すぐに使える! おもしろい人の「ちょい足し」トーク&雑談術

お笑い芸人・話し方講師の二刀流が教える 56の絶対ウケる法則
未読
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お笑い芸人・話し方講師の二刀流が教える 56の絶対ウケる法則
著者
未読
すぐに使える! おもしろい人の「ちょい足し」トーク&雑談術
著者
出版社
日本実業出版社

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出版日
2023年11月01日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

お笑い芸人、俳優、話し方講師という職業は、どれも「しゃべりのプロ」といえるだろう。かれらは豊富な話題を持ち、つかみ、まわし、オチなどを駆使しながら会話を盛り上げることができる、まさにプロフェッショナルである。そんなかれらが用いるテクニックの中で、ビジネスパーソンがすぐマネできるものばかりを厳選し、「ちょい足し」できるようにしたのが、本書だ。

著者は現在も、お笑い芸人と話し方講師という二刀流で活動している。これらの職業の共通点は、相手を楽しませ、心を動かすという点だろう。本書で紹介されている「ツッコミマインド」は、相手の面白さを通訳するというホスピタリティにあふれた精神だと書かれている。相手を思いやる気持ちがあれば会話のハードルも下がるというのは、ビジネスの世界だけでなく、日常的なあらゆるコミュニケーションにおいて成り立つ。そのためにも、こうしたマインドを起点にいくつかの「リアクション」をストックしておけば、自然と好感を持たれる話し方に近づけるはずだ。

会話を盛り上げるためには、日頃からたくさんの話題を準備しておく必要があるのではと考える人もいるだろう。しかし本書では、普通のビジネスパーソンが日常生活で触れる範囲の情報に留められている。話し下手だという自覚がある人、会話をちょっとでも盛り上げられる「笑い」に興味があるという人は、ぜひ手に取ってみてほしい。

ライター画像
菅谷真帆子

著者

桑山元(くわやま げん)
お笑い芸人、研修講師、俳優、講演家。
早稲田大学卒業後に損保会社に首席として入社。新入社員代表の答辞を務める。資産運用担当者として入社2年目にして1000億円を運用。その後、法人営業としてメインバンクを担当。営業時代に過労で身体を壊し、3週間入院。5年4カ月勤めた後、同社を退社。声優養成所を経て、社会風刺コント集団ザ・ニュースペーパーに19年間在籍。一時期、コントが書けないスランプに陥り、小説の書き方を学ぶために作家に師事した。その際に「笑い=人の心を動かす」とは何かを考え、心理学や催眠術、マーケティングに見る購買心理など行動経済学的な分野まで広げて学び始める。ザ・ニュースペーパー時代にはコント出演の他に脚本執筆やUSOニュースのコーナーも担当。先輩たちのボケやツッコミのテクニックを必死に学ぶ。特にUSOニュースのコーナーでは「いかにわかりやすく伝えつつ、オチを読まれないか」を徹底的に鍛えられる。
2022年2月にザ・ニュースペーパーを退団した後は、お笑い芸人(俳優)と研修講師の二刀流として活動。特に講師分野では、ニュースを笑ってもらえるコントにするために培った「噛みくだき」「シンプル化」「意外なたとえ方」などのスキルを武器にして、ビジネスマン経験とお笑い芸人経験を併せ持つ稀有な存在として重宝されている。

本書の要点

  • 要点
    1
    第一印象で「しっかりしてる」「丁寧」「誠実」という印象を与えると、笑いのハードルが下がる。これは、会話においても同様である。
  • 要点
    2
    笑いを取る会話のためにマスターすべきは、「橋渡し」と「通訳」というツッコミマインドである。
  • 要点
    3
    頭の7割で話して3割で次の展開を考える「頭を七三に分ける」スキルは、訓練によって習得可能である。これをマスターできれば、次第に相手の表情や話した内容を覚えておく余裕が生じて、相手にウケる会話も可能となる。

要約

話し始めのひと工夫

つかみ
Tero Vesalainen/gettyimages

著者が所属していたニュース専門のコント集団「ザ・ニュースペーパー」は落語芸術協会の協会員だったため、著者も寄席の高座に上がる機会があった。ある時、直前までネタが決まらず、いつもより長い3秒ほどのお辞儀をしてからネタを始めたら、これまで以上にウケがよかった。

