チームをマネジメントする立場にいる「リーダー」の悩みは、「どうしたら自分が求める良いチームがつくれるのか」ということのはずだ。多様な価値観が存在するいまの時代には、「良いチーム」の意味も人それぞれ異なる。リーダーは、正解がどこにもないその状況を理解したうえで、チームづくりに向き合わなければならない。
そんな複雑な時代を乗り切るために、リーダーがもつべき思考として本書が提案するのが「フラット・マネジメント」である。これは、「多様な価値観や考えをもつ部下と向き合う柔軟な思考」を体系的に整理した思考システムだ。
時代の価値観も個人がもつ価値観も、ひとつとして同じものは存在しない。人は自分の価値観に囚われてしまいがちだ。いまは「異なる価値観が尊重される時代」なのだということをまず認識し、フラット・マネジメントを実践することで、チームを望ましい形にしていこう。
フラット・マネジメントの前提として、以下の3つを理解する必要がある。
・いまの時代には正解と呼ばれるものは何ひとつないこと
・自分と相手は、基本的に異なる思考をもっていること
・相手と自分との関係性は、つねに流動性の高いものであること
フラット・マネジメントは「思考」「スタンス」「アクション」という3つのプロセスで構成されている。
1つめのプロセスである「思考」では、「なぜ、いまの時代にフラット・マネジメントが重要なのか」を理解する。まずはフラット・マネジメントの根底に流れる考え方を理解しなければならない。2つめの「スタンス」は、「実際にアクションを起こす前に、アクションが正しく表現されるかどうかを確認する」チェック機能のような位置付けのプロセスだ。「考え方や態度のベースになる姿勢」である「スタンス」が好ましいものであってこそ、相手はリーダーの言葉に耳を傾けてくれる。
そして、思考を理解し、正しいスタンスを取りながら、3つめのプロセスである「アクション」を起こす。これは、実際にリーダーに求められる具体的な行動である。
3つのプロセスは連続してつながりのある動きとなってこそ、アクションが相手に伝わるものとして機能する。見よう見まねでただアクションをするだけでは良い結果にはつながらない。実践されるのは「35のアクション」であるが、根底にある「7つの思考」を理解し、リーダーがとるべき「16のスタンス」を受け入れてこそ、アクションが効果を発揮するのである。
以下、いくつかの思考とそれに関連するスタンス、アクションの組み合わせをピックアップして紹介しよう。
「上の人は偉い」「新入社員だから雑務をさせる」「女性がお茶くみをする」といったことが「当たり前」だったのはもはや昔の話だ。しかし、いまだにこうした考えのままの人がいるのも事実である。これが「価値観の違い」である。年齢差が影響していることは多いが、同じ時代に生まれた人でもまったく異なる価値観をもっていることもある。
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