よく、人生を変えるための一番の方法は「環境を変える」ことだといわれる。著者もその言葉を信じて何度も「環境の変化」を選択してきた。だが、それで自分の願望や変化を手に入れることができたかといえば、決してそうではなかったと振り返る。
そもそも「人生を変える」とはどういうことか? 人生を変えるといっても、性格や過去を変えたり、未来をコントロールできるようになったりするわけではない。著者の解釈では、人生を変えるとは「自分のことをもっと好きになり、もっと愛せるようになること」である。
自分のことを好きだと思えて、楽しみながら自分の人生を歩むことができたら、「人生が変わった」といえるのではないだろうか。人生を変えるには「自分を好きになること」が不可欠なのである。
著者はこれまで幾度も「環境の変化」を選択しながら、自分自身を変えることができなかった。
中学3年生の時に芸能事務所のオーディションを受け、憧れの芸能界デビューを果たした。仕事は順調に増えていき、新人女優の登竜門とされるオーディションにも合格。成功体験が積み上がっていくことで「自分の信念を貫くこと」に固執するようになり、まわりの人の助言に耳を貸さなくなっていった。そして仕事は徐々に減っていった。
当時大阪に住んでいた著者は「仕事がないのは地方にいるからで、東京に出れば状況は好転するはず」と考え、大学進学と同時に拠点を東京に移した。だが仕事の状況が良くなることはなく、悪くなる一方だった。
今振り返ると、著者が変えるべきは「環境」ではなく、頑なに凝り固まった自分自身の「考え方」と、人の言葉を聞き入れられないほどの荒んだ「心」だった。これらの経験により、著者は「環境だけでは人は変わらない」ことを実感した。
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