他人に嫌われたくない、できればうまく付き合いたい――誰もが思うところだろう。しかし相手に遠慮して自分のペースを乱されてしまっては、振り回されてばかりの人生を送ることになる。
「あの人には負けてなるものか」という競争心は自分のモチベーションを高めることに役立つように思える。しかし、誰かと競い続けていると、小さな結果に一喜一憂して自分のペースを保つどころではなくなってしまう。特に、繊細な心を持っている人には、他人と競うことは避けるのをオススメしたい。
米国ロチェスター大学のエドワード・デシは、男女40名ずつの参加者を集め、同性のアシスタントと一緒にパズルのピースを組んで絵を完成させる作業をやってもらった。このとき、半分のペアには「相手と競争してなるべく早く解いてほしい」と伝え、残り半分のペアには、単に「できるだけ早く解いてください」とだけ伝えた。
実験が終わったところで自由時間を設け、パズルで遊ぶ時間を測定した。実験はすでに終わっているので、遊ぶ義務はない。つまり、長くパズルで遊んでいるということは、作業をおもしろいと感じたということになる。男性でも女性でも、競争しなかった人のほうが、自由時間により長く遊ぶという結果になった。つまり、他の人と競争することは、やる気や面白さに影響を与えるということである。
もちろんすべての競争が悪いわけではない。過去の自分と競争して成長を実感することは、むしろモチベーションにつながる。自分で楽しく取り組み、他の人と比べないことが楽しく仕事をするコツである。
とはいえトップの成績を取る人は、負けん気が強くて他の人ともガンガン衝突しているのだろうと思う人もいるかもしれない。しかし現実はまったく逆だ。
ハーバード・ビジネス・スクールのボリス・グロイスバーグは、『インスティチューショナル・インベスター』という雑誌で62の投資銀行のアナリストのランクを調べた。そして、同僚たちとの関係についても調べてみた。その結果、トップランクのアナリストほど同僚たちとの関係が良好であることがわかった。
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