におこなっている。

本書の要点

  • 要点
    1
    仕事の属人化を防ぐには、業務棚卸表を作るとよい。仕事の「大分類」「中分類」「小分類」「利用ファイルやシステム」「作業ごとの所要時間」をまとめて、誰でも作業できるようにしよう。
  • 要点
    2
    クラウドソフトを使えば、ファイルの先祖返りや添付漏れによるムダを削減できる。各自の作業履歴が確認でき、特定の時期まで遡って元に戻せるのも重要なポイントだ。
  • 要点
    3
    何度も同じような質問に対応するのは時間のムダだ。よくある質問を「FAQ一覧」としてまとめておけば、時間を節約できる。

要約

【必読ポイント!】 「業務」のムダ

属人化の甘い罠
vgajic/gettyimages

「この仕事は私にしかわからなくて」「私がいないと回らないんですよ……」

こうした「自分にしかわからない特別な業務」は問題の温床だ。

その人が辞めたり休んだりしたら仕事が止まってしまうし、ミスが起こった場合や進みが遅い場合にボトルネックを特定しづらくなるばかりでなく、誰もがその人のご機嫌を取り始めるようになる。「忙しいので期日に終わらせるのは無理です」「人を追加してくれないと解決しません」「この給与では続けられません」と言われたとしても、黙って受け入れるしかなくなってしまう。こんな状況では、周囲の人のモチベーションは下がるばかりだ。

属人化を防ぐためには、業務棚卸表を使って、一人ひとりの業務を可視化するとよい。業務棚卸表は次の6ステップで作る。

ステップ1では、1年間の流れを順番に思い出しながら大分類と中分類を書き出す。大分類に「契約管理」、中分類に「契約処理」と「契約締結」を並べるといった具合だ。

ステップ2では、中・大分類に含まれる小分類(作業手順)を書き出す。ここでのポイントは、できるだけ手順通りに並べることだ。大分類が「契約管理」、中分類が「契約処理」なら、小分類は「契約状況を営業に確認」「請求条件を営業に確認」「契約書作成」などが挙げられるだろう。作業内容が具体的にイメージできる表現が望ましい。

ステップ3では、利用ファイルや利用システムを書き添える。Excel、Word……と洗い出していくと、作業を見直すことができ、ムダな転記が発生していることや、似たようなファイルがいくつも存在していることに気づけるかもしれない。

ステップ4では、大・中分類の追加、削除、統合をする。具体的には、小分類の全体像を見て大・中分類を整理したり、小分類の見出しとして違和感があるものを修正したりする作業だ。ここまできたら、業務手順がクリアになっているはずだ。

ステップ5では、所要時間を見える化する。それぞれの作業が1回あたりどれくらいかかっているのか、思い出しながら書いてみよう。

ステップ6では、1年あたりの所要時間を計算する。発生サイクルをもとに、年間の所要時間をザックリ把握しよう。

6つのステップで業務を可視化すれば、自ずとファイルやフォルダが整理され、手順もシンプルになっていくだろう。

属人化していた仕事を誰でもできるように仕組み化する能力は、ビジネスパーソンとして重要なスキルである。棚卸しを通じてこのスキルを身につけよう。

きまぐれ上司のご機嫌取り
jacoblund/gettyimages

批判的なコメントで存在感を醸し出してきたり、とんちんかんな質問をしてきたり、訳の分からないダメ出しやアドバイスをしたり……前提条件や経緯を全く理解していないまま、思い付きで質問や指示をしてくる上司がいる。

こんな上司は、いくら部下から説明されてもうまく理解できないものだ。場合によっては、プライドが傷ついたのか、「君の説明はわかりづらい!」と難癖をつけてくることさえある。

こうした上司を相手にするときは、必要以上の緊張と負担を避けるために、5つのポイントを意識した「戦略的な説明」をするとよい。

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要約公開日 2024.02.27
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