思いつきって、どうしたら「自分の考え」になるの?

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思いつきって、どうしたら「自分の考え」になるの?
出版社
日本実業出版社

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出版日
2023年10月01日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

職場で「自分の意見」をうまく言えない――。アイデアが閃いても自分の言葉で表現できなかったり、周りに受け入れてもらえるか自信がなくてのみ込んでしまったり。そんな経験は誰もが持っているのではないだろうか。本書の著者は、自分の意見を言う際は「根拠をつくるスキル」が大事だと言う。

著者の深沢真太郎氏は、数字に強く論理的な人を育成する「ビジネス数学」を提唱し、数学でビジネスや生活の悩みを解決するための独自メソッドを提唱している。著作は30冊を超え、ソフトバンク、三菱UFJ銀行、プロ野球球団、トップアスリートなど、多くの企業・団体や個人に向けて研修も行っている。

本書は、コンビニスイーツの開発をする若きビジネスパーソン・久保進士が、軽井沢のカフェで出会った数学者・駒田恵子から「思いつきを論理的に説明する方法」について学んでいくストーリー仕立ての一冊だ。思うことはあるのに意見をうまく言えない進士のビフォーアフターを描くことによって、読者も一緒になって学ぶことができる。

考えを論理的に整理することが苦手、上司からの「根拠は?」というツッコミが怖い、「なんとなく」で答えてしまう……。本書ではそのような人を対象に、どう根拠を揃えて論理を組み立てるのかを一から丁寧に教えてくれる。

ビジネスパーソンにとって、上司や顧客に論理的に説明するスキルは欠かせない。仕事で何らかの意見を求められる機会がある人は、ぜひ一読いただきたい。

ライター画像
鈴木えり

著者

深沢真太郎(ふかさわ しんたろう)
ビジネス数学教育家。数字に強いロジカルパーソンを育成する「ビジネス数学教育」を提唱する人材育成の専門家。明治大学客員研究員。日本大学大学院総合基礎科学研究科修了。理学修士(数学)。初のビジネス数学検定1級AAA認定者であり、日本数学検定協会が認定する国内唯一のビジネス数学エグゼクティブインストラクター。ソフトバンク・京セラ・三菱UFJ銀行など大手企業をはじめプロ野球球団・トップアスリート・学校教員などに研修提供する傍ら、「ビジネス数学インストラクター制度」を設立し講師育成にも従事。著作は『数学女子智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』(以上、日本実業出版社)などがあり、ビジネス書や小説など述べ30冊以上を数える。
BMコンサルティング株式会社代表取締役。一般社団法人日本ビジネス数学協会代表理事。

本書の要点

  • 要点
    1
    数学とビジネスコミュニケーションは「根拠のある説明が求められる」という点が共通している。
  • 要点
    2
    論理は、1つのテーマを3つの塊と2つの矢印でつくられる「1―3―2」の図で説明することができる。
  • 要点
    3
    コミュニケーションがうまくいかないのは、相手と「前提」が共有できていないからだ。「前提」には「言葉の定義」と「立場の定義」がある。
  • 要点
    4
    根拠は「裏付け」と「事例」で成り立つ。ビジネスにおける裏付けは、数値の比較を用いることが多い。
  • 要点
    5
    数値を使うときは、相手の心に伝わる「エモい数値」を選ぶべきだ。

要約

思いつきだけでは仕事にならない

「根拠」がうまく説明できない!

コンビニの商品企画部に所属する久保進士(26歳)は、スイーツの新製品について意見を求められた。「この商品は若い女性にウケそうな気がします」と答える進士に、部長の井上はこう聞いた。「根拠は?」。

井上は「これはイケそう」「今年はこれが来ると思います」と常に直感的な答え方をする進士に、「論理的に説明できないと仕事にならない」と諭した。もちろん進士にも考えていることはある。だが自分の考えに自信が持てず、それをうまく表現できないのだ。進士はいちいち「根拠は?」「なぜ?」と聞かれるビジネスコミュニケーションが鬱陶しく、また、それができない自分にコンプレックスを感じていた。

進士には付き合って1年になる彼女・後藤マヤ(24歳)がいる。マーケティング会社に勤務するマヤは理系の知識が豊富で、進士とは真逆のタイプだ。2人は今週末、軽井沢に一泊で旅行する予定だ。

【必読ポイント!】図解

数学とは説明だ

軽井沢でサイクリングを楽しんでいた進士とマヤは、森の中で小さなカフェを見つけた。「行きたい雑貨屋があるから、先に入っていて」というマヤと分かれて、進士は店の扉を開けた。店員らしき小柄な年配の女性が、ニッコリ笑って話しかけてきた。「この店、ちょっと変わった空間で素敵でしょ?」。

白と黒を基調としたスッキリした内装に、床には三角形のタイルが隙間なく並んでいる。店の名前は「café geometry」。geometry(ジオメトリー)とは幾何学という意味だそうだ。

女性の名前は駒田恵子。昨年まで大学で数学を研究していた数学者で、70歳を機に引退してからは、友人が経営しているこのカフェで働いているのだという。進士は文系で、数学にはあまりよい印象がない。そんな進士に対して恵子は「数学とは、美しいものだと思う」と微笑んだ。

恵子によると、数学とは「根拠を揃えて説明すること」、つまり「説明」である。例えば、三角形に関する公式や法則はその三角形の特徴を「説明」したものである。その公式を見出して、それが正しいことを論理的に説明することが数学なのだ。

恵子は今、ビジネスコミュニケーションに興味があるという。数学とビジネスコミュニケーションには、「誰もが納得する根拠のある説明が求められる」という共通点があるからだ。

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要約公開日 2024.03.05
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