組織が大きく成長するには、組織のメンバー全員が変わらなければならない。そのためには、ひとりひとりが「変革」の意識を持つ必要がある。
しかし、それは容易なことではない。数十人の会社でも難しいのに、数千人、数万人、数十万人規模となればなおさらだ。人を変えるには熱意が要るが、大きな組織で個々のメンバーに訴えかけるのは非現実的だ。
だが「仕組み化」を使えば、大勢を一気に変えることができる。ユニクロには、世界中の店舗スタッフひとりひとりまで変える仕組み「究極の個店経営」がある。
「究極の個店経営」は2014年に打ち出された。チェーンストアの強みを生かしながら、各店舗が地域に根ざして地域のお客さまに愛される「個店」をつくることを目指すのだ。
創業経営者の柳井正さんは、「究極の個店経営」の主役を店舗スタッフに据えている。本部からの指示にただ従うのではなく、経営者マインドを持って「この地域に合った売り場とは何か」「お客さまの期待に応えるにはどうすべきか」と、ひとりひとりが自分の頭で考える。「究極の個店経営」とは、働いている人たちのマインドを変える「仕組み」なのだ。
ユニクロはこの「究極の個店経営」を実践するための仕組みを複数用意し、うまく機能させている。
企業には必ず経営理念がある。経営理念とは、会社の存在意義や方向性を示す北極星のような存在だ。経営理念なくして企業経営は成り立たないが、従業員が経営理念を「自分事化」して、日々それに基づいて働くのは難しい。経営理念を「自分事化」するには「仕組み」が必要だ。
ユニクロには経営の基本方針を表した「経営理念23カ条」がある。これを日常で実践に移す架け橋となるのが「原理原則」だ。ここ10年でさまざまな原理原則がつくられ、現場で運用されている。
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