世界最先端の研究が教える

すごい心理学

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出版社
総合法令出版

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出版日
2019年04月10日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「心理学って面白い!」

素直にそう思える一冊だ。

なにしろ本書の著者である内藤誼人氏が「とびっきり面白い心理学の本を作る」という意図をもって書いているのだから。

内藤誼人氏は200冊を超える著書を持つ、ビジネスを中心に実践的な発信をしている心理学者だ。flierでも『人間関係BEST100』(総合法令出版)をはじめ、多数の内藤氏の著書の要約を紹介している。

本書では、ビジネスの場や日常生活で役立つ心理学のほか、犯罪者の心理など、88例を読むことができる。どれも海外の著名な大学で行われた最先端の研究による実験や調査に裏付けられたものばかりだ。

たとえば、心理学者は選挙演説を聞くだけで候補者の当落がわかるという。

よい政策を掲げて演説をしていれば、当選するのは当たり前だと思うかもしれない。しかし、重要なのは候補者が訴える政策ではない。悲観的なことを口にするかどうかなのだ。悲観的なことを言う候補者は、高確率で落選することになる。そんな事実を知ると、選挙演説の聞き方が変わるかもしれない。

本書は、読み始めると興味深い心理学に引き込まれ、どんどん読み進めてしまう。楽しみながら最先端の心理学に触れることができる一冊だ。自分の身近で起こっている出来事のほか、大きな社会問題の裏側にある人間の心理を理解することにもつながるだろう。

心理学に興味がある人だけでなく、思考パターンを知り、人を動かす方法について知りたい人にもおすすめだ。

ライター画像
中山寒稀

著者

内藤誼人(ないとう よしひと)
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は手品、昆虫採集、ガーデニング。著書に、『すごい! モテ方』『すごい! ホメ方』『もっとすごい! ホメ方』(以上、廣済堂出版)、『ビビらない技法』『「人たらし」のブラック心理術』(以上、大和書房)、『裏社会の危険な心理交渉術』(総合法令出版)など多数。その数は200冊を超える。

本書の要点

  • 要点
    1
    料理や飲み物のおいしさには、価格が大きな影響を与える。ビールを愛飲している人ですら、同じビールであっても価格が違えば、高いものをおいしいと感じるのだ。
  • 要点
    2
    心理学者は、政治家の選挙演説を聞けば選挙の当落がわかる。選挙演説で悲観的なことを口にする候補者は、かなりの高確率で落選するからだ。
  • 要点
    3
    都会の人が冷たいのは、人が多いがゆえに「責任の拡散現象」が起こるからだ。人が少ない時間帯であれば、都会の人も田舎の人と同じように親切になる。

要約

【必読ポイント!】 人は見た目に影響される

ビールは高いほうがおいしい
Kar-Tr/gettyimages

自分が払ったお金が高ければ高いほど、人は、料理や飲み物をおいしく感じるものだ。

米国スタンフォード大学のダグラス・マッコーネルは、ビール愛飲者60名に8週間の間、3種類のビールを毎日1本ずつ飲んでもらい、点数をつけるという実験を行った。ラベルに記された価格は異なっているものの、じつは中身のビールはすべて同じものだった。味がわかるなら、全部同じ点数になるはずだ。ところが、実際には価格が高いビールほど、点数が高いという結果になった。

つまり人は、それほど正しく味を理解できるわけではないのだ。価格によって目くらましをされているケースは少なくない。

価格は、味だけでなく効能にも影響を与えることがある。

スタンフォード大学のバーバ・シップは、125名の大学生を2グループに分け、「頭が冴えてくる」というエネルギードリンク飲ませた。片方のグループのドリンクには「1.89ドル」、もう片方には「0.89ドル」というラベルが貼られている。やはり中身は同じものだ。その後、双方のグループにワード・パズルを解かせた。

解いたパズルの数の平均を比較したところ、高い価格のエナジードリンクを飲んだグループが解いたパズルの数は9.7、安い価格のエナジードリンクを飲んだグループは6.75という結果になった。高い価格のエナジードリンクを飲んだグループは、本当に頭が良くなってしまったのだ。

薬にも同様に「この薬は効く」と思って服用すると、インチキな薬であっても薬効が表れてしまう「プラシボ効果」という現象がある。効くと思い込めば、本当に効いてしまうのだ。

服装が影響を与えるドレス効果

同じ頼みごとであっても、依頼者の服装によって、引き受けてもらえるかどうかが変わることがある。人は依頼者の身なりを見て、立派な服装の人の言うことだから聞く、薄汚い格好をしているから言うことを聞かなくてもいいといった判断を瞬時にしている。

米国ウェバー州立大学のブラッド・ブッシュマンは、150名の歩行者に「小銭がなくて困っている人がいる。1ダイム恵んであげてくれないか?」と聞く実験を行なった。このとき服装だけを変え、みすぼらしい格好、スーツ、消防士の3種類の服装で同じお願いをしてみた。

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要約公開日 2024.02.29
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