新型コロナウイルス感染症が2023年5月には5類感染症となり、日本でも日常生活が戻ってきた。それに伴い、各企業ではリモートワークから出社への回帰が進みつつある。
一方、働き方の多様性を高めることは、本来人材の多様性を高めることにつながる。そして、人材の多様性は企業の業績に貢献することが明らかになってきている。
2015年にマッキンゼーが発表した報告書によると、ジェンダーの多様性について最上位4分の1の企業群の方が、最下位4分の1の企業群より業績が15ポイントも高かったという。また、国籍の多様性でも同様に、上位の企業群が下位の企業群と比較して35ポイント高かった。
なぜ、こうした多様性は業績に直結するのか。理由の1つは、アイデアや視点の多様性が生まれるからだ。また、社会的責任の観点で市場から評価されやすく、人材確保でも優位に立ちやすくなっているのだ。
多様性は企業にさまざまなメリットをもたらすが、日本企業では同一性を求める傾向が強い。新型コロナウイルス感染症が5類へ分類された後も、画一的に出社を求める企業が続出した。
日本企業が出社を求める理由の1つが「出社こそ仕事である」という文化だ。さらに、社員間のオフィスでのコミュニケ―ションを重視する傾向も根強い。
出社を求める側である経営者・幹部は、得てして会社の近くに居住しているものだ。そのため通勤の負担が低い。一方、大半の従業員は通勤の負担を感じており、リモートワークによって通勤しないことのメリットを痛感した。リモートワークの制度がありながら、実際には利用しにくい状況に、多くの人はストレスを感じている。
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