「この仕事は私にしかわからなくて」「私がいないと回らないんですよ……」
こうした「自分にしかわからない特別な業務」は問題の温床だ。
その人が辞めたり休んだりしたら仕事が止まってしまうし、ミスが起こった場合や進みが遅い場合にボトルネックを特定しづらくなるばかりでなく、誰もがその人のご機嫌を取り始めるようになる。「忙しいので期日に終わらせるのは無理です」「人を追加してくれないと解決しません」「この給与では続けられません」と言われたとしても、黙って受け入れるしかなくなってしまう。こんな状況では、周囲の人のモチベーションは下がるばかりだ。
属人化を防ぐためには、業務棚卸表を使って、一人ひとりの業務を可視化するとよい。業務棚卸表は次の6ステップで作る。
ステップ1では、1年間の流れを順番に思い出しながら大分類と中分類を書き出す。大分類に「契約管理」、中分類に「契約処理」と「契約締結」を並べるといった具合だ。
ステップ2では、中・大分類に含まれる小分類(作業手順)を書き出す。ここでのポイントは、できるだけ手順通りに並べることだ。大分類が「契約管理」、中分類が「契約処理」なら、小分類は「契約状況を営業に確認」「請求条件を営業に確認」「契約書作成」などが挙げられるだろう。作業内容が具体的にイメージできる表現が望ましい。
ステップ3では、利用ファイルや利用システムを書き添える。Excel、Word……と洗い出していくと、作業を見直すことができ、ムダな転記が発生していることや、似たようなファイルがいくつも存在していることに気づけるかもしれない。
ステップ4では、大・中分類の追加、削除、統合をする。具体的には、小分類の全体像を見て大・中分類を整理したり、小分類の見出しとして違和感があるものを修正したりする作業だ。ここまできたら、業務手順がクリアになっているはずだ。
ステップ5では、所要時間を見える化する。それぞれの作業が1回あたりどれくらいかかっているのか、思い出しながら書いてみよう。
ステップ6では、1年あたりの所要時間を計算する。発生サイクルをもとに、年間の所要時間をザックリ把握しよう。
6つのステップで業務を可視化すれば、自ずとファイルやフォルダが整理され、手順もシンプルになっていくだろう。
属人化していた仕事を誰でもできるように仕組み化する能力は、ビジネスパーソンとして重要なスキルである。棚卸しを通じてこのスキルを身につけよう。
批判的なコメントで存在感を醸し出してきたり、とんちんかんな質問をしてきたり、訳の分からないダメ出しやアドバイスをしたり……前提条件や経緯を全く理解していないまま、思い付きで質問や指示をしてくる上司がいる。
こんな上司は、いくら部下から説明されてもうまく理解できないものだ。場合によっては、プライドが傷ついたのか、「君の説明はわかりづらい!」と難癖をつけてくることさえある。
こうした上司を相手にするときは、必要以上の緊張と負担を避けるために、5つのポイントを意識した「戦略的な説明」をするとよい。
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