若手社員を取り巻く状況を理解するにあたり、「Z世代は……」「最近の若者は……」といった「若者論」はもはや意味をなさない。
その理由は2つある。まず、若者が多様化・多極化しているからだ。管理職世代とほとんど変わらない感覚の若手もいれば、全く違う若手もいる。
もう1つの理由は、近年、若者以上に職場が変わったからだ。2010年代中盤以降、若者雇用促進法や働き方改革関連法により、労働時間減少や若手の有給休暇取得率上昇といった変化が生じた。社会や法律の要請により、現代の若手を取り巻く職場環境は全体的に「ゆるい職場」になりつつある。
職場環境の改善に伴い、若手の自社に対する認識は好転している。
例えば、「休みがとりやすい」に対して「あてはまる」と回答した大手企業新入社員の割合は38.0%(1999-2004年卒)から61.3%(2019-2021年卒)へと大きく向上した。また、初職の会社への評価点(10点満点)は入社年を追うごとに肯定的になっている。
その一方で、若手の離職率は、労働環境改善が特に進んだ大手企業において、2009年卒の20.5%から2019年卒の25.3%へと上昇している。
なぜ労働環境が改善したのに離職率が下がらないのか。その答えは「会社に不満はないけど不安があるから」だ。
調査結果を見てみよう。「自分は別の会社や部署で通用しなくなるのではないかと感じる」という質問に対して「強くそう思う」「そう思う」と回答した者(=キャリア不安を抱く者)の割合は、現在の新入社員の48.9%に及んでいる。結果として「職場がゆるいので辞めたい」という決断に至るのだ。
若手が成長し活躍できる新しい時代の職場に必要な要素は何か。
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