この「丁寧なお辞儀」のように、第一印象で「しっかりしてる」「丁寧」「誠実」という印象を与えると、笑いのハードルが下がるようだ。これは、会話においても同様である。とにかく熱意と勢いを重視し、テンションを上げて話し始める人もいるが、日常生活ではこれは失敗のもとだ。特に初対面では温度差もあるため、確実にスベる。最初はスローペースで、静かにスタートしたほうが聞いてもらいやすいし、面白さへの伸びしろも確保できるはずだ。

会話の出だし、アイスブレイクは難しいが、これに使える言葉として、「木戸に立てかけし衣食住」というものがある。「季節」「道楽(趣味)」「ニュース」「旅」「天気」「家族」「健康」「仕事」「衣服」「食事」「住まい」の頭文字をとったものだ。なかでもビジネスパーソンが注目すべきは「ニュース」である。

ニュースは、新聞やテレビ、ネットなどの側から情報を提供してくれる。ニュースを全く知らないという人は極めて稀なので、共通の話題にしやすく、したがってお互いの距離を縮める助けになる。ただし、悲惨な話題を選ぶのは避けたい。アイスブレイクは場の雰囲気を和ませ、次の会話への助走とすることが目的だ。いきなり悲惨なニュースを選ぶことはリスクにもなりうる。

緊張の克服法

著者は緊張しやすい性格だという。深呼吸やストレッチなどを試してもうまくいかなかったので、むしろ「人前で話す時は緊張している状態がデフォルト」と考えるようになったそうだ。舞台で田中という人の役を演じようとした時に緊張してしまったら、田中の設定を「いつも緊張している人」にしてしまう。人は、自分の緊張が伝わってしまうと途端に恥ずかしくなるものだが、「演じている役の人」が緊張していることにすれば、それが知られたところでダメージを受けにくい。

それに、「見られている」側だと思うから緊張してしまうので、「見ている」側になればよい。「緊張している」というのは感情だ。この感情を容易にコントロールすることはできないが、「見る」という行動のほうは変えられる。注意深く観察するイメージで相手を「見ること」に集中すれば、余計な感情、つまり緊張が入り込む余地は減っていく。

大勢の前で自然に観察するためには、1人に話しかけるようにすればよい。1人を相手にしようとする行為は「会話」と同じであり、相手の表情や態度も受け取りやすい。「この人にわかってもらおう」という熱意も持てるし、それによって聞き手を観察することに自然と集中できる。この方法は面接試験など様々な場面にも応用できるはずだ。

【必読ポイント!】 ツッコミ活用法

通訳と橋渡し

「どうしたら笑いがとれる話ができるか」を教えてほしいという要望はとても多い。しかし、予想もつかない突飛な言動を思いつく「ボケ」はセンスの側面が強く、誰もができるものではない。もちろん「ツッコミ」にもセンスは必要だが、練習であるレベルまではカバーできるので、ボケよりはハードルが低い。ボケがアクションなら、ツッコミはリアクションだからだ。ツッコミはボケの面白いポイントを見つけることから始まる。「何気ない相手の言動から、違和感や面白さを見つけ出す」センスを磨こう。

そもそもツッコミとは、「『通訳』して『橋渡し』する行為」である。たとえば、「まだ6月なのに気温30度だって。このままいくと12月には50度を超えるね」というボケに、「そんなわけあるかっ!」とツッコミを入れるベタなやり取りを考えよう。これは、「この人、変なこと言ったよ」という「橋渡し」と、「12月になれば逆に寒くなるのをこの人はわかっていない」という「通訳」をしていることになる。通訳して橋渡しをする「ツッコミマインド」を実践すれば、失礼な内容にならないし、ツッコまれた相手も面白さが際立ってうれしくなる。

安心サポートツッコミ
KENGO YAJIMA/gettyimages

「ツッコミマインド」は、周囲を凍りつかせるダジャレを突然言い出す人に対しても応用できる。

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要約公開日 2024.03.22
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