「心理的安全性」をつくる104問

何でも言える職場はどっち?

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「心理的安全性」をつくる104問
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何でも言える職場はどっち?
出版社
自由国民社

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出版日
2023年10月15日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

心理的安全性のある職場とは、平たく言えば、どんな立場の人でも「何でも言える職場」である。心理的安全性が確保されている職場では、上司も部下もお互いに言いたいことを言い合い、対等な議論のもと効率よく仕事が進む。創造性も発揮しやすくなり、高い成果につながることも期待できる。

部下から上司に「言いたいことが言えない」場面は容易に想像がつくが、本書は上司から部下へも言いたいことが言える環境をつくることを目指す。近年ではハラスメント対策の意識の高まりから、失言を恐れて部下に注意することをためらう上司も少なくないからだ。指摘すべきことまで言いづらい職場は健全とはいえない。どんな立場の人も、言いたいことを言える状態を目指したい。

では、心理的安全性はどうしたら育むことができるのか。本書は職場でよくあるシチュエーションで「どちらのスタンスをとればいいか?」を二択問題で考えていく。本書はまず、職場の人間関係に悩む上司の方にお勧めしたい。もし職場の若手に仕事とプライベートを分けたがる人、出世に意欲的でない人がいて、対応に悩んでいるとしたら、本書がその心情を理解し、働きかけるヒントを与えてくれるはずだ。また、上司の発言を不可解に感じ、なぜそんなことを言われなければいけないのかと感じたことのある若手社員にも、本書の内容は参考になる。先輩社員や上司の言動の背景にある心情を知れば、受け止め方もわかるだろう。

まずはクイズに挑戦するつもりで、本書の問いに答えてみてほしい。どちらが正しいスタンスなのかを考えながら、自分の職場への活かし方を探っていこう。

ライター画像
菅谷真帆子

著者

池本克之(いけもと かつゆき)
ノンバンク、海外ホテル事業、生命保険代理店営業を経験。財務、マーケティング、セールス、人材教育などを体得する。その後、通信販売のベンチャー企業の経営に参画。それまでのノウハウを実践する。株式会社ドクターシーラボ移籍後、代表取締役として2000年3月ジャスダック店頭公開に貢献。同年11月ドクターシーラボを退任。月商1億円に満たない時代から1年3カ月で月商7億円超に、さらに年商120億円企業へと成長させた。2004年3月株式会社ネットプライス執行役員に就任。公開企業のマネジメント経験を活かし、若いベンチャー企業の参謀役としてカスタマーサービス、物流、CRM、仕入先開拓等の機能を統括する。同年7月にはマザーズ店頭公開。経営者として2度の上場を経験する。その後、複数のプロ経営者を経て現在は組織学習経営コンサルタント。多くの企業の成長をコンサルティングする。大企業から創業間もないベンチャー企業に至るまで、継続的に成長する企業経営のアドバイスを行っている。
著書『「それでも稼ぐ人」33のルール―景気も、環境も、学歴も、年齢も、この人には関係ない』『「いまどき部下」を動かす39のしかけ―その「任せ方」、もう通用しなくて当然です。』(いずれも三笠書房)、『出社しなくても最高に評価される人がやっていること』(日本実業出版社)ほか多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    心理的安全性が保たれている職場とは、「上司、部下のどちらも言いたいことが言える空気感がある状態」の職場を指す。どの立場の人も心理的安全性が確保されていれば、組織としてのパフォーマンスが上がる。
  • 要点
    2
    心理的安全性が低くなる原因には、「無知、無能、邪魔、ネガティブ」の4つがある。まずは周囲に挨拶する、挨拶を返すことからはじめよう。挨拶には自分が敵ではないことを周囲に知らせる効果がある。
  • 要点
    3
    会社が一つのコミュニティである以上、会社にも、仕事以外のことや、つらいこと、楽しいことをシェアできる友だちがいたほうがよい。

要約

【必読ポイント!】 みんながほっとするの、どっち?

挨拶は自分からする? 自分からしない?
Edwin Tan/gettyimages

「心理的安全性」が保たれている職場とは、「上司、部下のどちらも言いたいことが言える空気感がある状態」の職場を指す。

上司は強い立場にあるため、心理的安全性が低いとは感じられないかもしれない。だが、上司の中には、パワハラだと受け取られることを気にして言いたいことを我慢している人も多い。組織としてのパフォーマンスを上げるためには、上司も部下も、どの立場の人から見ても心理的安全性が確保された場を目指したい。

では、心理的安全性の高い職場を作るには、「挨拶は自分からする」のと「自分からしない」のと、どちらがいいだろうか? 答えは、「自分からする」。気持ちよく働くためには挨拶は自分からしたほうがいい。

そもそも、なぜ自分から挨拶をしたくないと感じる人がいるのだろうか。多くの場合、挨拶がどう受け取られるのか不安だという心理が関係している。

心理的安全性が低くなる原因には、「無知、無能、邪魔、ネガティブ」の4つがある。無知であると思われたくない。仕事ができないと思われたくない。「余計な口を挟むな」と言われるのが怖い。ネガティブな理屈ばかり言う人だと思われたくない。

こうした思考が現れたら、職場の心理的安全性が低くなっているサインだ。心理的安全性の低い職場では、社長から挨拶されても返事をしない人がいるという。それは、「挨拶をきっかけに叱られるかもしれない、無能だと思われるかも知れない」と警戒しているからだ。これでは健全な状態だとはいえない。

挨拶には、自分が味方であることを相手に知らせる効果がある。自然な挨拶ができるよう自分の意識を変えていこう。挨拶が活発になれば、職場の心理的安全性も高まっていく。

失敗すると気分が落ち込む? 落ち込まない?

失敗すると「気分が落ち込む」? それとも「落ち込まない」? 心理的安全性の高い職場の正解は、「落ち込まない」または「落ち込ませない」だ。

落ち込むことには2つのデメリットがある。まず、激しく落ち込むと次の行動ができなくなってしまう。何も手につかない時間は生産性がなくなってしまう。その状態が続くと、周囲からの評価を下げてしまうことにもなり、良いことがまったくない。

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要約公開日 2024.02.26
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