ドイツ人のすごい働き方

日本の3倍休んで成果は1.5倍の秘密
未読
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ドイツ人のすごい働き方
出版社
出版日
2024年09月30日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「毎日忙しく働いているのに、なぜか成果が出ない」「仕事に追われて自分の時間が持てない」。日本ではすっかり定番になってしまったこんな悩みに対して、本書はドイツの視点からアプローチする。

本書の著者である西村栄基氏は、日本で働いていた新人時代、早朝から深夜まで働き詰めでありながら、成果が得られない環境に苦しんでいたという。そんな景色が一変したのは28歳でのドイツ初出張時、ドイツ人の働き方を目の当たりにしてからだ。夕方にはオフィスから人が消え、有休消化や長期休暇も当たり前。それなのに顧客の厳しい要求にも納期通り対応し、日本よりも高い給与水準まで実現している。こうして著者の「ドイツ人の働き方」研究が始まった。実際、ドイツの労働生産性の高さはさまざまなデータで明らかになっている。その背景にあるのは、本書で紹介される原則「ドイツ式働き方」だ。

ドイツ式働き方を取り入れる方法の一つひとつは、とてもシンプルだ。しかし、実践することができれば、たしかに生産性が上がるだろうと思える内容だ。基礎的な原則を徹底し、仕事の質を上げようとするドイツ式の働き方の姿勢からは、プロフェッショナリズムが感じられる。日本のビジネスシーンでも、参考にできる点が多いだろう。

限りある人生を豊かに生きるために、効率的な働き方への転換を目指したいと願う人に、本書をおすすめしたい。

ライター画像
池田友美

著者

西村栄基(にしむら しげき)
自動車向け半導体部品を取り扱う商社のドイツ支社に勤務。国立大学理系修士課程修了。大前研一氏が学長を務めるBBT(ビジネス・ブレークスルー)大学大学院でMBA(経営学修士)取得。
2つの会社での海外駐在で計17年間ドイツに在住、欧州向けビジネスに30年間にわたって携わっている。最初の勤務先では30代前半で5年間のドイツ駐在生活を経験。そこで衝撃を受けたドイツ流の働き方を帰国後の職場で実践、自走型人材を育成することに成功した。
帰国後は、さらなるステップアップを目指して、MBAを取得し、経営学、コミュニケーション、脳科学、心理学などの分野での自己投資を経て、43歳で転職し現在に至る。
少数精鋭の組織を率い、ドイツ流の自律型の働き方を部下に指導。全員が有休消化し残業ゼロでありながら、高い労働生産性を実現している。自身が登壇するトヨタ自動車(株)、(株)デンソーなどの企業向けのオンラインセミナーでは、800名を超える受講者を集めることもあり、累計受講者数は5,000名を超えている。

本書の要点

  • 要点
    1
    有給休暇と、週休2日と祝日を合わせると、ドイツ人は年間約140日休んでいることになる。長期休暇を取る人も多いが、それでも高い生産性を保って組織を運営する仕組みが整っている。
  • 要点
    2
    ドイツ人の働き方のうち、まず取り入れたいのは「早起き」と「整理整頓」だ。
  • 要点
    3
    ドイツの業務プロセスには、「明確な文書化」という特徴がある。業務マニュアルが整備され、進捗も共有されているので、休みも取りやすい。

要約

ドイツ人の1日

ドイツの朝は6時に始まる

まずはドイツ人が実際にどのように1日を過ごしているかを、著者の勤務していたドイツ企業を例に再現してみよう。

朝6時、人々はすでに1日の始まりに向けて動き出している。早起きの人は7時前から出勤し、午後3時頃には1日の業務を終える。このように朝早くから働き、夕方には帰宅する生活が一般的だ。

ドイツでは個人の時間が重視され、労働時間内で仕事を完結させる文化が根付いている。フレックスタイム制が一般的で、基本的には残業は一切しない。

著者のかつての勤務先では、朝の15分ほどのカフェタイムが、エネルギーを高める役割を果たしていた。エスプレッソマシンでいれたコーヒーを手に立ち話をすると、たいていカジュアルな会話から仕事の話題へ自然と移行していく。このスペースでは「心理的安全性」が保たれていて、会話の中から自由な発想が生まれやすくなっていた。

カフェタイムを終えると自席へ向かう。自席は広々と開放感のあふれるスペースで、窓の外の美しい自然や、オフィス内の観葉植物と合わさって、最高の環境が整えられていた。こうした環境では創造性が刺激され、高い集中力を発揮できる実感があった。

ランチのあとは散歩で脳をリフレッシュ
Xsandra/gettyimages

午前中には誰にも邪魔されずに創造性の高い仕事をして、ランチの後には森へ足を運び、脳をリフレッシュさせる。散歩で午後の中だるみや眠気を吹き飛ばし、午後へと向かう。

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要約公開日 2025.01.08
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