2時間でわかる 図解オムニチャネル入門

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2時間でわかる 図解オムニチャネル入門
出版社
出版日
2017年01月26日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

小売業に関わっている方をはじめとして、「オムニチャネル」という用語を意識する機会は、日々増えているのではないだろうか。オムニチャネルとは、商品の購入方法や受け取り方法などが複数用意され、消費者がいつでも、どこでも商品を注文して受け取ることができるインフラのことである。

オムニチャネルに「あらゆる」の意味を持つ「オムニ」の言葉が使われているとおり、今や買い物はリアル店舗だけでするものではない。スマートフォンが浸透している現代では、ウェブサイトやSNSなどいろいろなチャネルを使って商品を注文し、自宅や近くの店舗で受け取れる。また、リアル店舗で使用感を確かめてから、「割引率が高い」とか「商品を持ち運ぶ必要がない」といった理由で、ウェブサイト上で商品を購入する人も少なくない。いつの時代も、消費者は便利さを追い求める。このように、買い物体験がどんどん自由になりつつあるなかで、オムニチャネルの考え方は、ぜひとも身につけておきたい知識だといえるだろう。

本書では、オムニチャネルにありがちな誤解をただし、基本から丁寧に紹介しつつ、どのようにすればオムニチャネルを導入できるのかをわかりやすく解説する。整理された図解もおおいに理解の助けとなる。さらに、AMAZONをはじめとする海外の動向にもふれられているので、世界の時流のなかのオムニチャネルの位置づけも把握することができるだろう。オムニチャネルを知るための「はじめの一冊」として活用してほしい。

ライター画像
流石香織

著者

角井 亮一
株式会社イー・ロジット代表取締役兼チーフコンサルタント。物流コンサルタント。
上智大学経済学部を3年で単位修了。 米ゴールデンゲート大学でMBA取得。 船井総合研究所、不動産会社を経て、 家業の物流会社、光輝物流に入社。 日本初のゲインシェアリング(東証一部企業の物流センターをまるごとBPOで受託) を達成。2000年、株式会社イー・ロジットを設立し、現職。 現在、同社は230社以上から通販物流を受託する国内ナンバーワンの通販専門物流代行会社であり、200社の会員企業を中心とした物流人材教育研修や物流コンサルティングを行っている。 著書に『アマゾンと物流大戦争 』(NHK出版新書)、 『オムニチャネル戦略』『物流がわかる』 (共に日経文庫)『物流大激突』(SB新書)ほか多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    オムニチャネルは、リアル店舗がネットと融合して進化したかたちと捉えることができる。少数店舗しか展開しない企業でも、消費者と接点のあるビジネスならば応用して導入する余地がある。
  • 要点
    2
    オムニチャネルで競合優位に立つためには、消費者の「これができたら」を実現する機能を導入する必要がある。とくに商品の受け渡し方法の多様化は今後望まれることになるだろう。
  • 要点
    3
    オムニチャネルを成功させ、顧客満足度を上げるためには、部門を横断した全社的なシステムの構築が必要だ。

要約

「オムニチャネル」の基本と誤解

オムニチャネルは、リアル店舗ありき
supparsorn/iStock/Thinkstock

アメリカで話題となっていたオムニチャネルの波が、少し遅れてようやく日本にもやってきた。オムニチャネルとは「お客様が商品をほしいと思ったときに、いつでもどこでも注文でき、希望する場所で受け取ることができるインフラ」のことだ。そのために、購入方法や受け取り方法、決済方法などが複数用意されている。

オムニチャネルというと、スマートフォンによるEC(電子商取引)を想像する人が多いかもしれないが、あくまでもECはオムニチャネルの一部である。ネット通販に売上を奪われた小売業界が、リアル店舗を持っている強みを活かして、ECを取り込んで進化した姿がオムニチャネルだ。オムニチャネルとは業務の効率化をめざすようなものではなく、消費者が使いこなすものである。

オムニチャネル導入の効果

企業は、オムニチャネルを導入することで、さまざまなメリットを享受できる。

まずは、リアル店舗がEC専業に対抗できるという一面がある。EC専業の会社は商品の受け渡し方法として、主に宅配便を利用するが、配送業者とのすれ違いなど、宅配便はときに不便でもある。一方で、リアル店舗は自社店舗を商品受け渡し場所として活用することができる。

2つ目のメリットは、「好きな場所で商品を購入し、受け取れる」ということで、顧客満足度のアップに役立つ点である。

3つ目には、在庫の有効活用が挙げられる。EC受注に店舗の在庫を活用して受け渡しをすれば、EC用の在庫を一部圧縮できる。それに伴い、消費者が物理的に距離の近い店舗を受け渡し場所に指定すれば、配送コストも抑えられる。

さらに、売上げアップも期待できる。オムニチャネルを導入することで、消費者との接点が増え、そのぶんだけ消費者に買い物の機会を提供することになるからだ。消費者がリアル店舗で商品を受け取る場合、「ついで買い」の期待も見込めるだろう。

オムニチャネルの導入はチェーン店のみ?

オムニチャネルは、多店舗展開する企業で導入されるイメージが強いが、実際には1店舗しか展開しない企業や個人経営の店でも導入可能だ。現在の消費者の買い物行動に対応し、消費者との接点を増やすという流通上のイノベーションがオムニチャネルなので、消費者と接点のあるビジネスならば応用して導入する余地がある。

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要約公開日 2017.07.19
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