マインドフルネスをひと言でいうと、「いまここに気づいている状態」だ。ここでは、マインドフルネスをより具体的にイメージするために、マインドフルネスを指し示す領域とマインドフルネスの世界標準の定義を見てみよう。
まず、マインドフルネスを指し示す領域について。縦軸に「心ここにある⇔心ここにあらず」を、横軸に「ストレスある⇔ストレスない」をとった四象限を想像してほしい。マインドフルネスは、上半分の枠で囲っている部分、つまりストレスの有無にかかわらず、「心ここにある状態」を指す。一方、下半分の「心ここにあらずの状態」を、本書では「オートパイロット」(自分の行動を無意識に行う自動操縦状態)と表現している。
次に、マインドフルネスの世界標準の定義は「意図をもって、評価判断なく、この瞬間に注意を向けた状態」だ。つまりマインドフルネスとは、主体的に、良し悪しや好き嫌いを決めつけず、いまに意識を向けている状態なのである。
マインドフルネスのもっとも代表的な実践ワークは瞑想だ。それ以外にも、ボディスキャンやジャーナリング、ラベリングなどがある。
こうした実践ワークを1日あたり合計10分、2~3か月ほど続けていくと、ストレスが減る、集中力が上がる、生産性が上がる、創造性が上がる、ケアレスミスが減るといった効果を感じられるようになる。さらに半年、1年と続けていくと、自己理解が深まる、感情をマネジメントできる、他者への共感が高まる、コミュニケーション能力が高まる、価値観が明確になる、幸福感が高まるといった効果が期待できる。
なかでも著者が効果を感じたのは「自分の人生を生きている」という実感を得られたことだ。マインドフルネスを実践することで、思考や行動の幅が広がり、そのなかから最適なものを選べるようになった。また、自己決定感が高まったことで、自分の人生を生きているという感覚を持てるようにもなった。
本書では、代表的なマインドフルネスの実践ワーク6つと、1日のなかでのおすすめ活用事例が10種類紹介されている。要約ではそのうち、実践ワークとおすすめ活用事例をそれぞれ4つずつ取り上げる。
マインドフルネスの効果を実感するには、1日合計で10分、約2~3か月続けていくのが目安だが、1日10分を確保できない人もいるだろう。本書で紹介される実践ワークをその日の気分や体調に合わせて使い分けながら、1日数分ずつでも挑戦してみてほしい。
1つ目に紹介する「マインドフルネス瞑想」は最も基礎的なワークだ。呼吸に注意を向けて、自分の注意力をコントロールする。
まずは呼吸しやすい姿勢でイスに座る。ヨガマットなどにあぐらでも大丈夫だ。
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