経営中毒

社長はつらい、だから楽しい
未読
経営中毒
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社長はつらい、だから楽しい
未読
経営中毒
出版社
出版日
2024年03月12日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

メディアに颯爽と登場するスタートアップの社長。カメラに向かって会社のミッション・ビジョンを熱く語り、生き生きと働く若いスタッフたちの様子が映し出される。そのような姿を見て、「起業家ってカッコイイ」「こんな会社で働きたい!」と憧れる人もいるだろう。

しかし、そんな社長も裏では悩んでいるかもしれない。いや、どんなに輝いて見える社長も、裏では例外なく問題を抱え、もだえ苦しんでいるのである。本書では知られざる「社長業」にスポットを当て、社長が直面する悩みや問題を紐解いていく。

本書はPodcastの人気番組「経営中毒~だれにも言えない社長の孤独~」から生まれた一冊だ。著者は同番組のMCでベンチャー企業支援を行う徳谷智史氏。要約者もヘビーリスナーの一人だが、著者の飾らない人柄と語り口に魅了される人は多いだろう。

徳谷氏自身が起業家であり、かつ1000社以上の企業を支援してきた経験から、本書では実に生々しい社長業の実態が語られている。「資金が尽きた」「社員がどんどん辞めていく」「リリースした商品がまったく売れない」など、泥臭いエピソードばかりで胸が苦しくなる。それでも徳谷氏は「社長はやりがいがあり、社長だからこそ見える景色がある」と断言する。

世の中には経営本が溢れているが、ここまでリアルな社長の悩み・苦しみに寄り添った本はないのではないだろうか。今まさに満身創痍の社長はもちろん、将来的に起業したい人、またチームのマネジメントを任される管理職にもぜひ読んでいただきたい。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

徳谷智史(とくや さとし)
エッグフォワード株式会社 代表取締役社長/GOLDEN EGG Ventures代表パートナー
京都大学卒業後、大手戦略コンサルティング会社入社。海外法人の立上げとアジア代表を経て、「いまだない価値を創り出し、人が本来持つ可能性を実現し合う世界を創る」べく、エッグフォワードを創業。企業向けには、大手からスタートアップまで、1000社超の企業変革コンサルティングを手掛ける他、出資×コンサルティングのVCスキームで「スタートアップ共創のエコシステム創造」を目指す。個人向けには、2万人を超えるビジネスパーソンの意思決定・キャリアを支援。 NewsPicksキャリア分野プロフェッサー、Podcast「経営中毒~だれにも言えない社長の孤独~」メインMC、PIVOT社長改造コーチ、著書に『キャリアづくりの教科書』(NewsPicksパブリッシング)など。趣味はハンドボール・サウナ。

本書の要点

  • 要点
    1
    多くのスタートアップは創業後1~2年で苦境に陥る。そこには構造的な落とし穴があり、避けることは難しい。しかし経営の「羅針盤」を持っておくことで、冷静に対処することができる。
  • 要点
    2
    スタートアップの9割以上は「人の問題」で崩壊している。
  • 要点
    3
    社員に「価値観の違う人」を採用してはいけない。スキルや実績が多少足りなくても、価値観が合えば働くうちにそれらは補うことができる。
  • 要点
    4
    スタートアップのプロダクト開発は「熱狂的なコアユーザー」がカギとなる。彼らがプロダクトの改善やユーザー獲得を後押ししてくれる。

要約

誰にも言えない社長の孤独

経営には「羅針盤」が必要だ

華やかで偉く見える「社長」は、実際は誰よりも孤独である。日々、経験したことのない問題に直面し、乗り越えた先にはさらなる難題が待ち構える。社長が孤独なのは、構造的にはまりやすい「落とし穴」があるからだ。

多くの会社は創業後1〜2年目に苦境に陥る。リリースした事業がコケた、創業メンバーが仲間割れ、アテにしていた資金調達が受けられなくなった、信頼していたメンバーが横領した……。問題は次から次に生じ、順調に進むことはない。多かれ少なかれ、どんな社長も「悩み」を抱えているのである。

会社の創業時やその後に降りかかる問題には、構造的な原因がある。それらを避けることは難しくても、「心構え」を知っておけば冷静に対処することができる。問題や失敗に対する「羅針盤」を持っておくことで、荒波は越えられるのである。

社長は「孤独」を抱えながら日々戦っている。その一方で、社長だからこそ得られるやりがいや、見ることのできる素晴らしい景色もある。

次章からは、「カネ」「ヒト」「組織」「プロダクト」の4つに分けて、スタートアップ経営で起こりがちな問題とその対処法について伝えていく。

カネの悩み

給料日が怖い!
sesame/gettyimages

社長の大きな悩みの種は「カネ」である。儲かっていても赤字でも、「お金の呪縛」はずっとついてまわる。

そんな社長にとって、お金が出ていく給料日は「しんどい日」である。創業期は特に限られた資金のなかでやりくりしなければならないため、給料支払いの日が近づくとゆううつになり、「最後の審判」のような気持ちになる。

給料のほかにも、外注費用や光熱費、社会保険、税金など、さまざまな支払いが生じる。創業初期の企業は、入金されたお金でギリギリ支払う「自転車操業」に陥ったり、売上が入る前に支払いが生じたりすることも少なくない。

利益がほとんど出ていなくても、月々の支払いや事業成長のための先行投資をする必要がある。すると手持ちの資金が「溶けて」なくなってしまうことも起きる。そうなると社長は金策に奔走してやるべきことに手が回らなくなり、挙げ句、会社の成長が止まったり人の離反が起きたりする。

こうした事態を防ぐには、不要なコストを極限まで抑え、資金計画と調達のサイクルを前倒しで進めるしかない。

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要約公開日 2024.03.29
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